広めの歩道(道路)や公園のエントランスなど公共空間のデッドスペースをパーソナルモビリティの駐車スペースとして活用できないものか。そのために必要な技術として「IoT×GPS×MaaS」を想定した。IoTとGPSで車両の位置情報を正確に把握し、MaaS(モビリティ アズ ア サービス)を活用して料金徴収等を行うものだ。
●文:田中淳麿(輪) ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
モビリティを「停める」視点の欠如
近年、ラストワンマイルの移動や高齢者の免許返納後のモビリティとして、電動キックボードや電動車イスのような”多様なモビリティ”をどう活用していくか、という議論が活発に行われている。2019年に経産省が主催した「多様なモビリティ普及推進会議」においても、パーソナルモビリティの運用をどう管理していくのかといった課題が、安全性や受容性の向上といった普及促進策とともに議論されていた。
しかし、二輪業界の課題を見てきた筆者からすると、とても重要な議論が抜けていると感じた。
それが、モビリティを「停める」という視点だ。どんなに小さなモビリティでも、都心のコンビニ入口に気軽に置けるものではない。細街路に至るまで混在交通下での「走る」は議論されても、「停める」が考慮されていないのは利用者視点の欠如だ。事実、原付一種でさえ停められず、販売台数を落としているのだから。
衛星「みちびき」を利用した高精度GPSでモビリティの駐車を管理
二輪業界では、駐車場法から再びバイク(50cc以上)を外そうという声もあれば、原付一種/二種はどこにでも停められるようにすべきという声も根強い。では、「どこにでも」を実現するためには何が必要なのか? 手法はさておき、それは「駐車の管理」に尽きる。そこで今回は、ひとつの案として「IoT×GPS×MaaS」の活用を模索した。IoTとGPSにより車両の位置情報を正確に把握し、スマホアプリ等により管理、必要であれば駐車料金の徴収までを行うMaaS(モビリティ アズ ア サービス)システムの構築だ。
しかしながら、これを都心部や郊外、中山間地の駅前やバス停前にまで実現するためには、IoTはもちろんのことGPSの精度が求められる。国産の準天頂衛星システム「みちびき」による補強精度は誤差数cmと言われているが、現在はまだ4機しか打ち上がっておらず、安定性も含め実現できていない。自動車、農機、建機、ドローン等の自動運転を実現すべく、小型で高感度なGPSモジュールや高効率かつ信頼性の高い衛星選択アルゴリズム等の開発は進められているが、こちらもまだ途上だ。自動車で言えば、カーナビにおける移動中の軌跡を示す程度なら実用化されているが、走行レーンを常時測位できるほどの精度はまだ実現できていない。また、衛星は常に同じ位置にあるわけではなく、その信号もビルなどの影響も受けやすい。パーソナルモビリティの駐車管理には誤差数十cmの安定した精度が求められる。
…と、まだまだ課題は山積しているものの、測位衛星システムはパーソナルモビリティ管理技術の核となりうるに違いない。その活用を検討すべきだろう。
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