
●文:ライドハイ編集部(伊藤康司)
バッテリーが上がると、ベテランは「押しがけしろ!」と言うけれど…
バッテリーが弱っていたり、ライトの点けっ放しなどでバッテリーが上がってしまい、スターターボタンを押しても、セルモーターは「ギュッ…ギュッ…」と力なく、エンジンがかからない…。
とくに冬の朝はそんなシーンをよく目にする。1泊ツーリングの朝だったら、まあまあ大変だ…。
そんな時、先輩ライダーに「押しがけでエンジンをかければいいんだよ」と言われることがあるけれど、どうやってやるの? 本当にかかるの? というか、そもそも「押しがけ」って何?
元々はレースのスタート方法
じつは、昔のロードレースは“押しがけスタート”が主流だった。スタート位置に並んだライダーがマシンの横に立ち、スタートの合図とともにマシンを押し出し、勢いが付いたところでポンッと飛び乗ってエンジンをかけ、そのまま加速する…というモノだ。
もう少し詳しくやり方を解説すると、スタート前にギヤを1速か2速に入れておき、クラッチレバーを握って待機。スタートの合図で押して走り出し、ある程度勢いがついたところでクラッチをパッと繋ぐと、後輪の回転がトランスミッションを介してエンジンのクランクを回すことでエンジンがかかる。
クラッチを繋ぐ直前にポンッと飛び乗るのは、後輪をロックさせないためだ(レーシングマシンは軽量なのでロックしやすい)。
昔のレーシングマシンは軽量化のため、スターターモーターはもちろん、キックアームすら付いていなかった。そこで“押しがけスタート”だったのだが、エンジン始動に失敗したマシンやライダーに後続車が突っ込むような事故も少なくなく、世界GPでは1986年を最後に、その後はエンジンをかけた状態からの“クラッチスタート”に変更された。
市販バイクでも押しがけできるの? どのバイクでもできるの?
そもそも昔のレーシングマシンは、バッテリーを搭載していなかった。電気が必要なのは点火プラグに火花を飛ばすことだけなので、押しがけでエンジンをかければ(クランクを回転させれば発電してプラグの火花が飛ぶ)、あとはエンジンが駆動する発電機が電気を生み出したからだ。このあたりはキックスタートと同じ原理だ。
が、これでエンジンをかけられるのは、基本的に2000年代前半頃の“キャブレター車”までだ……
※本記事は2022年3月7日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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