’12年のデビュー以来、長らくフラッグシップとして君臨したニンジャZX-14Rが’20年モデルでファイナルに。あらためてNA大排気量車の実力に触れてみた。試乗車は、ブレンボのモノブロックキャリパーや14R専用開発のオーリンズ製TTX39リヤショックなどを採用したハイグレードという特別仕様だ。
(◯)優れた高速安定性と高い旋回性が共存する
’12年のデビュー以来、7年ぶりに試乗するZX‐14R。当時、直接のライバルであるハヤブサと乗り比べたのだが、アルミモノコックフレームを初めて採用したZX‐12Rの曲がりにくさはどこへやら。ハヤブサよりも旋回力に優れ、エンジンもパワフルなだけでなくシルキーと表現できるほど上質に進化していた。
そんな一時代を築いた14Rが、ついに終焉を迎える。カワサキ旗艦の座を、同じ200psを発揮するスーパーチャージド998㏄のH2 SXシリーズに譲るのだ。だが、あらためて自然吸気1441㏄の14Rに乗ってみると、4000rpm以下でのトルクの厚さ、そしてスロットルの動きに対するレスポンスの忠実さに、H2 SXにはない大排気量4気筒ならではの味わいを再確認した。ちなみにトップ6速、100㎞/h巡航時の回転数は3500rpmと低く、微振動はほぼ皆無。パワーモードはフルとローの2種類から選べるが、前者でもスロットルレスポンスは過敏すぎず、ウェット路面も含めどの場面でも扱いやすい。
試乗車は、ブレンボのモノブロックキャリパーや14R専用開発のオーリンズ製TTX39リヤショックなどを採用したハイグレードという特別仕様で、現在購入できるのはこれのみとなっている。オーリンズのおかげだろうか、高速巡航時の乗り心地と安定性は非常に高く、7年前の記憶よりも明らかにいい。また、ブレンボについても、極上とも言えるしっとりとしたフィーリングの先に強烈なストッピングパワーがあり、269㎏もの巨体を安心して減速させることができる。ハンドリングは舵角を主体に旋回するタイプで、操作次第でコンパクトに向きを変えることも可能。また旋回中のラインの自由度もそこそこあり、大柄な車体を自在に扱える快感がそこにある。
上体を起こした巡航ポジションでの防風効果は、大型スクリーンを採用するH2 SX SEやSE+よりも低いが、そこは社外品で対策できるだろう。ZX‐14Rを新車購入できる最後のチャンスなので、気になっている人はお早めに判断を!
(△)パワーがあるだけに発生する熱量も多い
高速巡航中、エンジンからの熱風が主に右足に当たり続け、これが非常に熱い。また、市街地走行でも信号待ちのたびに高熱がライダーにまとわりつく。レザーパンツを穿くなどして対策した方がいいだろう。
(結論)こんな人におすすめ:設計年度の古さは感じるもののやはり魅力的だ
ZX-14RとH2 SXシリーズ。どちらも最高出力は200psだが、排気量の違いによる印象差は意外と大きく、どちらにも魅力がある。なお、14RはハイグレードでもH2 SX のスタンダードより安いが、後にプレミアが付く可能性は大だ。
●まとめ: 大屋雄一 ●写真: 山内潤也
※取材協力:ブライト
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