
映画『ターミネーター2』の劇中、アーノルド・シュワルツェネッガーが駆ったことで、ファットボーイの存在が世界中に広く知られ、その人気に拍車をかけたことは、バイクファンらの間ではあまりにも有名。それから30年。歴代のファットボーイを見ていこう。
●文:ウィズハーレー編集部 ●写真:ハーレーダビッドソンジャパン ●外部リンク:ハーレーダビッドソンジャパン
FLFBS ANV ファットボーイ30周年記念モデル:銀幕の中で輝いた初代から30年。精悍なブラックボディで堂々の登場
『イージーライダー』のパンヘッドチョッパーなど、銀幕のスターとともに存在感を示した歴代のハーレーは数あるが、ファットボーイは特に映画との結びつきを強く感じるモデルである。
ハーレーダビッドソンの本社があるウィスコンシン州ミルウォーキーには、1903年から続く鉄馬たちの息吹と伝統を実感できるミュージアムがあるが、そこでもファットボーイは『ターミネーター2』のポスターやシュワルツェネッガーの人形とともに飾られ、いかに映画の影響が大きくあったかがうかがい知れる。
初代ファットボーイが誕生したのは『ターミネーター2』が公開される1年前のこと。誕生30年の節目を迎えた2020年に、ファットボーイ30周年記念モデルが発売された。
このモデルの顔ともいえる240mmのファットなリアタイヤを履いたテールエンドの迫力はそのままに、燃料タンクコンソールにはシリアルナンバーが刻まれている。世界限定2500台のみの生産。エンジンがブラックアウトされたほか、マフラー/鋳造アルミ製レイクスターホイール/ヘッドランプナセル/ハンドルバー/コントロール部など多くのパーツが、従来モデルとは異なるビビッドブラックを基調としたダークなスタイリングで構成されている。
1990〜2020 ファットボーイヒストリー:銀幕で強烈な存在感を示し、一躍人気に
ファットボーイの人気を急上昇させたのは、映画『ターミネーター2』(1991年公開)でアーノルド・シュワルツェネッガー扮する主人公・T-800が、劇中を豪快に走らせたことも大きい。レザージャケットとサングラスというワイルドな姿でハーレーダビッドソンに乗る姿は、世界中の人に強烈なインパクトを与え、その存在を広く知らしめることにつながった。その印象は凄まじく、今もファットボーイといえばターミネーター2を連想する人は少なくない。
【1990年:長きに渡って愛され続ける強くて太いスタイル】FLSTFファットボーイがデビューしたのは1990年のこと。前後16インチのディッシュホイールや幅の広いフェンダー、大きなヘッドライト&ナセル、ファットバーと呼ばれる太いハンドル、ショットガンマフラーといった独創的な装備による力強く逞しいスタイルが、見る者に強いインパクトを与えた。初期型だけがフレームにシルバーパウダーコートを施し、バイク全体を覆うシルバーを引き立てるために、ロッカーボックス/ダービーカバー/タイマーカバー/イグニッションスイッチにイエローの装飾が加えられているのも見逃せない。
【2000年:EVO→ツインカム88Bへ】2000年型からはエボリューションVツインを「ツインカム88B」に刷新した。このパワーユニットは、その名のとおり前後シリンダーに1本ずつ計2本のカムシャフトを備えている。排気量は88キュービックインチ=1450cc。フレームにエンジンをリジッドマウント(直付け)するソフテイルファミリーでは、振動対策としてカウンターバランサーを搭載するBエンジンを採用した。
【2010年:ダークカスタムの兄弟モデル】FLSTFBファットボーイローが登場したのは2010年式から。光沢のあるクロームを排した“ダークカスタム”とし、車体はブラックとサテンクロームのコントラストで落ち着いた。前後サスペンションが1インチほどロープロファイル化され、足着き性を向上。加重時シート高は620mmで25mmのダウンとなり、ファットボーイに乗るのに体格を理由で諦めることがなくなった。
【2016年:ツインカム110B搭載】2016年式と2017年式には、ダーティーなボディのファットボーイローをベースに、スクリーミンイーグルツインカム110B(ボア101.6mm×ストローク111.1mm/排気量1801cc)を搭載する「FLSTFBSファットボーイS」も発売された。ツインカム時代末期に登場した、まさにスペシャルなファットボーイだったと言える。
【2019年:ミルウォーキーエイトへ刷新】2018年式でフレームとエンジンを一新。大柄なナセルにLEDヘッドライトが埋め込まれ、大胆で勇ましいフロントマスクを演出。フロントサスペンションはデュアルベンディングバルブフォークにグレードアップされ、「ファットボーイ」のアイコンとも言えるディッシュホイール/ワイドフェンダー/ファットハンドルバー/タンクコンソールのアナログ式5インチメーターといった装備は、洗練されつつも健在だ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
ハーレーダビッドソン専門誌『ウィズハーレー』のお買い求めはこちら↓
あなたにおすすめの関連記事
明るく広々した店内に人気の最新モデルが勢揃い 弾ける笑顔で、ハーレーダビッドソン埼玉花園の店内を案内してくれるのは市川さん。ハーレーダビッドソンがミルウォーキーに構え続ける本社屋のようなレンガづくりの[…]
最大40%オフの記念フェアも開催! 全国に112店舗あるハーレーダビッドソン正規ディーラーの中から、年度ごとにナンバーワンを表彰するのが「ディーラー・オブ・ザ・イヤー」だ。 正規ディーラーとしての[…]
ブレイクアウトのモディファイに特に定評があるフォレストウイング パフォーマンスバガーからスポーツスターまで、ジャンルを問わず都会的でハイセンスなカスタムを次々とリリースしてくるフォレストウイング。M8[…]
インジェクションチューニングの効果を体感 「インジェクションモデルは、燃料や点火のタイミングをコンピュータで制御していますが、ノーマルの場合、排ガス規制に適合させるため、燃料の薄いデータがコンピュータ[…]
10周年を機に心臓部を強化! まず車体を見ていく。ロー&ロングの伸びやかな車体に、フロント21インチの大径ホイール、そしてリヤに240mmものワイドタイヤをセットするのが『ブレイクアウト』だ。 2[…]
最新の関連記事(ハーレーダビッドソン)
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc 400ccクラスは、普通二輪免許を取ってから間もないビギナーも選ぶことができる排気量帯で、16歳から乗ることができる。 そんな400cc[…]
トリックスター初となるハーレー用マフラー トリックスター初となるハーレー用マフラーが、X350向けにリリースされた。今回、初の試みとして“ツインタイプ”のサイレンサーが採用されている。 X350の特徴[…]
パフォーマンスマシン:レース環境から生まれた究極の操作性 ハイパフォーマンスを追求するのが、ハーレーの最新トレンド。優れた機能性とカスタムルックを高い次元で両立するアルミニウムビレット製のラジアルハン[…]
実績豊富なディーラーによる絶妙なバランス感覚 全国のハーレーダビッドソンジャパン販売網がカスタムの腕とセンスを競うコンテスト『バトルオブザキングス』にて2年連続で日本一になった実績を持つワタナベモータ[…]
「パンヘッドのチョッパーに乗りたい」理想像を具現化 目の肥えたファンが集まるカスタムショーに大きなブースを構え、絶え間なくハイレベルな作品を発表し続ける遠藤自動車サービス。その確かな技術力/信頼性の高[…]
最新の関連記事(新型バイク(外国車/輸入車))
350ccクラスの破壊者! 現地価格はハンター350やGB350よりも安い BSAモーターサイクルズが新型モデル2機種を発表した。ロンドン開催の国際発表会で公開されたのは、ティーザー展開されていた「バ[…]
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc 400ccクラスは、普通二輪免許を取ってから間もないビギナーも選ぶことができる排気量帯で、16歳から乗ることができる。 そんな400cc[…]
最新ボクサーのパワフルな走り 2023年のR1300GSに続き、R1300RT/R1300R/R1300RSもついに最新ボクサーを搭載。今回ドイツで行われた試乗会ではRTとRに試乗した。 RTはGS同[…]
本格派に大変身! これはガチンコのオフロードバイクだ 従来のアーバンG/Sは往年の雰囲気を楽しむ色合いが強く、オフ走行にはあまり向かなかったが、新しい「R12G/S」は、ホイールトラベル前210/後2[…]
50年の眠りから覚めたBSA、復活のファーストモデルがゴールドスター 世界最古クラスの英国ブランド、BSAが再び日本に上陸した。輸入を手掛けるウイングフットが「BSA ゴールドスター」を取り扱い“ほぼ[…]
人気記事ランキング(全体)
フリーズテック史上最高の冷感「氷撃α」シリーズ フリーズテックから登場した「氷撃α」長袖クルーネック冷感シャツは、シリーズ史上最高の冷感性能を誇る最新モデルです。生地表面に特殊な冷感プリント加工を施す[…]
ヘルメット装着で手軽に使えるバイク専用ドラレコ 「MiVue MP30Gps」は、バイクヘルメットに直接取り付けられるドライブレコーダー。これまでの車体取り付け型と違い、視界や操作性を損なわずに取り付[…]
ホンダCB1000F SE コンセプトの姿はこれだ! 7月11日、ホンダは鈴鹿8耐会場内のホンダブースにて、CB1000F SE コンセプトを世界初披露すると突如宣言した。 同リリースでは真横からのシ[…]
空冷四発の最終形態……CB-F最後の1年を飾る1100F[1983年] 多くのライダーが憧れる究極のフラッグシップであるCB1100Rの技術をフィードバックした、CB-Fシリーズの最終形態。 エンジン[…]
4つの冷却プレート&ペルチェ素子で最強の冷却力を実現 「ペルチェベスト」は、業界最先端の半導体冷却技術を採用し、前後4か所に冷却プレートを搭載した新発想の冷却ウェアです。小型冷蔵庫にも使われるペルチェ[…]
最新の投稿記事(全体)
“モンスターマシン”と恐れられるTZ750 今でもモンスターマシンと恐れられるTZ750は、市販ロードレーサーだったTZ350の並列2気筒エンジンを横につないで4気筒化したエンジンを搭載したレーサー。[…]
【TESTER:青木タカオ】片岡義男小説で魅了されて以来、W1SAを25年間にわたって2台乗り継ぐバイク業界きってのWフリーク。 世界市場へ挑戦した当時最高の運動性能が魅力 前後に光る太鼓ウインカー、[…]
市販車とは異なる巨摩 郡の魂 CB750F 漫画『バリバリ伝説』を知る者ならば、主人公・巨摩 郡(こま ぐん)の愛機といえば、即座にあのホンダCB750Fを思い浮かべることだろう。当時のバイクブーム真[…]
街乗りで乗り比べてみると、R15とR25はどこが違って感じるのか!? 両車とも軽二輪クラスで、“車検がなく、維持しやすくて高速OK!”というキャラクターは一緒なR15とR25。気になるのは155ccと[…]
日本が誇る雄大な自然を体感する一大ツーリングイベント 「日本三霊山ラリー」は、古来より日本の山岳信仰の対象とされてきた富士山、立山、白山という3つの頂を巡る壮大なツーリングイベントだ。石川、富山、静岡[…]
- 1
- 2