レース用ECUでは1万6500rpmレッドに
従来型は欧州フルパワー仕様で119ps。国内仕様は馬力自主規制により78psに抑えられていた。一方、新型は日本仕様も121psに到達し、規制対応しつつ最大のライバル=ヤマハYZF-R6(118.4ps)を上回る。
これに貢献したのがエンジンの高回転化だ。出力目標値から最高出力発生回転数を導き出し、従来の1万2000→1万4000rpmへ大幅に引き上げた。レッドゾーンは従来と同じ1万5000rpm以降となるが、レース用ECUを使用して1万6500rpmまで高めることも可能だ。
高回転化を実現するため、クランクシャフトやバルブスプリングなど回転&往復運動に関わる部品の材質を変更し、強度をアップ。ポートやスロットル径の変更、エキゾーストパイプの見直しによる吸排気効率の向上も高回転化にひと役買う。さらに電子制御スロットルを新採用。ECUが最適なバルブ開度を瞬時に演算し、乗り手の意志に忠実なパワーフィールを実現する。スリッパークラッチの導入もトピックだ。
変更点は多岐に渡るが、追求したのは「トータルコントロール」。歴代CBR-RRシリーズに一貫した思想は、新型でも決してブレていない。
材質と構造を見直した内部チューン
(左)吸気ポートの容積を2.2%増加。合わせてスロート部にバルブの中心軸から傾けたポート加工(非軸線加工)を施し、つながりが滑らかな経路とすることで吸気効率を上げた。(右)吸気バルブの閉じるタイミングを5°遅らせ、 排気バルブのオープンを5°早めた。これにより混合気の吸気効率と燃焼ガスの排気効率を向上。ハイパワー化に貢献する。 [写真タップで拡大]
(左)エンジンの高回転化に伴う吸入空気量を確保するため、スロットルボア径をφ40→φ44mmに拡大。吸気通路は、スロットルボディ内を含む断面形状を滑らかに変化させることでロスを低減した。(右)プラグを従来より7mm長いロングリーチタイプに変更。プラグホール、排気バルブシート周辺にまでウォータージャケットを拡大し、燃焼室や排気バルブ周辺の冷却性能をアップした。 [写真タップで拡大]
高回転域で本領発揮
代名詞のエキゾーストも各部見直しで排気効率アップ
テールとマフラーを一体化したセンターアップマフラー。現行スーパースポーツで採用するのはCBR600RRのみだ。マスの集中化という点で不利だが、カッコイイのは正義。特に変更点はない模様だ。 [写真タップで拡大]
●文:沼尾宏明 ●写真:山内潤也
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