シャーシ:商売っ気が微塵もない、勝つための調整
ホンダ新型CBR600RRのシャーシは、劇的な変更がないように見えるが、必要にして十分な改良が施されている。メインフレームは、従来型を踏襲した中空アルミダイキャスト製ツインチューブ。溶接部分や構成部品を減らした4ピース構造で、軽量かつ重量バランスに優れる。変更しなくても”戦える”との判断なのだろう。
一方、スイングアームは別物に進化した。外観から見分けはつかないが、剛性バランスや内部構造を最適化し、軽量化も促進。デザインを変更すれば、アピールポイントとなろうものを…。商売っ気より実質的な性能を選んだ改良に、ホンダの本気が感じられる。
足まわりはブレーキの進化がトピック。最新のスーパースポーツ専用ABSを採用し、従来比で2.5kgの軽量化を達成した。IMUの情報も活かし、車体姿勢に応じてブレーキを緻密に制御。ハードブレーキングや旋回中の減速もサポートするため、ライダーは安心してトータルコントロールの”操る喜び”を味わえる。サスペンションに関しては、フロントはフォーク長を伸ばし、突き出し量を増やすことで車高アップに対応。地味ながら本気で走りたい人を見据えた良変更だ。
ディメンションについては、キャスター角が若干起き、軸間距離は5mm短縮。リヤアームはエンドピース接合部をずらしたことでロング化と同じ効果を狙う。
一気に緻密&軽量化を果たしたABSシステム
’09年型から採用した電子制御式コンバインドABSに代わり、最新のスーパースポーツ専用ABSを導入。CBR1000RR(SC77)と同様のシステムで、従来より2500g軽量だ。ニッシン製のABS用ECUが、前後の車輪速センサーとIMUによる車体姿勢の情報を基にブレーキ圧を制御。急制動時におけるリヤリフトを抑えるほか、旋回中のブレーキングでも切れ込みや車体の起き上がりを緩和する。
ユーティリティ:実用装備は最低限
●文:沼尾宏明 ●写真:山内潤也 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
やれることは盛りだくさん。ニュータイプに覚醒せよ! 潔いほど電脳サポートを持たなかった先代に対し、新型CBR600RRでは電子制御が一挙に充実。戦闘力の底上げとストレスフリーな操縦性を図る。 全体の[…]
レース用ECUでは1万6500rpmレッドに 材質と構造を見直した内部チューン 高回転域で本領発揮 代名詞のエキゾーストも各部見直しで排気効率アップ 〈写真1〉〈写真2〉〈写真3〉〈写真4〉〈写真5〉[…]
シートカウル以外の空力マネージメントを刷新 多くの構成部品をアップデートしたニューCBR600RR。外装に関しても大幅な飛躍を遂げている。戦闘力を向上するため、テールを除いてカウルを一新。織りなす面の[…]
不可能とは言いたくない。だからこの1台を、世に。 残念と、当然。未練と、諦念。 相反する思いがせめぎ合う。今度ばかりは抗えない環境問題のうねりの中で、バイクの馬力競争が静かな終焉を迎えようとしている[…]
ホンダは、2016年以来となる600クラスのスーパースポーツ「CBR600RR」を発売すると正式発表。ホンダのティーザーサイトを含め、その姿は先行公開されてきたが、ついにスペックや価格、発売日が明らか[…]
最新の記事
- ミドルクラスの究極ドゥカティ!? 2025新型パニガーレV2/ストリートファイターV2登場
- [2024秋] いま売れ筋のバイクヘルメットTOP5【大型販売店で聞いてみた】1位はSHOEIのフラッグシップ
- 【限定3台】鈴鹿8耐 表彰台マシンのレプリカ「YZF-R1」をYARTが発表!!
- ヤマハが仏電動二輪メーカー「エレクトリックモーション」へ出資
- 125-51cc(原付二種)バイク 読者人気ランキングTOP16【読者350人が投票|“ここがイイ”コメント付き】
- 1
- 2