クラッチレバーをフルストロークまで握る操作が無駄って本当? 仕組みを知って丁寧に操ろう!

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●記事提供: ライドハイ編集部

クラッチレバーをグリップに当るまでフルに切るのは丁寧なのではなく、ギヤに衝撃を与えるラフな操作になってしまう!

大切な愛車、バイクの運転はまだ慣れていないので上手くはないけれど、操作は慎重で丁寧でありたい……そう思われているに違いない。

その心がけは素晴らしいのだが、オートバイにはその構造上、ゆっくり丁寧に操作されると却って機械を傷めてしまう場合がある。

そのひとつがクラッチ。

エンジンのシリンダーのつけ根にあるクランクシャフトのすぐ後ろ、赤丸で囲んだ丸い膨らみがそのクラッチがある場所だ。

どんな役割かは運転免許をお持ちならいうまでもないだろうが、エンジンは燃焼爆発して回数させてある程度のチカラを発揮できる状態からでしか使えない、つまりエンジン回転がゼロのエンスト状態からは走り出せない構造なので、このエンジンと変速ミッションやら駆動する側とを、繋いだり切断したりする機能なわけだ。

そのクラッチの構造が、オートバイではちょっと複雑な仕組みが組み込まれている。

エンジンを分解するとクラッチには細い円盤のようなプレートが複数枚ある。

イラストは見やすいよう簡略化してグレーが3枚、イエローが2枚で、写真では外にツメを持つ9枚と内側にギザギザを刻んだ8枚とで構成されている。

クルマはオートマ免許だと経験しないかもだが、マニュアルだとクラッチペダルがあって、バイクと同様にエンジン回転とトランスミッションを繋いだり切ったりする円盤が介在する。

クルマはこの円盤がエンジン側1枚とミッション側に1枚とシンプルだがその直径は両手で丸がかえするほど大きい。

この2枚の円盤を強力なバネで圧着されていて、クラッチペダルを踏むと2枚が離れてエンジンの駆動力が途絶える。

そしてこの円盤の接触面積が大きいほど、大きなパワーでも滑ったりせず駆動を伝えることができる。

なのでオートバイのディスクブレーキのように大きな直径と接触面積の大きさが必要になる。

しかし、オートバイはエンジンも小さくそこにディスクブレーキのような円盤を組み込むスペースはない。

そこでこの接触面積を分散させる構造が、ご覧の多板式といわれる複数枚のプレートということになる。

これで余計な遠心力でエンジンのレスポンスが鈍化したりすることなく、接触面積の合計が大きなプレートと変わらず滑ったりしないクラッチとすることができるわけだ。

その多板式クラッチ、発進の半クラッチだけでなく、ミッションを変速するときにもエンジン駆動を一旦途絶えさせ、変速したらまた繋ぐという操作がある。

ミッションの変速構造を見せた画像とイラストにあるように、クラッチの内側にあるミッションは常時噛合式という各ギヤは噛み合った状態で、駆動を伝えるギヤ比の違うセットをお互いの間に刻んだ凹凸を噛ませたり放したりでセレクトする仕組みだ。

この凸凹をドッグと呼んで、これが出たり入ったりがスムーズにすることも、エンジンを傷めない基本ということになる。

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