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日本最大のカスタムの祭典「YOKOHAMA HOT ROD CUSTOM SHOW 2023/第31回ヨコハマホットロッドカスタムショー2023(以下、HCS)」が、2023 年12月3日(日)、パシフィコ横浜にて開催。来場者数は過去最大の2万5000人に達する大盛況となった。そして、ブランドはカスタムシーンとともにあると言わんばかりに、オフィシャルスポンサーとして例年ドでかくブースを構え、ショーを盛り上げたのがハーレーダビッドソンだ。話題のX350&X500のカスタムがアンベールされ、多くの来場者から熱視線を浴びた。
●文:WITH HARLEY編集部(青木タカオ)●写真:富樫秀明
X350 Knight:XR750の本質を現代に映し出す〈HOT-DOCK CUSTOM CYCLES〉
X350を手がけたのは、「HOT-DOCK CUSTOM CYCLES」の河北啓二氏。X500の方は「WEDGE MOTORCYCLE」の二平隆司氏が担当した。両氏は、日本のみならず世界中のカスタムシーンで高く評価され、ファンらから人気を博す有力ビルダーだ。
世界中の才気あふれるビルダーたちが熱心線を送り、敬意を表する日本を代表するカスタムビルダーが河北氏。ひとりのビルダーとして、類いまれなクリエイティビティを発揮するだけでなく、国内屈指のハーレーカスタムショー「COOL-BREAKER(クールブレイカー)」を幾度も主催し、国内のカスタムシーンを牽引してきた。
レースへの参戦経験も豊富で、妥協を排した緊張感みなぎる作り込みは、些細なミスも許されぬサーキットという極限の環境下で培われたものだ。
ワークスレーサーXR750に絶対の美を見出す河北氏が、そのDNAを受け継ぐX350に原点とも呼ぶべきフォルムを与えた1 台が「X350 Knight」だ。
フラットトラック専用タイヤを履いたLADY TO RACEのスパルタンなフィニッシュであるとともに、航空機を彷彿させるリベットのディテールや模型工作から着想を得たペイントなどに、円熟の遊び心を感じてならない。
外装をグレーにし、タンク上面にオレンジでチェッカーパターンをあしらい、アクセントとしている。車名にした「ナイト」は、言うまでもなく騎士を意味し、チェスでは他の駒を唯一飛び越えて移動できる身軽さが武器。リベット風のディテールやエアインテークを持つシートカウルは、SFの世界感が漂う。ショートサイレンサーは2本出しで、排気口にはメッシュガードが備わった。河北氏は「シンプルでカスタムしやすい」と話す。
X500 Notch X:先入観ないスタイル。無限の可能性がある〈WEDGE MOTORCYCLE〉
「X500 Notch X」を手がけたのは、二平隆司氏。完璧主義とも言えるほどに、一切の妥協を排してカスタムに向き合うストイックな姿勢と、そこから生み出される端正の極みたるスタイルが高く評価され、昨今世界的にもっとも関心を集めているビルダーのひとりだ。
板金加工はもとより、ペイントを含むカスタムのおよそ全工程を自身の手で完遂することにこだわり、頭に描き出した完成像は一分の狂いもなく具現化されていく。
国産車や欧州車を主なフィールドとしているため、今回、ハーレーダビッドソンをカスタムしたことは意外とも言え、大きな注目を集めたものの、その鋭い感性はブランドや車種に左右されるものではないことをこの1 台が証明してみせた。
Notch XはX500の持つ都会的なエッセンスを最大限に引き出し、アスファルトに映えるカフェスタイルのストリートレーサーへと昇華している。
マシンの印象を一新するシングルシートカウルが目を惹き、ハンドルは低くセットされたセパレートタイプ。前傾姿勢のアグレッシブなライディングポジションとなった。これに合わせ、ヘッドライトやメーターのマウント位置を変更しつつ、フューエルタンクの形状にも手が加えられるなど、細かなモディファイによって全体の完成度が高められているのも見事だ。
ボリューム感あるロードスターのイメージをガラリと変えた。ヘッドライトはノーマルのままだが、全体のシルエットに合わせて低い位置へ移設。ワンオフで製作したトップブリッジでセパレートハンドルをセットし、低くストイックなカフェレーサースタイルを生み出している。リヤフレームを作り直し、直線基調のシート&テールカウルを装着。小型のリチウムイオンバッテリーをエンド部に収めている。短くシンプルなマフラーも、スタイリッシュなスタイルによく似合う。
RIDE IN SHOWで一際目を引いたのは、パンアメリカ1250ベースのリアルレーサー2台!
SUPER HOOLIGAN RACER SUICIDE MACHINE COMPANY PANAMERICA1250 Shaun & aron Guardado
ショーの冒頭では、カスタム車がエンジン音を響かせつつ会場に入場する「RIDE IN SHOW」がある。そこで目を引いたのは、ハーレーでスーパーフーリガンレースに参戦する2台のリアルレーサーだ! ベースはパンアメリカ1250で、カリフォルニア・ロングビーチのスーサイドマシーンが手掛けた。ビルダーのショーン&アーロン/ガルダド兄弟が自ら乗り込んだから、ファンが沸く!!
草レースに端を発し、なんでもアリな無謀なレースだったことから「フーリガン(Hooligan)」レースと呼ばれ、近年人気が高まっていたところに、2017年にハーレーダビッドソンが、X Gamesの新種目として「HARLE-DAVIDSON Hooligan Racing」を開催。全米から注目を集めると、2021年には2気筒750cc以上の市販車ベースで競われるAMA Moto America スーパーフーリガンナショナルチャンピオンシップ(SHNC)ロードレースシリーズがスタート。現在では各メーカーがスタイルとパフォーマンスを競い合う、人気コンテンツのひとつに成長している。
SUICIDE MACHINE COMPANYは、ハイパフォーマンスなフラットトラッカーやクラブスタイル系のカスタムなどを得意とし、過去にはH-Dとのプロジェクトで、ストリートロッドをX Gamesのためにスノーモービル化したスペシャルバイクを制作したり、電動バイクLIVEWIREのレーサーでラグナ・セカのフーリガンレースに挑むなど、一線級のレースで通用する性能とスタイルを併せ持つマシンを手がけてきた。
ガルダド兄弟は、マシンを組み上げるバイクビルダーであると同時に現役レーサーでもあり、さらにクルマをぶつけ合いながら生き残りをかけて争われる“車の格闘技”デモリッションダービーでも活躍する、四輪レーサーとしても知られる。ショップスローガンの「Fast」「Loud」「Deathproof」には、これまで幾度となくレースで激しいクラッシュをしても不死鳥のごとく必ずレーストラックに戻ってきた、彼らの自信とプライドが込められている。
ハーレーダビッドソンにとっては、2023年がパンアメリカでの初参戦ながら、その実力は同じクラスで戦うTEAM SADDLEMANのCory West選手によって証明されている。IndianFTR1200をはじめ、KTM890DUKE R/DUCATIハイパーモタード950SP/BMW R nineTなど強豪がひしめくこのクラスにおいて、開幕戦デイトナのラウンド2で、Indianファクトリーチームの追撃を押さえてパンアメリカのクラス初優勝を獲得(後にレギュレーション違反で痛恨の失格となる)。最終戦の転倒の影響もあり、2023年シーズンの総合ランキングは6位に甘んじたものの、来季での巻き返しが期待されている。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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