ツーリングや仲間との出会いなど楽しみは尽きないが、ハーレーのオーナーなら人とは違う自分だけの1台に愛車を仕上げるカスタムこそ、この上ない楽しみと感じる人も少なくないだろう。本記事では理想のカスタムハーレーを最初からドカーンと一発ゲットするという、豪快なハーレーの楽しみ方を紹介しよう。
●写真: 磯部孝夫 ●文:青木タカオ ●取材協力:フォレストウイング
2000cc超ミルウォーキーエイト搭載。バガーレーサーテイストを引っ提げて!!
「カスタムはカルチャー」と昔からシーンが育まれてきたハーレーには、純正はもちろん社外品を含め膨大な量のリプレイスパーツが出揃っており、そこからひとつずつ好みのパーツを見つけ、コツコツと理想形に近づけていくのも大きな楽しみのひとつだ。
その一方で、理想のカスタムハーレーを最初からドカーンと一発ゲットしてしまうのも、決して間違いではないだろう。
愛知県名古屋市のハーレーショップ・フォレストウイングでは、最新トレンドとなっているパフォーマンスバガーを提案してくれた。人気急上昇中のRTカウルが迫力タップリなフロントまわりを演出し、ミルウォーキーエンジンはS&Sのシリンダーとマーレーのピストンで126ci=2064ccまでスケールアップ。ハイフローエアクリーナーとカムシャフトをT-manにし、肝心要の心臓部をまずタフに組み上げている。
オーリンズのサスペンションで強化した足まわりは、カーボン製のホイールとフェンダーで軽快感を強調。インスパイアを受けたのは、アメリカで’20年からスタートしたバガーレースを走るマシンたち。
ステンレス製の2in1マフラーはナスカーやNHRAのトップチームが用いるバーンズ製、アルミ製の高剛性スイングアームもH‐Dワークス・プロストックバイクの初期段階でフレームを製作していたトラック社とし、走りを追求するレーシングスペックの高性能パーツが惜しみなく使われている。
走ってみると、M8ツーリングファミリーとは思えぬ軽やかさだ。サイドスタンドを払った途端に軽さを感じ、街乗り速度でも切れ味あるハンドリングが味わえ、バネ下パーツの軽量化がいかに効果的かが手に取るようにわかる。
2000cc 超えのエンジンはクラッチミートする極低回転域からトルクが潤沢で、そのまま力強く上まで回っていく。「ミルウォーキーエイトにおける吸排気+カム交換は、費用対効果を考えてもとても魅力」とフォレストウイング奥藤社長は言い続けているが、こうして完成形を走らせ実感すると合点がいく。
公道走行を考えた提案でリアルにサーキットを走るバガーレーサーは、サスペンションストロークも長く、当然ながら普段乗りで肝心な足つき性など考えていない。フォレストウイングではあくまでもテイストを取り入れ、バガーレーサー”風”とした。なるほど、たしかにRTカウルを装着したマシンも本場「KING OF BAGGER」には参戦していない。フロントフォークやキャリパーなど予算や好みに応じてまだ詰めていく余地はありそうだが、まずはこのスタイルまでモディファイできればストリートで注目の的になること間違いなしだ!!
見た目は過激な超弩級モンスターだが、インジェクションチューニングによって、全域でパワフルながら扱いやすさもあり、街乗りやツーリングで多用する常用回転域でトルクフル。それでいて、スロットルレスポンスも鋭いから舌を巻く。
バガーレーサーのスタイルを巧みに取り込みつつ、市街地/ワインディング/高速巡航/ステージを選ばずいつでもアグレッシブに、そして快適にライディングできるよう徹底追求されている。
ベース車両はシンプルなほどいいと、ミルウォーキーエイト107を積むロードキングの中古車両がチョイスされた。ここで費用を抑え、カスタムにつぎ込む予算を確保したいという狙いだ。カウルを交換し、インフォテインメントシステムも不要ならば、懸命な選択としか言いようがない。ベース車やどこまでやるか内容によって異なってくるものの「予算は車両込みで500万円〜」と奥藤社長は教えてくれる。カスタムトレンドのM8パフォーマンスバガーが入手できることを考えれば、お買い得としか言いようがない。この選択はアリだ!
目指したのはスポーティな走り。そのカスタムポイントを見ていこう
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