ミドルクラスの直4フルカウルスポーツ、CBR650Fがフルモデルチェンジし、車名も“F”から“R”へ。RRシリーズに通じる外観を手に入れ、走りも大幅に進化! その走りに乗り手を緊張させる要素はなく、極めて扱いやすい。これは新たな需要を掘り起こすかもしれない、そう直感した。
●まとめ:大屋雄一 ●写真:富樫秀明 ●取材協力:本田技研工業 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
[◯]車名は変更されたがFコンセプトは健在
不思議な気分だ。アグレッシブなフロントマスク、倒立フロントフォークにラジアルマウントキャリパー、耳に届く官能的な直4サウンド……。視覚と聴覚から入るこの新型車のフィーリングは全てスーパースポーツと同じなのに、その走りに乗り手を緊張させる要素はなく、極めて扱いやすい。これは新たな需要を掘り起こすかもしれない、そう直感した。
まずはエンジンから。648ccの水冷並列4気筒は、先代のCBR650Fよりも5ps多い95psを公称する。直4らしく回転上昇がスムーズな上に、3000rpm以下から実用域として使えるほど低中回転域にしっかりとトルクがある。スロットルレスポンスは忠実だがけっして過敏ではなく、大きく開けると7000rpm付近でもう一伸びし、レッドゾーンの始まる1万2500rpmまで胸のすく加速を見せる。120ps前後を発揮する600ccのスーパースポーツほどエキサイティングではなく、また前作よりも軽くなったとはいえCBR1000RRよりも11kg重いので、加速感は驚くほどではない。だが、それゆえにスロットルを開けられるので、内なるスポーツ心は大いに満たされるのだ。
ハンドリングもいい。安定成分が強めで、どんな操縦であれ車体を傾けさえすれば気持ち良く旋回体勢へと移る。CBR1000RRよりも軸距が45mm長く、キャスター角も約2度寝ているからか、操作に対する反応や旋回性はクイックではないものの、むしろこれが扱いやすさの源になっている。フォーク、リンクレスのリヤショックとも動きはスムーズで、何ら不満は感じなかった。
フロントブレーキは、前作の片押し2ピストンからラジアルマウントの対向式4ピストンへと一気にランクアップした。利きすぎを心配したがフィーリングは上々。フォークの倒立化によるフロントエリアの剛性アップもあり、ブレーキングに自信を持てるセットと言えるだろう。
なお、操作系ではアシストスリッパーによるクラッチレバーの軽さが際立っていた。250ccと同等かそれ以上といっても過言ではない。
[△]巡航ポジションでの防風能力を上げたい
座高にも左右されるだろうが、巡航ポジションで肩付近に走行風が強く当たるのがやや気になった。とはいえ、ヘルメットはほぼ完璧に整流されるので、風切り音に悩まされる心配なし。純正アクセサリーのハイスクリーンを試すのも手だろう。
[こんな人におすすめ]かつてのF4iの万能的な走りが現代に蘇った
街乗りからツーリング、週末のサーキット走行まで幅広く楽しめるのがFコンセプト。この新型車の名前からFは消えたが、中身はまさにそれ。シートカウルが狭いので市販のサイドバッグが装着しやすそうというのもポイントだ。
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