佐藤寿宏のロードレース通信

令和のHY戦争!? 全日本ロード 第3戦SUGOは中須賀か? 高橋巧か??

MotoGPはマルケスの強さが際立ってきていますが、全日本ロードレースの方は、けっこうおもしろいことになってきています!

2勝2敗で第3戦SUGOを迎える中須賀克行と高橋巧

開幕戦ツインリンクもてぎ、第2戦鈴鹿と2レース制で行われ、開幕戦は、中須賀克行が、第2戦は高橋巧が、それぞれダブルウインを飾っています。特に鈴鹿では、高橋が2レースとも圧倒的な速さを見せ、大きなインパクトを与えました。

第2戦鈴鹿は、オフィシャルの事前テストはなく、ホンダ、スズキ、カワサキが合同でプライベートテストを行いましたが、ヤマハは参加せずにレースウイークを迎えていました。高橋は、そのテストから2分03秒台に入れる速さを見せていましたが、レースになれば、4輪のラバーも乗り路面コンディションが変わってくることもあり、勝負できると中須賀は見ていました。

しかし、蓋を開けてみれば高橋が、ただ一人、2分03秒台のコースレコードをたたき出し、2レースとも独走で優勝を飾りました。全セッションでトップタイムをマークし、完璧なレースウイークを送ったことは、高橋にとっても、すごく自信になったようでした。

今ノレている高橋巧が第2戦鈴鹿でレース1、レース2と独走優勝。

一方、中須賀は、レース1で高橋を深追いし過ぎて転倒リタイア。レース2はマシントラブルを抱えながらも2位争いを制してビハインドを最小限に食い止めるものの、レース1のノーポイントは余りにも痛かったですね。ランキング上では、22ポイント差となり、残り5戦8レースをすべて勝てば追い越せる計算ですが、そう簡単には行きそうにもありません。

全日本ロードレース第2戦鈴鹿、JSB1000のレース2で表彰台に乗った面々。1位:高橋巧(中央)、2位:中須賀克行(左)、3位:野左根航汰

昨年の鈴鹿ラウンドでは、中須賀がポールポジションを獲り“前人未踏の2分04秒台”と書いたのですが、今年は、高橋が“前人未踏の2分03秒台”を達成。そのスピードの進化は目覚ましいものがあります。ヤングマシンの読者ならば“何でCBR1000RR SP2はモデルチェンジしていないのに、なんでそんなに速くなったの?”とお思いでしょう。

今のCBR1000RR SP2は、2017年に電脳化されビッグマイナーチェンジしたSC77をベースにしていますが、基本設計は2008年のCBR1000RR(SC59)ですから古さは否めないところです。それでも2014年までは、鈴鹿8耐で5連覇する強さを発揮していました。この時点で6年経っていましたが、結果が出ていたことが次期モデルの開発着手に遅れを取った要因の一つになっていたと言えるでしょう。

一方、ヤマハは、2015年にフルモデルチェンジしたYZF-R1を投入。全日本JSB1000クラスにもYAMAHA FACTORY RACING TEAMとしてワークス参戦を開始。全日本JSB1000クラスの王者であり、MotoGP開発ライダーの中須賀を中心に鈴鹿8耐を4連覇。全日本JSB1000クラスでも絶対王者として君臨しています。

開幕戦ツインリンクもてぎでダブルウィンの中須賀は、第2戦鈴鹿で高橋の後塵を拝す。レース1での転倒は、ペースにまさる高橋を追い掛けようというチャンピオンライダーとしての本能によるものか。

昨年、ホンダは10年振りにワークスチーム“Team HRC”を復活させましたが、そのブランクは大きく、中須賀のタイトル奪還を許す結果となっていました。それでもワークス仕様のCBR1000RRWは、カワサキZX-10RRのお株を奪うほどのストレートスピードを発揮していました。昨年は、そのスピードを生かし切れていませんでしたが、今年は、足回りとのバランスがうまく取れ、高橋自身もノレている状態となり、中須賀に真っ向から勝負する速さを発揮できるようになったと言えるでしょう。

高橋巧は自身を持ってバイクに乗っているのが伝わってきます。

今週末、宮城県・スポーツランドSUGOで開催されるシリーズ第3戦(5月25日・26日)は、中須賀 vs 高橋の令和HY戦争の行方に注目が集まります。事前テストでは、高橋が非公式ながらコースレコードをマークしトップタイム。中須賀は、鈴鹿での惨敗のリベンジを果たすべく違う方向性のセットもテストし手応えありと自信のコメントでした。チームメイトの野左根航汰も、いいタイムを刻んでおりYAMAHA FACTORY RACING TEAMとTeam HRCのガチンコ対決となりそうです。

トップ3台に、Kawasaki Team GREENの渡辺一馬、ヨシムラの渡辺一樹が、どこまで絡んでくるかでレース展開が変わってくることもあるでしょう。

ここ数年、SUGOラウンドは天気に恵まれていませんが、今週の予報はバッチリ! JSB1000クラスは、2レース制なので、土曜日にもレースを楽しむことができます。ぜひ、この機会に国内最高峰のロードレースを観戦してみては?

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