●文/写真:佐藤“ことぶき”寿宏
2021年全日本ロードレース選手権の開幕がいよいよ今週末に迫ってきました。先週には、開幕戦の舞台である栃木県・ツインリンクもてぎで公開テストが3日間行われ、コロナ禍の中、今シーズンは無事に始まってくれそうです。
今年の中須賀のライバルは誰?
JSB1000クラスは、昨年のチャンピオン野左根航汰がワールドスーパーバイクへ、水野涼がブリティッシュスーパーバイクに旅立ったこともあり、本命中の本命は中須賀克行になるでしょう。唯一、メーカー直系のワークス参戦となるだけに、自身10回目のタイトル獲得の可能性は高く、全戦全勝というワンサイドのシーズンになることも大いに考えられるでしょう。公開テストでは転倒もありましたが、レースウイークはしっかり仕上げて来るはずです。
その中須賀の対抗馬として目されているのが清成龍一です。昨年はランキング2位となりましたが、清成本人は、一度も優勝がなかったこともあり、その内容はよくなかったと語っていました。公開テストでは、問題点を徹底的に洗い出していたので、いい方向にセットが進めば中須賀に迫る走りが見られるはずです。
ハルク・プロのエースとなった名越哲平もタイムを上げてきているので、どこまでトップ2に迫ることができるか注目したいところです。ベテランの加賀山就臣、柳川明、新体制となった秋吉耕佑、ヨシムラのマシンを駆る津田一磨、桜井ホンダの濱原颯道、ATJの岩田悟、調子を上げている児玉勇太、鈴レーの亀井雄大、BMWを駆る関口太郎などが表彰台を狙っています。
その表彰台の一角を占めそうなのがスポット参戦するヨシムラの渡辺一樹です。EWC世界耐久選手権ル・マンのテストが3月の2週目にあり帰国。自主隔離期間があり公開テストには参加できませんでしたが、レースウイークは木曜日から走行があるので、うまくセットが進めば、表彰台はもちろん、トップ争いにも加わってくるでしょう。
ST1000クラスは、JSB1000からスイッチした渡辺一馬が速さを見せています。ディフェンディングチャンピオンの高橋裕紀は、渡辺一樹と同じくル・マンのテストに参加したため公開テストは、走れませんでしたが、渡辺一馬とのガチ勝負が期待されます。
ST1000クラスは、今回、37台ものエントリーを集めています。対してJSB1000クラスは、19台。公開テスト3日目にTOHO Racingの國川浩道が3コーナーで進入ハイサイドで転倒。右肩を負傷してしまったため欠場を余儀なくされたこともあり、18台となっています。
プライベーターにとっては、改造範囲の少ないST1000の方が参加しやすく、エントリーも多くなるのは必然。何でも最高峰だからと言って、レース数、周回数を増やすのではなく、現場の意見を聞いて、どう見せればお客さんに喜んでもらえるかを考えて欲しいですね。
現場の声と言えば、今シーズンから採用された赤ゼッケンは、とても違和感がありました。続けてみている人にとっては、リセットされてしまい、一から覚えなければなりません。クラスをスイッチしたライダーも多く、赤ゼッケンをつけているのは、本当に少ないですね。
ずっとメインスポンサーの武蔵精密工業から#634をつけていたハルク・プロのピットには、もちろん1台もゼッケン634はありませんでしたが、マシンのカラーリングの一部としてデザインとして“634”を入れていました。某ライダーは「マシンのデザイン、カラーリングが台無し」と語り、昔を知るメカニックは「赤ゼッケンはかっこいい」というご意見もありました。
ボク個人としては、昨年の発表から違和感がありましたし、世界的に見てもおかしな変更だと思います。思い入れや、スポンサーのために有償でゼッケンをつけていて浸透しているライダーがほとんどでした。反対意見が大勢を占めていましたし、現場の意見を聞いて決めて欲しかったですね。
サーキットの安全面でも課題は残っていると思いますし“問題を提議しても仕方がない”と言った風潮も出ています。モータースポーツは、危険が伴いますが、できるだけ、その可能性を少なくして思い切り走ってもらいたいものです。
ちょっと脱線しましたが、今週末(4月3日・4日)は栃木県・ツインリンクもてぎで全日本ロードレースが開幕します! 土曜日は、予選とJSB1000クラスのレース1、JP250のレースもあり、日曜日は、J-GP3、ST600、ST1000、JSB1000クラスのレース2と開催されます。サーキットも新型コロナ対策をして皆さんをお待ちしていますので、ぜひ足を運んでください!
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