ブリヂストンのストリート用スポーツタイヤ「バトラックス レーシングストリート」が約5年ぶりの全面刷新を果たし、「RS11」に進化した。サーキットも視野に入れて開発されたこのタイヤは、抜群の軽快感とグリップ力が堪能でき、スポーツライディング好きにオススメだ。
●まとめ:中村友彦 ●写真:ブリヂストン/ヤングマシン編集部 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
【TESTER:中村友彦】最新ラジアルから定番バイアスまで、新旧タイヤ事情に異様に精通している、バイク雑誌業界23年目のフリーランス。
[◯] 軽快感と安定感を高い次元で両立
ブリヂストンの公道用ラジアルとして、最もハイグリップなタイヤとなる「RS11」。そんな製品に対し、筆者は「サーキット専用のR11をストリート向きにアレンジしたタイヤだろう」と、安直な予想を立てていた。しかし実際のRS11は、R11の技術はもちろん、スポーツタイヤであるS22の技術も取り入れることで独自の世界を構築していたのだ。
ブリヂストンのテストコースで、YZF‐R1に装着されたRS11と先代タイヤのRS10を履き比べた僕が感心したのは、プロファイルを尖らせると同時にS22と同様のコンパウンドを採用した、RS11の前輪の動きの軽さだった。別にRS10が重いわけではないが、車体を傾けようとした際の俊敏な反応とラインの自由度は明らかにRS11のほうが上。
もっとも、それ以上に特筆すべき要素は、後輪の絶大なグリップ力としなやかさだろう。コーナーの立ち上がりでアクセルを開けた際の感触は圧巻で、RS10では車体が横方向に逃げるような状況でも、RS11は路面をしっかり捉えて、車体をグイグイ前に押し進めていくのだ。
いずれにしても、前輪は軽快感、後輪は安心感という形で、前後輪の役割を分けた……と思える特性は、ブリヂストンにとっては新しい試みで、僕にとっても新鮮だった。ちなみにRS11はラップタイムを重視したタイヤではないけれど、同社がオートポリスで行った比較テストにおいて、RS11のタイムはRS10より平均で1.7%速かったそうだ。
前作・RS10との乗り比べでは?
乗り手によっては軽快なフロントの動きに違和感を持つ…、かもしれないRS11に対して、先代のRS10の特性はニュートラル&ナチュラル。とはいえ、’19年2月から発売が始まったS22が、RS10に匹敵する運動性と汎用性を両立していたことを考えると、今の時点でRS10を選択する理由はないと思われる。
[△] グリップ力と汎用性はナンバー1とは言えない
ストリートとサーキットの両方を視野に入れているものの、RS11はライディングプレジャーを徹底追求したタイヤである。逆に言うなら、絶対的なグリップ力ではR11、汎用性の高さではS22に及ばないと言える。
[こんな人におすすめ] レース向きとは言えないが、運動性は一級品
「スポーツライディングは大好きだが、サーキット走行は年に数回くらいで、レース参戦の予定はない」 RS11はそんなライダーにオススメのタイヤ。先代のRS10や既存のS22とは趣が異なる、抜群の軽快感とグリップ力が堪能できる。
補足情報その1:超定番バイアスタイヤ・BT45の後継「BT46」をウェットテスト
RS10/RS11と合わせて、超定番バイアスタイヤのBT45とその後継「BT46」も試してみた。開発目標がウェット性能向上だったため、試乗もウェットのみ。ニンジャ250で比較を行った筆者は、「確かにウェットでの接地感は明らかに向上しているけれど、この感触ならドライでも同様の感触が得られるんじゃないか」と感じた。機会があればドライの比較も行ってみたい。なお、当初発売されるBT46のサイズは前後合わせて25種類だが、順次サイズを拡大し、’22年にはBT45と同等の約50種類が揃う予定だ。
補足情報その2:旧車レース用の専用タイヤ「CR11」も登場
RS11とは成り立ちが異なるが、同じくR11の技術を転用して生まれた「CR11」は、ブリヂストン初のクラシックレース専用タイヤ(公道走行不可)。サイズは’70〜’80年代の大排気量マルチを主な対象とした、F=110/80R18 R=150/65R18のみ。
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