キッカケは’16バンコク

新型モンキー125開発者インタビュー 「コンセプト」が正規プロジェクトへ

モンキー125開発のキッカケとなったのは、2年前のバンコクで公開された1台のコンセプトだった。かの国が欲しいレジャーバイクを形にしたこのプロト、50の生産終了を受けた提案ではなかったのだという。 ※ヤングマシン2018年7月号(5月24日発売)より

50㏄の後継機ではなかった?

YM:モンキー125のコンセプトを教えてください。
荒木:ひと言で言うと〝アソビの達人〞です。モンキー(50)が持っていた遊び心を125にスケールアップし、今のグローバルな交通環境に合致させながら世界に広げようということで、タイでデザインと開発を行いました。
YM:なぜタイで開発したんですか。
新出:モンキー125は、’16年にタイで開催したバンコクモーターショーに参考出品された〝モンキーコンセプト〞が始まりでした。モンキー(50)は海外でも人気がありましたが日本専用でした。その存在はタイでも広く知られていて、タイの市場だったらグロムをベースにしたモンキーがいいよねっていう想いを、モンキーコンセプトとして提案しました。そして、バンコクモーターショーに出展すると世界中から反響が寄せられ、これならモンキー(50)の後継機種として日本でも販売できるし、グローバルモデルとして世界に展開できる、ということで開発がスタートしました。
YM:モンキー(50)が排ガス規制で生産を終了することを見込んで、モンキーコンセプトは企画されたんですか。
荒木:そうではありません。なぜなら、’16年のバンコクショーの時点ではモンキー(50)の生産を終了することは決まっていませんでした。ですが、’17年9月に始まった第3次排出ガス規制を改良によってクリアできたとしても、今後ますます厳しくなっていく規制を50㏄のままで対応するのは、難しいと思っていました。
YM:スーパーカブは新排出ガス規制に対応した50が登場したので、同系のエンジンを搭載したモンキー(50)も規制をクリアできたのではないですか。
新出:技術的には可能ですが、新しいスーパーカブ(50)のエンジンは大幅に設計を変更していて、モンキー(50)に搭載するには手動クラッチを新設計しなければなりません。モンキー(50)は日本だけで販売しているモデルなので、1000台規模という生産台数だとコストが上がり、販売価格も高くなってしまいますので難しいと考えました。
荒木:お客様に納得していただける価格でなければなりませんからね。しかも、国内の原付1種は各種の厳しい規制から需要が減っています。そうしたことを総合的に判断し、モンキー(50)は生産を中止することになりました。
YM:それが125㏄とすることで、復活できたわけですね。
新出:50㏄というクラスは今では日本だけですが、125㏄になれば世界中で使い勝手のいいクラスになります。アジアでは110㏄〜150㏄がもっともボリュームが大きいですから。

【新出安男さん(左)】モンキー125 の開発責任者の大役を担った新出さん。タイに赴任する前は、日本で原付スクーターのダンクの車体設計担当、タクトの車体設計責任者を務めた。【ナーワー・フォンミーさん(中)】新出さんの部下として車体設計を担当したのに加え、設計メンバーを統括するDPL(デベロップメント・プロジェクト・リーダー)の重責を担った。【荒木順平さん(右)】モンキー125 では日本仕様の商品企画を担当。これまでの代表機種は、スーパーカブをはじめ、モンキー50、グロ厶、ジャイロX、ベンリィなど。

モンキーらしいデザインとは

YM:モンキー125を開発する上で難しかったのはどこですか。
新出:50と125とではクラスが違いますが、一目でモンキーと分かってもらえるようにすることが難しかったですね。前後が短く上下が高い台形フォルムや個々のデザインで、モンキーらしさを出しました。
YM:デザインでモンキーらしくしたというのは、具体的にはどこですか。
新出:横から見たときのシートの厚さやタイヤサイズですね。特に丸くて厚みのあるシートは、どうしてもデザインに取り込みたかったところです。
YM:タイヤサイズは、グロムと径や幅は同じですが扁平率が異なりますね。トレッドのパターンも違います。
新出:モンキー(50)は、車体が小さいこともあって8インチと小径でもタイヤの存在感がすごくありました。モンキー125では、グロムと同じ12インチを踏襲した上で、扁平率を70%から80 %に変更した専用設計とすることで、存在感を出しました。トレッドのパターンも、モンキー(50)と同様のブロックパターンを採用しています。
YM:乗り味は、ベースとなったグロムとは違うように作られたんですか。
新出:はい。グロムはスポーティなバイクなので〝とがった走り〞を目指しています。それに対してモンキー125は、〝ゆったりとトコトコ走る〞ということにこだわりました。エンジン自体はグロムと共通ですが、エキパイの管長やエアクリーナーの容量などを変更することで、4000~6000rpmで力強い特性としています。
YM:フレームについてはどうですか。
新出:フレームも一部はグロムと共通ですが、先ほどの〝トコトコ走る〞という乗り味を実現するために、開発する上で剛性や強度を最適化しました。
YM:ベースとなったグロムは2人乗りが可能ですが、モンキー125を1人乗り専用にしたのはなぜですか。
新出:2人乗り仕様にするには、シートを長くしなければなりません。そうすると、どうしてもモンキーからかけ離れたデザインになってしまいます。そうしたことから、当初から2人乗りは想定しませんでした。
YM:モンキーはカスタムする楽しみが大きいバイクですが、モンキー125を設計する上でカスタムのしやすさなどは考えられたんですか。
荒木:商品企画の段階で、カスタムの要件を考慮しました。例えば、最近のバイクは燃料タンクとサイドカバー、シートなどが一体化したデザインが多いですが、モンキー125はこれまでどおり独立させていますから、自分仕様にしやすいと思います。

【HONDA MONKEY CONCEPT 2016年バンコクモーターショー出品コンセプトモデル】細部は異なるものの、50最終型を踏襲するタンク形状は生産型125とほぼ共通だし、特徴的なシートレールデザインも取り込まれている。タイヤもすでに80偏平だ。

世界に大きく広がるモンキー

YM:世界中で販売するということですが、どこでどれくらいの販売台数を見込んでいるんですか。
荒木:メイン市場はやはりタイで、年間1万2000台の販売を見込んでいます。その次が日本で、販売計画台数は3200台です。北米と欧州でもそれぞれ2000台強を想定しています。
YM:ナーワーさんにお聞きしますが、グロムとモンキー125では、タイのユーザー層はだいぶ異なるんですか。
ナーワー:はい。タイではグロムはMSX125ですが、10代から20代の若い人が中心です。ワンメイクレースもすごく人気です。モンキー125のお客様はいろいろで、年齢は40代とか50代の方もいらっしゃいます。もちろん、若い人にも買っていただいていますが、流行に敏感でお金に余裕のある人たちが多いですね。
YM:ナーワーさんは、モンキー125の車体を設計したということですが、苦労されたところはありますか。
ナーワー:タイの研究所にはテストコースもありますが、モンキー125はグローバルモデルということもあり、タイ駐在の日本人スタッフと相談しながら開発しました。開発期間が短かったので、とても大変でしたね。でも、楽しかったです。

タイ仕様には黒×白や青×白カラーも存在。カブハウスで展示する際、2色ではもの足りない……と現地から要望されたとのこと。

ニュース提供:ヤングマシン2018年7月号(5月24日発売)
文:中野仁史
撮影:古庄速人/真弓悟史
「2018新型モンキー125は約40万円~で7/12発売」記事はこちら
「モンキー125とカブC125の専売店「Cub House」とは?」記事はこちら

いち

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本誌編集長。雑誌は生き残りタイアップ全盛期だというのに、ひとり次期型ネタを嗅ぎまわって反感を買う現代のスクープ魔王。
■1972年生まれ
■愛車:BMW R100GS(1988)

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