先進装備による安心感と安全性はトップクラス

カワサキ ヴェルシス1000 SE試乗インプレッション【電脳化で上質さアップのプレミアムSUV!】

  • 2019/7/26
2019 KAWASAKI Versys1000 SE

’12年にデビュー、’15年にフルモデルチェンジを実施した直4アドベンチャー「ヴェルシス1000 SE」が、’19年モデルで3代目へ。初の国内仕様をじっくりチェック! セミアクティブサスペンションのKECSやコーナリングライト、クイックシフターなどを標準装備する〝SE”は、ひたすらに従順で快適な正統派の脚長ツアラーだった。

(◯)ひたすらに従順で快適。正統派の脚長ツアラー

2気筒が王道のアドベンチャーというジャンルに、直4という新しい風を吹き込んだのがヴェルシス1000だ。縦2灯フェイスの初代に試乗した際、長いホイールトラベルから生まれる圧倒的な乗り心地の良さと、このスタイルゆえに許されるリラックスしたライディングポジション、そして、そこに大排気量インライン4のスムーズなトルクフィールが混じり合うことで、ツインの王道モデル勢よりも親しみやすいとすら感じたのだ。

そんなヴェルシス1000が’19年に3代目へと進化し、セミアクティブサスペンションのKECSやコーナリングライト、クイックシフターなどを標準装備する上位版〝SE”が国内仕様として販売されることとなった。

2019 KAWASAKI Versys1000 SE

【KAWASAKI VERSYS1000 SE[2019]】主要諸元■全長2270 全幅950 全高1490~1530 軸距1520 シート高820(各mm) 車重257kg ■水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 1043cc 120ps/9000rpm 10.4kg-m/7500rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量21L ■ブレーキF=Wディスク R=ディスク ■タイヤF=120/70ZR17 R=180/55ZR17 ●価格:186万8400円 ●色:緑×灰

2019 KAWASAKI Versys1000 SE

【試乗車はフルオプション。STDはパニアや補助灯なし】日本仕様はこの車体色のみで、 自己修復塗装を採用。試乗車は純正アクセサリーをほぼ全て装着しており、部品代のみで 30万円超!

まずはエンジンから。Z1000をベースとする1043cc水冷並列4気筒は、電子制御スロットルや慣性計測装置などを新採用。パワーはハイとローの2つを任意に切り替えられるのだが、ハイですら低回転域からライダーを慌てさせることがなく、レスポンスは極めて従順だ。それでいて大きく右手を動かせば、直4らしい印象的な吸気音とともに豪快に加速する。体に伝わる微振動は驚くほどに少なく、加えてクイックシフターの変速ショックもほとんどないことから、このエンジンには上品とか上質という言葉が似合う。

2019 KAWASAKI Versys1000 SE

【フレームはアルミツインスパー】従来型と同様にアルミツインスパーフレームとトレリス形状のシートレールを採用。ホイールトラベルはフロント150㎜、リヤ152㎜と長めだ。1043㏄水冷並列4気筒エンジンは電スロを新採用。スロットル側にポジションセンサーを設けるのはカワサキ初で、自然な操作フィールを実現。

ハンドリングもいい。前後ホイールが17インチのため、倒し込みから舵角が入るまでの動きがネイキッドに近く、しかも直4を搭載していながら切り返しが非常に軽い。これだけ大きな車体(しかも試乗車はフルオプション仕様だ)なのに最初から手足のように扱えてしまうので、見た目とのギャップに驚くほどだ。

注目のセミアクティブサスペンションについては、その存在を忘れてしまうほどに自然だ。減衰特性はスポーツ、ロード、レイン、そして任意に細かく設定できるライダー(マニュアル)の4種類があり、ロードが最も万能的だ。強めの加減速でもピッチングは過度に発生せず、それでいて大きなギャップを通過した際の吸収性はすこぶる良い。これを知るとコンベンショナルなサスペンションには戻れない。

2019 KAWASAKI Versys1000 SE

【カワサキ初となるプリ調整可能な電サス採用】セミアクティブサスペンションのKECS はショーワ製φ43㎜倒立式フォークとBFRCライトによって構成される。リヤのプリロードはボタン操作で3段階に調整可(フロントは工具が必要)。包括的なモードセレクト機構も用意。

2019 KAWASAKI Versys1000 SE

【ボッシュ製のIMUを採用し電脳化を促進】慣性計測装置と独自のソフトにより、セミアクティブサスペンションや高精度ブレーキ制御システムのKIBSを包括的にコントロール。フロントキャリパーはラジアルマウントに、マスターシリンダーはラジアルポンプへと進化した。

2019 KAWASAKI Versys1000 SE

このクラスのアドベンチャーとしては標準的な足着き性。ヒザの曲がりが緩く、しかも座面が広いので、長時間乗っても疲れにくい(身長175cm 体重62kg)。

2019 KAWASAKI Versys1000 SE

大型スクリーンは左右のノブを緩めることで、高さを55㎜の範囲で無段階に調整できる。一番下でも防風効果は優秀。

2019 KAWASAKI Versys1000 SE

【美麗なTFTメーター。電子デバイス満載だ】スマホ経由で各種設定が可能なライディオロジーやクルーズコントロール、グリップヒーター、パワーモード選択、クイックシフター、トラクションコントロール、2種類の電源供給などを採用。

2019 KAWASAKI Versys1000 SE

(左)標準的なABSよりも細かく油圧を制御する高度なブレーキシステムKIBSを採用。(右)バンク角に応じて視野方向を照らすLEDコーナリングライト。夜間の安全性を向上。

2019 KAWASAKI Versys1000 SE

オプション設定のパニアケースはジビ製で、容量は左右それぞれ28L。トップケースは47Lだ。

2019 KAWASAKI Versys1000 SE

海外仕様よりも20㎜低いシートを採用する。タンデムシートはキーロック式で、その下にETC2.0車載器を置く。

(△)全ての機能を使うのはハードルが高いだろう

電サスはハード/ノーマル/ソフトのそれぞれで減衰力を+5/-5の範囲で調整できたり、ブルートゥース接続により各種設定を専用アプリで変更できるなど、最新の機能が惜しみなく盛り込まれている。ゆえに全てを使いこなすのは大変だ。

(結論)こんな人におすすめ:先進装備による安心感と安全性はトップクラス

旋回中のブレーキングで車体が急激に起き上がらないとか、作動を感じさせないほどにスムーズなトラコンなど、サポート技術の進化に感心することしきり。カワサキの現行ラインナップで最も快適に長距離を移動できるモデルだ。

●写真:松井 慎
※取材協力:カワサキモータースジャパン

※ヤングマシン2019年7月号掲載記事をベースに再構成

大屋雄一

大屋雄一

記事一覧を見る

『ヤングマシン』にて厳正なる新製品テストを担当するベテランモーターサイクルジャーナリスト。