●文:ライドハイ編集部(根本健) ●写真:藤原らんか Shutterstock(Lukas Gojda)
バイクはカーブの途中で進路変更がムズカシイ!
山々に色づく紅葉を見にツーリング。でも、山に近づくと右に左にとカーブが連続。いつも警戒心が先に立って怖々走るので、苦手意識が消えずに楽しめない。
怖がらずにそこそこ楽しめる、そんなペースってどうすれば? という方々に向けて、ワインディングを攻める腕自慢向けではなく、マイペースだけどイイ感じに走れるメソッドをまとめてみた。
キャリアが浅いと、カーブは曲がりきれなかったら大変という壁が立ちはだかる。かといってあまりにゆっくり走るのも楽しくない。ではカーブの曲がり方に、どうすればシンクロさせた走り方ができるのだろう?
カーブでどのぐらい曲がっているのかを確認するのは、センターラインが引いてあればまずそれを見るのが掴みやすい…、そう思いがちだが、これがなかなかうまくいかない。
なぜなら、バイクは急に曲がり方を変えたりできないからだ。
つまりクルマのように、カーブの途中で曲がり方がきつくなったら、そこからハンドルをさらに切って対応するということができない。バイクはバンク角を途中からさらに増やしても、曲がり方がほとんど変わらない、という厄介な乗り物なのだ。
同様に、カーブの外側、つまり道路の縁を見るのもうまくいかない。いちばんのネックは、曲がり方が変わった地点ですぐ対応できないという基本的な部分だ。対応が遅れるとカーブの曲がり方に合わなくなり、当然アウト側かイン側のあらぬ方向へ進路が向いて、曲がり切れなくなり慌てる…、ということになってしまう。
バンク角を深くしない走りに徹して、直立からリーンする際にいちばん曲がれる特性を利用する
バイクは真っ直ぐ直立した状態からリーンを始めたとき、クルマでいうと真っ直ぐからハンドルを最初に左右30°ほど切るとき、進路を“くの字”を描くように明確に変える瞬間がある。
この真っ直ぐから20~30°までのリーンの後、それ以上バンク角が増えていく間は、サーキットのような路面コンディションであれば深くバンクして強く旋回する曲がり方になるが、一般公道ではリスクが高まるだけなので、安全を考えればやめるべきだ。
つまり、リーンは常に20~30°ほどしかバンクしない走り方に徹するのが先決。そしてこの明確に曲がれるこの時の特性を利用すれば、カーブの途中から曲がり方が変わる複合コーナーに対応できるというわけだ。
ご覧のように、カーブの先のほうで曲がり方が強まっているのを発見したら、軽くフロントブレーキをかけると、反力で車体が真っ直ぐ起き上がろうとする特性を使い、一旦直立もしくはそれに近い状態へスクッと立てて、すぐさまブレーキをリリースしてリーンすれば“くの字”を描いたように進路が変わる“向き変え”をして、次の旋回を始める。
これはいきなり高度な走りに感じるかもしれないが、初めはわずかに10~20°までしかリーンしない乗り方に徹し、ゆっくりしたペースで試してみれば必ずできるはず。たとえば曲がり角を直角に曲がろうとするときなど、リーンを曖昧にせず軽くブレーキをかけてサクッとリーンをすると“くの字”を描いた感じで曲がれるのがわかる。
この常に浅いバンク角でリーンを止める乗り方は、安全上はもちろんのこと、このように「向き変え」を組み込みながら走る、自由度の高い操り方を身につける入り口でもある。サクッ、サクッと浅いバンク角でキメていく走りに徹するのが、実は上達への近道にもなるのだ……
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
ライドハイの最新記事
世界GP制覇が手に届くとみるや、市販車初のDOHC搭載で英国大型バイクの牙城に斬込んだホンダ ホンダは、1959年にマン島T.T.レースへの挑戦をスタート。まだ輸出もしていない頃に海外レースでの実績で[…]
1964年頃からGPレースで始まった、内ヒザを開くスタイル ヒザ擦りどころかヒジ擦りすら珍しくなくなったレースシーン。そこまでアグレッシブでなくても、ワインディングでそんなに深くバンクしてないのに内側[…]
[A] 猛暑日はライダーへの負担がハンパなく大きい。自分で絶対守る何箇条かを決める覚悟が必須 避けるべきシチュエーション 真夏にバイクに乗る経験がまだ少ない方は、照りつける直射日光と照り返すアスファル[…]
[A] より剛性を高め、スムーズな動きを追求るために開発された フロントのサスペンション機構、“フロントフォーク”には正立タイプと倒立タイプがある…と聞いて、何のこと? と思われた方は、まず写真を見て[…]
メッキのトラスフレームに2スト200cc単気筒。レプリカのバイクブームに迎合しないフィロソフィ 1980年代半ばはバイクブーム真っ只中。レーサーレプリカが乱舞し、毎年フルモデルチェンジが繰り返され、ユ[…]
最新の関連記事(ライディングテクニック)
1964年頃からGPレースで始まった、内ヒザを開くスタイル ヒザ擦りどころかヒジ擦りすら珍しくなくなったレースシーン。そこまでアグレッシブでなくても、ワインディングでそんなに深くバンクしてないのに内側[…]
エンストを警戒する長い半クラッチだと自信がないまま キャリアの浅いビギナーはもちろん、そこそこ経験年数があっても、発進の半クラッチに自信がないライダーは多い。 典型的なのが、エンストを怖れて少しエンジ[…]
[A] 警戒心が強いほど1点を見つめてしまいがち。全体像を見る訓練を! コレ、じつは多くのライダーが陥りがちな事例で、ボクもやってしまうことがあります。 そもそもバイクで走り出すと、前輪のすぐ前の路面[…]
バイク運転の不安をなくすには“ゆっくり&やんわり”が一番効果的 バイクに乗っていると、何かのきっかけで不安が先に立つことは珍しくない。ましてや立ちゴケなどで心が折れると、ペースを落として走っていても、[…]
グリップ感はライダーが操作して得るもの 「グリップ感」や「接地感」という言葉をよく耳にするものの、体感としてはどういう感じであるのか、なかなかわからないものですよね。最初から難しく考える前に、グリップ[…]
最新の関連記事(ビギナー/初心者)
日本で唯一の砂浜公道である、千里浜なぎさドライブウェイ。約8kmにわたる砂浜がまるで天然の道路のように広がり、車やバイクで波打ち際を駆け抜ける、珍しい爽快な体験ができるスポットです。ライダーにとっても[…]
1分でわかる記事ダイジェスト アクセル開けてもエンジンが回らない恐怖体験 ツーリング先で遭遇したら、絶望してしまうトラブル…ガス欠。走っていてパワーがなくなったと思ったら、アクセルを開けても回転数が上[…]
1分でわかる記事ダイジェスト 愛車のNinja ZX-25Rにつけて効果を実感できたパーツを紹介。いずれもパフォーマンスアップするものばかりだ。 コスパ◎乗り味が劇的に変化するYSSサスペンション! […]
こんにちは! 愛車のヤマハボルトで日本一周しながら靴磨きしている靴磨き職人のいとです! みなさん、靴磨きの応用技「鏡面磨き」ってご存知ですか?? あまり馴染みのない言葉かもしれませんが、文字通り鏡のよ[…]
1分でわかる記事ダイジェスト 僕の愛車であるカワサキNinja ZX-25Rカスタムのパーツを紹介。購入から約4年が経過したが、パーツ代のみで140万を超えていた。カワサキNinja ZX-25Rのオ[…]
人気記事ランキング(全体)
125ccスクーターは16歳から取得可能な“AT小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限[…]
1441cc、自然吸気のモンスターは北米で健在! かつてZZ-R1100とCBR1100XXの対決を軸に発展し、ハヤブサやニンジャZX-12Rの登場からのちにメガスポーツと呼ばれたカテゴリーがある。現[…]
バランス重視キャラでコストと性能を両立か 「カワサキとの真っ向勝負は避けるとしても、出力的に70ps程度は出してくるだろう。フレームは軽量化のため、ダイヤモンド型を採用する可能性が高い」 ヤングマシン[…]
スタイリッシュな250ネイキッドでのキャンプツーリング記 夏の早朝。日が出る前に、ボクはブリクストンがリリースする「クロムウェル250」で走り始めた。スチール製セミダブルクレドールフレームに空冷250[…]
国内導入予定はないけれど……のZ125プロ カワサキは北米で2025年モデルを続けざまに発表している。ここで紹介するZ125プロは、金色に輝く倒立フロントフォークに加えて2025年モデルの濃緑にはゴー[…]
最新の投稿記事(全体)
ちょうどいい動力性能とチープさを感じない走り J-GP3クラスとしては2024年の今季3戦目となった全日本ロードレース選手権の筑波大会は、6月中旬に開催され、自己ベストラップタイムを更新して予選5位。[…]
Screenshot TRIUMPHオーナーはもちろん、他社のバイクでも参加OKだ 「TRIUMPH NATIONAL RALLY 2024」の会場は2023年同様、会場からの景色が美しく近隣に多くの[…]
日本で唯一の砂浜公道である、千里浜なぎさドライブウェイ。約8kmにわたる砂浜がまるで天然の道路のように広がり、車やバイクで波打ち際を駆け抜ける、珍しい爽快な体験ができるスポットです。ライダーにとっても[…]
人気のスポーツツアラーに排気量アップでさらなる余裕を カワサキは欧州と北米で、ニンジャ1000SXから排気量アップでモデルチェンジした「ニンジャ1100SX(Ninja 1100SX)」を発表した。エ[…]
2つのカラーバリエーションを刷新! 海外で発表されていた(海外のZ900RSにもある)グリーンボールの登場だ! これまでは1970年代にザッパーと呼ばれたZ650(空冷4気筒モデル)をオマージュしたカ[…]
- 1
- 2