第47回マシン・オブ・ザ・イヤー2019

街乗りからツーリング、サーキット走行まで楽しめる

ホンダ CBR650R試乗インプレッション【万能性は維持しスポーティさに磨きをかける】

  • 2019/11/15
HONDA CBR650R

ミドルクラスの直4フルカウルスポーツ、CBR650Fがフルモデルチェンジし、車名も“F”から“R”へ。RRシリーズに通じる外観を手に入れ、走りも大幅に進化! その走りに乗り手を緊張させる要素はなく、極めて扱いやすい。これは新たな需要を掘り起こすかもしれない、そう直感した。

(◯)車名は変更されたがFコンセプトは健在

不思議な気分だ。アグレッシブなフロントマスク、倒立フロントフォークにラジアルマウントキャリパー、耳に届く官能的な直4サウンド……。視覚と聴覚から入るこの新型車のフィーリングは全てスーパースポーツと同じなのに、その走りに乗り手を緊張させる要素はなく、極めて扱いやすい。これは新たな需要を掘り起こすかもしれない、そう直感した。

まずはエンジンから。648ccの水冷並列4気筒は、先代のCBR650Fよりも5ps多い95psを公称する。直4らしく回転上昇がスムーズな上に、3000rpm以下から実用域として使えるほど低中回転域にしっかりとトルクがある。スロットルレスポンスは忠実だがけっして過敏ではなく、大きく開けると7000rpm付近でもう一伸びし、レッドゾーンの始まる1万2500rpmまで胸のすく加速を見せる。120ps前後を発揮する600ccのスーパースポーツほどエキサイティングではなく、また前作よりも軽くなったとはいえCBR1000RRよりも11kg重いので、加速感は驚くほどではない。だが、それゆえにスロットルを開けられるので、内なるスポーツ心は大いに満たされるのだ。

HONDA CBR650R

【ホンダ CBR650R[2019]】主要諸元■主要諸元■全長2130 全幅750 全高1150 軸距1450 シート高810(各mm) 車重207kg ■水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 648cc 95ps/12000rpm 6.5kg -m/8500rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量15L ■ブレーキF=Wディスク R=ディスク ■タイヤF=120/70ZR17 R=180/55ZR17 ●価格:103万6800~106万9200円 ●色:黒/赤

HONDA CBR650R

【カムとピストンを変更。待望のトラコンも採用】648cc水冷直4は従来型を基に動弁系の諸元とピストン形状を変更。エアクリーナーボックスは内部構造を見直し、ツインラムエア化。最高出力は5psアップ。アシストスリッパークラッチやトラコン(HSTC)も新採用。

HONDA CBR650R

【FからRへのモデルチェンジ】’14年にネイキッドのCB650Fとともにデビュー。’17年のマイナーチェンジでスタイリングを刷新し、最高出力を7psアップさせている。新型に面影が残るのはスイングアームぐらいだ。

ハンドリングもいい。安定成分が強めで、どんな操縦であれ車体を傾けさえすれば気持ち良く旋回体勢へと移る。CBR1000RRよりも軸距が45mm長く、キャスター角も約2度寝ているからか、操作に対する反応や旋回性はクイックではないものの、むしろこれが扱いやすさの源になっている。フォーク、リンクレスのリヤショックとも動きはスムーズで、何ら不満は感じなかった。

HONDA CBR650R

【CBRの血統を鮮明に表現したボディワーク】CBR650Fを基に軽量化とマス集中化を促進。車重は213→207kgへダウンした。リンクレスのリヤショックは下端にピロボールを新採用。急ブレーキを知らせるエマージェンシーストップシグナルも導入。

HONDA CBR650R

【構成パーツの見直しを図り運動性アップ】スチール製ツインスパーフレームは、従来型をベースにピボット部を鍛造プレートからプレス成形品によるボックス構造へ。エンジンハンガーはクロスパイプに一体化し、振動を軽減。

フロントブレーキは、前作の片押し2ピストンからラジアルマウントの対向式4ピストンへと一気にランクアップした。利きすぎを心配したがフィーリングは上々。フォークの倒立化によるフロントエリアの剛性アップもあり、ブレーキングに自信を持てるセットと言えるだろう。

HONDA CBR650R

新デザインのホイールにより前後で970gの軽量化を達成。フロントフォークは正立式→倒立式となり、フロントブレーキキャリパーはラジアルマウントに。

なお、操作系ではアシストスリッパーによるクラッチレバーの軽さが際立っていた。250ccと同等かそれ以上といっても過言ではない。

HONDA CBR650R

先代のFよりもハンドル位置は下げられたが、スーパースポーツほど前傾姿勢は深くなく、ロングランも快適。足着き性はご覧のとおり良好(身長175cm 体重62kg)。

HONDA CBR650R

【軽量メーターを採用。液晶は反転タイプだ】瞬間&平均燃費、ギヤ段数、シフトアップインジケーターなどを採用。セパレートハンドルの締結位置はトップブリッジの上→下へ。

HONDA CBR650R

CBR1000RRを彷彿させるLEDデュアルヘッドライトを採用。その左右にはツインラムエアダクトのエアインテークを設ける。なお、灯火類は全てLED化。

HONDA CBR650R

シート後端を従来比で約60mm短縮し、マスを集中化。タンデムシートはキーロックで脱着可。

HONDA CBR650R

テールパイプ径をφ35→38mmへと拡大し、後端角度を35.4度上向きに。直4サウンドを強調。

(△)巡航ポジションでの防風能力を上げたい

座高にも左右されるだろうが、巡航ポジションで肩付近に走行風が強く当たるのがやや気になった。とはいえ、ヘルメットはほぼ完璧に整流されるので、風切り音に悩まされる心配なし。純正アクセサリーのハイスクリーンを試すのも手だろう。

(結論)こんな人におすすめ:かつてのF4iの万能的な走りが現代に蘇った

街乗りからツーリング、週末のサーキット走行まで幅広く楽しめるのがFコンセプト。この新型車の名前からFは消えたが、中身はまさにそれ。シートカウルが狭いので市販のサイドバッグが装着しやすそうというのもポイントだ。

まとめ:大屋雄一 ●写真:富樫秀明
※取材協力:本田技研工業

※ヤングマシン2019年11月号掲載記事をベースに再構成

※本記事の内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。

大屋雄一

大屋雄一

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紙面版にて厳正なる新製品テストを担当するベテランジャーナリスト。