伝統と現在と、そして次世代へ

カワサキの底力発揮、未来を見据えた全方位展開戦略とは?

カワサキ 全方位展開

市場初のスーパーチャージド・ネイキッドであるZ H2、現在唯一となる250cc並列4気筒のNinja ZX-25R、人気ネオクラ無印W800の復活、そして既存モデルのブラッシュアップ等、2019年のバイク業界を大いに沸かせたカワサキ。その未来を見据えた戦略とは?

噂の電動マシン開発を正式発表

2019年のEICMA(ミラノショー)で、「走り」が楽しい電動バイクを初披露したカワサキ。注目すべきはミッションだ。電動バイクはオートマチック=無段変速が常識だが、カワサキ製はギヤチェンジでスポーティな走りを狙う。さらに左手に親指で操作する回生ブレーキのレバーも装備。

情報によると「ハンドリングはガソリン車とあまり変わらない。モーターの特性により路面に吸い付くようにトラクションがかかる」という。既存の電動車とは一味違う、カワサキならではの電動バイクと言えよう。開発は’00年初頭からスタートしており、現在ではより発展形の試作機が存在する模様。

KAWASAKI EVProject
カワサキEVプロジェクト
カワサキ 全方位展開
最下部にモーター、その上にバッテリー、上部に制御ユニットを搭載。
カワサキ 全方位展開
ミッションは4段リターン式で、既に多数の特許を取得しており「公道で試験走行済み」というから驚きだ。
カワサキ 全方位展開
足まわりなどに既存モデルのパーツを多く流用しているのが妙に現実的だ。

最新技術で再生産されるZ1/Z2パーツ

東京モーターサイクルショーで、Z1とZ2の再生産シリンダーヘッドが世界初公開された。’19年3月の再生産発表、7月末の試作品公開を経て、ついに実物がお目見えとなった格好だ。’70年代当時の図面に規定された仕様を元に、現代の設計基準・製造技術・製造法を用いた新開発となる。

関係者によると「コストは度外視」。名車中の名車とそのユーザーを大事にする、カワサキの思いが伝わってくる。「メーカーでないと生産できない」としてリクエストが多かったのが部品選定の理由だ。生産数は1000個で、12月中旬に開設予定の専用サイトで受注を開始する。他の部品やモデルについては、今回の購入者の声などから検討する予定という。

Z2/Z1 CYLINDER REVIVAL
Z2/Z1 CYLINDER REVIVAL
カワサキ 全方位展開
薄肉かつ中空構造を持つ設計に適した「低圧鋳造法」を採用。
カワサキ 全方位展開
本来のパーツより加工精度、材料とも向上している。
カワサキ 全方位展開
生産はもちろん日本の明石工場だ。価格は黒26万4000円、銀25万3000円。排気管取り付け用のスタッドボルト径は後期型のM8となる。

H2以降、あらゆる方向に新たな点を打ち続ける!

現行唯一となる250㏄直4のZX-25R、市場初のスーパーチャージャーネイキッドであるZ H2、人気ネオクラ無印W800の復活。そして既存モデルのブラッシュアップ、未来を見据えた電動モデル…。カワサキは全方位的に隙がなく、勢いがある。転機は、前代未聞のスーパーチャージャーマシン=H2を発売した’15年以降。他社がやらないモデルを積極的に開発し、しかも確実にヒットさせている。関係者によると「リサーチをしてお客さんとの距離を近く、でも近すぎず、ライダーがワクワクするモノをつくりたい」の思いが根底があり、国内メーカーの中では少し違う立ち位置を目指しているとのこと。まさに「Let the Good Times Roll」を愚直に追求した成果が近年のラインナップに現れている。

カワサキ 全方位展開

いまの熱狂

現代の持てる技術を使い、ライダーをアッと言わせるモデル群。増殖するスーチャー搭載車に、ジェットサウンドのZX-25R、ビモータとのタッグetc……。

伝統の継承

ダブワンやZほか、数々の名車を擁するたカワサキ。そのイメージを継承した現代版にも力を入れている。再生産パーツの拡充にも期待。

次世代展開

電動モデルを鋭意研究中。’21年はボッシュの先進運転支援システム(ADAS)搭載モデルを発売する。’13東モで発表した人工知能搭載の電動コンセプト=Jの具現化も近い?

カワサキ 全方位展開

カワサキ躍進の立役者たち。左からH2/H2Rの開発リーダー、市 聡顕氏。マーケティング部部長の桐野英子氏。現行ZX-10Rなどを手掛けた設計統括の松田義基氏。川崎重工業モーターサイクル&エンジンカンパニーの堀内勇二プレジデント。「特別な時間を過ごせるマシンをつくりたい」との思いは共通だ。

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