
スポーツバイクはバンクして曲がる感覚が楽しくて、慣れ親しんだワインディングへ出かけて好きなコーナーをそこそこバンクして駆け抜けるのを楽しんできました。慣れた道はコーナーの先がわかっているので満足感を味わえる速度とバンク角が可能ですが、ツーリングで知らない道だとマージンあり過ぎてストレスに感じます。でも知らない道を楽しめないライディングも何とかしないと、将来バイクを楽しめない気もします。この状態を卒業するにはどうしたら良いでしょう?
A.慣れたコーナーには先が見えている安心感で、そこそこアベレージ高くコーナリングできる満足感を楽しめます。でも慣れているからこそ潜んでいるリスクも考えましょう。知らない道のほうが楽しいといえる走り方こそ、バイクを操る実力といえるからです。
●記事提供: ライドハイ編集部
慣れたコーナーは徐々にアベレージが高まり、いつの間にか攻めてる状態になりがち。
スポーツバイクは車体を傾けてコーナリングします。
このバンクして旋回する醍醐味こそ、ライディングする歓び……ガンガン攻めるライダーから、まだおっかなびっくりのライダーまで、そんな思いのライダーは少なくありません。
そうしたライダーたちにとって、お気に入りの峠道にあるワインディングで、そこそこのアベレージで駆け抜けられるコーナーがあったりします。
カーブの曲率や出口までどうなっているかを知っていれば、それほど警戒せずにバンクできるので、その満足感を味わいに通ったりするライダーもいます。
もちろん一般公道は対向車がいきなりセンターラインを割ってきたり、路面状況も常に同じとはかぎりません。
安全マージンをとって、他の交通に脅威とならない気遣いが必須ですが、慣れてくると安心感からご自分では気づかないうちに危険領域で走っていたりします。
それとバイクの醍醐味をこの限られた環境でばかり味わっていると、ツーリングなどで初めての道の知らないコーナーでは満足できず、ストレスを溜めるので楽しくない……そんな状況に陥り、ご質問された方のように将来に楽しみを見出せるのか?などの疑問符も生じてくるでしょう。
バイクは状況対応できるスキルが真の実力、そこが楽しめるレベルを目指そう!
ボクが世界GP転戦していた1970年代後半は、まだ全体で半分が一般公道を閉鎖して競う、マン島T.T.のようなレースが残っていました。
転倒すればサーキットのような滑りながら緩衝してくれるグラベルもありません。激突あるのみです。
サーキットしかレース経験ないので、正直ビビりっぱなし。
メーカーライダーではない初の日本人ライダーということで、ジャコモ・アゴスティーニをはじめチャンピオンライダーたちが、おそらく興味本位で気にしてくれて、悲惨な状態に声をかけてきたのです。
鈴鹿のラップタイムとか聞かれたので答えると、オッ悪くないネ、全日本チャンピオン獲れたんだもの当然か~、そのタイムで第3コーナーでライン1メートル外したらどうなる?と問われたので、心臓が喉から飛び出そうになると告げたら、「日本へ帰りなさい、ヨーロッパは毎レースが初めてのコース、数多くラップして慣れながらタイムを詰めていくレベルは通用しない」とピシャリ。
いやココまで頑張ったのでチャレンジは続けたい、そう返したら傍らにいたスウェーデンのチャンピオンのケント・アンダーソンが来週オランダでインターナショナル・レースがあるので、今から言うことを絶対に守るならエントリー手配するよ、ということに。
その条件とは9,000rpm以上回さないこと。TZ250で9,000rpm以下はパワーバンドから外れてしまい、勝負になるはずもない。とはいえ、ココまで言われたのなら服従するっきゃない、そう覚悟を決めてツァントフールトという海岸にあるコースへ行きました。
もちろん初めてのコース。平坦なので9,000rpm以上回せばすぐバレるので、仕方なく言われるままに走ると、当然の抜かれっぱなし。
どうだ? と聞かれたので、コースの印象や他の有名ライダーの走りに感心したことなどを話すと、ケントさん曰く「余裕があると短時間でもそれだけ情報をとれる、トップライダーが見せる曲がれるチャンスを活かすメリハリ、複合コーナーのアプローチまでほぼ掴んでる、それにタイムも10秒も離れていない……先週は瞳孔が開きっぱなしで、まばたきもできないほど緊張して目いっぱいだった筈、モーターサイクルはアグレッシブさより様々状況対応できる心とワザで勝負する、というかそれを楽しめなきゃ成長できない」と、ひとつひとつ納得できる諭され方。
自分を追い詰めたり、リスクに踏み込まず、楽しいと思える範囲で状況判断に集中する……次のスウェーデンGPからこの原則を守って先輩達から走りも盗み、次のシーズンには3ラップもすればプラクティスのベストラップの80~90%で走れるようになれました。
早いハナシが、やみくもに頑張っちゃうのはダメなんですね……。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
ライドハイの最新記事
A.クラッチを切らずにギヤチェンジできるクイックシフターは便利なはずですが、確かに操作するときの状況によっては仰るようにギクシャクしたりショックがあって怖い思いをするかも知れません。加速(増速)側の場[…]
ホンダのVFやNRの影もカタチもない1977年の東京モーターショーにYZR1000デビュー! 1977年の第22回東京モーターショーのヤマハ・ブースに、白に赤ストライプのワークスマシンカラーの謎のマシ[…]
車体色が圧倒的に黒が主流の中に、ひとり華麗な光を放っていたヤマハ! このYDS1は1959年のヤマハ初のスーパースポーツ。パイプフレームに2ストローク250cc2気筒を搭載した、創成期のレースから生ま[…]
2005年に新しいフラッグシップとして東京モーターショーに出現! 2005年の東京モーターショーに、スズキは突如6気筒のコンセプトモデルをリリースした。 その名はSTRATOSPHERE(ストラトスフ[…]
2007年に「感動創造」をテーマにプレミアムなモーターサイクルを提案! 2007年の東京モーターショーに、ヤマハは異彩を放つショーモデルをローンチ。 その名もXS-V1 Sakuraと、和をアピールす[…]
最新の関連記事(ビギナー/初心者)
A.クラッチを切らずにギヤチェンジできるクイックシフターは便利なはずですが、確かに操作するときの状況によっては仰るようにギクシャクしたりショックがあって怖い思いをするかも知れません。加速(増速)側の場[…]
振動の低減って言われるけど、何の振動? ハンドルバーの端っこに付いていいて、黒く塗られていたりメッキ処理がされていたりする部品がある。主に鉄でできている錘(おもり)で、その名もハンドルバーウエイト。4[…]
インカムが使えない状況は突然やって来る!ハンドサインは現代でも有効 走行中は基本的に1人きりになるバイク。たとえ複数人でのマスツーリングだとしても、運転中は他のライダーと会話ができないため、何か伝えた[…]
クルマの世界では「並列」表記はほぼ見かけない カタログやメーカーwebサイトでバイクのスペックを眺めていると、エンジン種類や形式の表記で「直列」や「並列」という文字を見かける。いずれもエンジンブロック[…]
実燃費の計測でおなじみだった「満タン法」だが…… エンジンを使った乗り物における経済性を示す指標のひとつが燃費(燃料消費率)だ。 「km/L」という単位は、「1リットルの燃料で何キロメートル走行できる[…]
最新の関連記事(ライディングテクニック)
A.クラッチを切らずにギヤチェンジできるクイックシフターは便利なはずですが、確かに操作するときの状況によっては仰るようにギクシャクしたりショックがあって怖い思いをするかも知れません。加速(増速)側の場[…]
セローを愛するユーザーたちへ 本イベントは、「とっておきの初心者用ゲームで、ライテク上達ポイントを手に入れて、10年後も20年後も、末永~く凛とした姿で走り続けよう!!」というメッセージを掲げ、セロー[…]
Q.ツーリングへ出かけるとバイクのすぐ前の路面ばかり見てしまいます。そのため先のほうの様子に気づくのが遅れ、カーブの手前で慌てます。「遠くを見ろ」とよく言われますが、先を見ていると手前の路面が心配にな[…]
まず車間が変わることを理解しておこう! ツーリングでキャリアのある、上手なライダーの後ろをついてゆくのが上達への近道。ビギナーはひとりだと、カーブでどのくらい減速をすれば良いかなど判断ができない。そう[…]
Q.猛暑も過ぎようやくツーリングへと出かけたのですが、曲がり角やカーブのたびにハンドルを重く感じて、内側に切れるのを左手で支え疲れ果てました。これまで快適に乗れていた愛車が、わずか2ヶ月乗らずにいたら[…]
人気記事ランキング(全体)
36年の“時間”を感じる仕上がり カウルが紫外線で退色し、くすんだトーンだが、じつは緑青を用いたペイント。擦れて色が剥げ落ちた箇所も塗装だ。車体右側のエンジンケースカバーやサイドカバー、マフラーには転[…]
フレーム/スタンドの別体構造と自在キャスター装備で自由に移動できる 向山鉄工のオリジナル製品である「ガレージREVO」は、バイクスタンドに自在キャスターを取り付けることで、スタンドアップしたバイクを前[…]
従来の理念をさらに深化させた「Emotional Black Solid」 今回注目したのは、新たなステップワゴン スパーダ専用に用意された、これまた新たなアクセサリー群です。その開発コンセプトは、従[…]
126~250ccスクーターは16歳から取得可能な“AT限定普通二輪免許”で運転できる 250ccクラス(軽二輪)のスクーターを運転できるのは「AT限定普通二輪免許」もしくは「普通二輪免許」以上だ。 […]
ヤマハXJ400:45馬力を快適サスペンションが支える カワサキのFXで火ぶたが切られた400cc4気筒ウォーズに、2番目に参入したのはヤマハだった。 FXに遅れること約1年、1980年6月に発売され[…]
最新の投稿記事(全体)
AMAスーパークロス2位の実績を持つモトクロッサーのエンデューロ仕様が上陸! トライアンフが開発したオフロードマシンには、250cc4ストローク単気筒エンジンを搭載するモデルと、450cc4ストローク[…]
クラシックなボバースタイルをもつ”個性爆発”のゴアン クラシック350 名は体を表すというが、ロイヤルエンフィールドのニューモデル「ゴアン クラシック350」が表現するものは何か? 英国発祥のロイヤル[…]
A.クラッチを切らずにギヤチェンジできるクイックシフターは便利なはずですが、確かに操作するときの状況によっては仰るようにギクシャクしたりショックがあって怖い思いをするかも知れません。加速(増速)側の場[…]
新型”日産リーフ”は、北米市場投入後に日本国内でもデビュー 日産が明らかにした今後の車両投入プランによると、2025年度から2026年度にかけて多岐にわたるパワートレーンを搭載した新型車が登場する見込[…]
2年に一度、世界各国から勝ちぬいたGSライダーが競う祭典への道 BMWモトラッドは、「インターナショナルGSトロフィー2026」に出場する日本代表選手を決定する国内選考会を2025年10月11日(土)[…]
- 1
- 2