第47回マシン・オブ・ザ・イヤー2019

スペイン/ドイツメディアによるダブルインプレッション!

2019 ヤマハ新型YZF-R3の試乗インプレッション

  • 2019/4/27

元々は初級者向けの親切なスポーツツリングマシンとしてして生まれたYZF-R3だったが、SSP300カテゴリーのレースが始まると、より根本的なサーキットスポーツに生まれ変わることを求められた。そう、ただひとつの目的は復讐なのだ。

TEXT:SOLOMOTO(ESP)/PS(DEU) PHOTO:YAMAHA

SOLOMOTO(ESP):青の逆襲! 空力の劇的な向上により最高速度は190km/h

ひとつ明らかなことがある。ヤマハはマーク・ガルシアがスーパースポーツ300の初年度(2017年)に獲得したタイトルを取り戻すことだけを考えているのだ。そのため、YZF-R3はこれまでになく過激になった。

この新型R3にはかなりの数の変更があり、全てサーキット性能の向上に焦点を当てている。最も明白なのはフェアリングだ。よりスリムでスポーティなラインを持ち、ウインドプロテクションを向上。フレッシュエアを取り込むための中央の大きなダクトは、YZR-M1スタイルの中に一対のLEDヘッドライトを備えている。

YZF-Rファミリーのミドルクラスを受け持つのがR3。奥はR1だ。

トップブリッジは大幅に軽量化され、ロッシやビニャーレスのM1と同じグリッド面を見せている。燃料タンクは上面が低く、幅が広くなっているため、ライダーは伏せやすくなり、風の抵抗を避けることができる。この改訂はR3のスポーティなキャラクターを際立たせるだけでなく、空力面も向上させている。新しいエアロダイナミクスは、風の抵抗と走行中の乱流を減らし、最高速度を8km/h伸ばし、ほぼ190km/hに近づいた。

また、ハンドルバーの位置も変更され、バイクはよりアグレッシブに。φ37mmのKYB製倒立フォークとリファインされたリヤショック(プリロード調整可能)を新採用し、新作のLCDメーターは100%デジタルだ。エンジンは排気量の拡大が予想されたものの、従来型を踏襲。同じ並列2気筒321ccから42psを発生する。

新たなDNAのR3はスポーティなライポジとなり、街乗りには不利かと思われたが、意外にもほとんど影響はない。それはおそらく、125ccクラスのようにコンパクトで足着き性もよく、扱いやすいからだ。

スチールパイプフレームは従来型を踏襲。フロントにKYB製の倒立フォークを新たに採用したほか、リヤショックもフロントの剛性向上に合わせてリファイン。

ワインディングロードでのR3は激推しだ。パワーは十分にあり、それでいて手に余ることもない。その性能は安全に楽しむのに理想的だ。そしてこのR3はサスペンションも改善されている。倒立フォークは7mm以上も長く、リヤのモノショックの作動性もいい。これらがあって、私はリベラサーキットで積極的な走りにトライできたのだ。

曲がるためにブレーキングし、俊敏な方向転換、そして修正……。サーキットを走らせると、この2019年のアップデートがレーシングにフォーカスしたものであることがよくわかる。私は小さな子供が新しい玩具を楽しんでいるように見えただろう。

サスペンションの改良と50対50の重量配分は、あなたがサーキットで速く走ることを可能にするだろう。ハードブレーキングからバイクを傾けて素早いターンを得ようとするときにも不安はなく、安定していて信頼できる。このバイクはライダーに鋭敏さと楽しさ、そしてスキルの向上をもたらすだろう。

サーキットを離れ、自走で家路につくために高速道路に戻ると、巡行特性に関しても改善が見られたことがわかる。エアロダイナミクスの向上で余計な動きは少なく、快適性が犠牲になっていないことに気づくのだ。

エンジンは2018年型から変更されておらず、190km/hに迫る最高速度は空力の向上によるものだ。十分だが手に余らないベストバランスの42psを発揮。

このR3は軽く、安定性と優れたグリップ、信じられないほどのバランスを持つシャーシ、そしてMotoGPルック、使い切れるエンジンパワーの42psを手にしている。唯一、2人乗りにおいては快適とは言えないが……。

わずか2年で、SSP300は非常に人気のあるカテゴリーになった。平等さを重視した競争の激化により、すべてのブランドはこの分野に力を入れ、最も競争力のある製品を目指している。そう、ヤマハのように。R3はトップコンテンダーの地位を取り戻そうとしている。逆襲は成功したのだ!

PS(DEU):YZF-Rファミリーのセンターに陣取るR3

多くのライダーはバイクでいっぱいになったガレージを所有したいと夢見るだろう。少なくとも5台は欲しい? いや、せめて公道用のバイクと、サーキット用にもう1台を持てれば文句は言うまい!

……しかし、特に若いライダーの場合、この種の欲望は、ほとんど空想で終わってしまう。これから乗り始めるビギナーで、いったい誰がそのような艦隊を編成することができるだろうか。

しかし、解決策はある。その名は『YZF-R3』だ。5895ユーロ(約71万円/日本仕様の予想価格は70万円以下)という買いやすさで、中身を考えれば実際の価値はさらに増している。

レースに出てみたいという野心から日常の使用まで、YZF-R3のエンジンは幅広くカバーしてくれる。例えてみるなら、こんな毎日はどうだろう。朝早くにバイクにまたがり、騒がしい都市部を脱出したら数km先のワインディングを楽しむ。午後にはサーキットへ繰り出して、ちょっと熱くなって数ラップを本気で走る。……そう、実はこれ、2015年に最初のR3が登場したとき、スペインのバレンシアで開催された試乗会の1日なのだ。

【YAMAHA YZF-R3 2019(EU)】主要諸元■全長2090 全幅720 全高1135 軸距1380 シート高780(各mm) 車重169kg(装備)■水冷4スト並列2気筒DOHC4バルブ 321cc 42ps/10750rpm 3.0kg-m/9000rpm 変速機6段 燃料タンク容量14L■ブレーキF=φ298mmディスク+2ポットキャリパー R=φ220mmディスク+1ポットキャリパー タイヤサイズF=110/70-17 R=140/70-17 ●ドイツ国内価格:5895ユーロ

さて、いったいどこが新しくなっているのか? 一見したところ、まずデザインは明らかに新しい。より大きな排気量のYZF-R6やYZF-R1、そしてバレンティーノ・ロッシのYZR-M1に近づいている。この印象を決定づけているのが、フロントカウル中央のエアダクトだ。さらに、エアロダイナミクスにおいても多くの仕事がなされている。設計し直されたフェアリングは風の抵抗を9%も減らし、最高速度を高めた。

燃料タンクの形状も変わった。タンク前半のカバー部分は2cm低くなり、またヒザ付近では3cmほど幅が広くなっている。これによって、よりマシンに安定してコンタクトできるようになり、コントロールもしやすくなった。

より正確なハンドリングとさらなるコントローラブルさ

こちらはサーキット仕様のYZF-R3。活き活きと走る!

コックピットを覗くと、さらなる変化が明らかになる。読み取りやすいLCDスピードメーターのほかに、ギヤポジションインジケーター、調整可能なシフトタイミングインジケーター、燃料残量計、そして表示バリエーションの豊かな距離計が備えられている。もう一方では、MotoGPスタイルで肉抜きされたアルミ製トップブリッジが目を惹く。ハンドルバーの位置は
22mm下げられ、絞り角は2度開いた。それでも、YZF-R3は快適な部類だ。これは780mmという低めのシート高のおかげもあるだろう。

エンジンは完全に従来のままだ。321ccの並列2気筒は169kgの車体を活き活きとドライブさせる。レスポンスのいい静かなツインエンジンは全ての速度域で一貫しており、1万1000rpmまで気持ちよく吹け上がる。

メーターはアナログ回転計を装備していた従来型から100%デジタルのLCDスクリーンに。トップブリッジはMotoGPスタイルの肉抜きが施され、レーシングイメージを強めた。

そしてサスペンションの変更により、俊敏なR3はリアルウエポンになった。フロントには新しいKYB製倒立フォークを採用して高剛性化。ダンピングは高められ、スプリングもよりハードになってスポーティな振る舞いを見せつつ、今までよりも路面追従性は正確にコントロールされている。

ダンロップのスポーツスマートGPR300は、高速道路でアベレージスピードを高く保つのに貢献するだけでなく、コーナーに隠れた厄介な路面でも高いグリップを約束。そしてそれが失われそうなときの予測も容易だ。

フロントフォークはインナーチューブ径φ41mmの正立フォークからφ37mmの倒立タイプへ。キャスター/トレールやブレーキディスクのφ298mmは従来型から変わっていない。

さて、YZF-R3はどのくらいスポーティなのか。サーキットを縦横に走り回った周回を振り返ってみると、コースはメインストレートを除けば長い直線がなく、ギヤチェンジは本当に忙しい。3速から4速、そして5速、6速へ。瞬く間に3足へと戻り、また最初から繰り返す。しかし、ギヤレシオを3つ下げるという作業は、タイトフックコーナーでは時として絶対に必要というわけでもない。この321ccエンジンはいつも十分なトルクを発生してくれるからだ。

スポーツライダーはラップタイムを詰めるためにブレーキングを可能な限り遅らせようとする。そのために求められるのは、きっちりしたライディングスタイルだ。きちんとスピードを乗せたあと、ハードにブレーキングをする。それを可能にしているのは、ヤマハのブレーキの高い安定性だ。ただし、アンチホッピングクラッチは付いていないので慎重に……。

全体として、新しいYZF-R3は印象的な運動性を提供してくれている。

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帰ってきたネイティブ足立区民。ヤングマシン、姉妹誌ビッグマシンで17年を過ごしたのち旅に出ていた編集部員だ。見かけほど悪い子じゃあないんだぜ。
■1974年生まれ
■愛車:MOTOGUZZI V7 SPECIAL(2012)