
Q.バイク選びで最後に迷うのがスペック比較。気に入ってる車種のライバルが1ps多かったり1kg軽かったりすると、同じお金を出すのに負けてるほうにしなくても…と迷ってしまい、決断できずに困ってしまうのですが?
●記事提供: ライドハイ編集部
フルスロットルの”最高出力”で走る機会は少ない!!
A.少しでも良いバイクを買いたい、そう思うのは当然ですよネ。ただこのスペック表に出ている数字というのは、目安にしかなりません。エンジンもスロットルを戻してから再び加速する中間加速の性能は表示されてませんし、車重に至ってはオイルや冷却水を抜いた走れない数値が表示されている場合もあります。大事なのは乗って満足できるか、扱いやすく楽しいか、だと思います。試乗されたり実車に触ってみてから決めましょう!
エンジンが最高出力を計測している場面を見たことがありますか? 計測機械の上で、中速の回転域からスロットルを全開にして、ピークの高回転域まで回転上昇するのを待ちます。そして一瞬の、まさに0.1秒もない瞬間に到達するピーク回転域で記録するのを確認直後、スロットルを戻すという操作で計測します。
もちろんこの絶対性能のパワーは、最高速度や0-400mの加速などを左右します。ただ1psの違いが最高速度で差をつけるかというと、そのピーク域の手前にある出力の上昇傾向によって風圧を押し切れるかどうかで、条件によっては1ps低いエンジンに負けるかも知れません。
また一般的にレースであろうと大事なのはスロットルを戻した後の、その回転域から駆動力が最大に発揮されるまでの力強さになります。しかもコーナリング中であれば、リヤタイヤがグリップしやすい爆発間隔など、諸々が功を奏して脱出加速の優劣が決まります。
自分はレースをするわけではないので、そこまでの領域で走ることはないけれど、自分のバイクが他より優れた性能であれば、所有する満足度もあるのでこだわりたい……という気持ちはわかるのですが、プロが乗ればスペックの1psの違いより数値にはなりにくい過渡特性という、パワーやトルクの質のほうで優劣をつけます。
もっと言うと、最大出力が稼ぎやすい4気筒より、グリップできる加速で上回る2気筒のほうが速かったりするのはよくあること。スペックで絶対パワーが大きく表記されるのも評価のひとつかも知れませんが、目安のひとつに過ぎないというのが実態だと思います。
乾燥重量や装備重量、さらには燃料を半分搭載などスペック表記は様々
車重についても、取り回しのしやすさからリーンなど運動性の優劣をはかるスペックとして、見逃せないと思われているでしょう。もちろんその見方は間違っていないのですが、ただ肝心の重量表記の規準が様々なため、一概に比較できないという実態があります。
たとえば乾燥重量と表記されている場合、燃料タンクは空にした状態なのは想像つくと思います。しかし実は何をもって乾燥状態というかが曖昧で、エンジンオイルや冷却水も乾燥というからには含まれないとも解釈できます。つまりエンジンオイルや冷却水が多いのは、高性能だからという理由があるけれど、それが「重さ」として判断されるのは回避したいという思いがメーカー側にあります。
’80年代のレーサーレプリカブームの真っ只中には、エンジンオイルや冷却水どころか乾燥というからにはバッテリー液も抜いて良い筈、などという解釈も出てきていました。それほど1kgでも軽いほうがエライというか良いバイクと判断され、購入の動機を決定づけてしまうと日本メーカーが信じていたのは事実でした。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ライドハイ)
前バンクはクランクリードバルブ、後バンクにピストンリードバルブの異なるエンジンを連結! ヤマハは1984年、2ストロークのレプリカの頂点、RZシリーズのフラッグシップとしてRZV500Rをリリースした[…]
フルレプリカのフォルムが遂にリッタークラスへ及びヤマハもラインナップ! 1980年代後半になると、スポーツバイクがレプリカとカテゴリーで区別されるほど、レーシングマシン直系にまでエスカレートしてきた中[…]
超高性能なCB750FOURでオートバイのイメージを損なわないようジェントルなモデルをアピール! 1969年、世界初の量産4気筒スーパースポーツ、CB750フォアが衝撃のデビューを果たした。 これを契[…]
水冷化もユーザーに寄り添う地味なコンセプトを貫きながら、実は空前の大ヒットGSX-Rの伏線だったのだ! 1983年、スズキは400ccで初となる水冷DOHC4気筒のGSX400FWをリリースした。 そ[…]
油圧ディスクブレーキだけど、“油(オイル)”じゃない いまや原付のスクーターからビッグバイクまで、ブレーキ(少なくともフロントブレーキ)はすべて油圧式ディスクブレーキを装備している。 厳密な構造はとも[…]
最新の関連記事(ビギナー/初心者)
いまや攻めにも安全にも効く! かつてはABS(アンチロックブレーキシステム)といえば「安全装備」、トラクションコントロールといえば「スポーツ装備」というイメージを持っただろう。もちろん概念的にはその通[…]
「マスダンパー」って知ってる? バイクに乗っていると、エンジンや路面から細かい振動がハンドルやステップに伝わってきます。その振動を“重り”の力で抑え込むパーツが、いわゆるマスダンパー(mass dam[…]
[A] 前後左右のピッチングの動きを最小限に抑えられるからです たしかに最新のスーパースポーツは、エンジン下から斜め横へサイレンサーが顔を出すスタイルが主流になっていますよネ。 20年ほど前はシートカ[…]
元々はブレーキ液の飛散を防ぐため フロントブレーキのマスターシリンダーのカップに巻いている、タオル地の“リストバンド”みたいなカバー。1980年代後半にレプリカモデルにフルードカップ別体式のマスターシ[…]
足着きがいい! クルーザーは上半身が直立したライディングポジションのものが主流で、シート高は700mmを切るケースも。アドベンチャーモデルでは片足ツンツンでも、クルーザーなら両足がカカトまでベタ付きと[…]
人気記事ランキング(全体)
超高回転型4ストローク・マルチのパイオニアはケニー・ロバーツもお気に入り 今回ご紹介するバイクは1985年春に登場した超高回転型エンジンを持つヤマハFZ250 PHAZER(フェーザー)です。 フェー[…]
KTMの進化ポイントを推測する 第17戦日本GPでマルク・マルケスがチャンピオンを獲得した。ウイニングランとセレブレーションは感動的で、場内放送で解説をしていたワタシも言葉が出なかった。何度もタイトル[…]
フルレプリカのフォルムが遂にリッタークラスへ及びヤマハもラインナップ! 1980年代後半になると、スポーツバイクがレプリカとカテゴリーで区別されるほど、レーシングマシン直系にまでエスカレートしてきた中[…]
フレディ・スペンサーが絶賛! 軽さと「フォーギビング」な安定性を評価 伝説のライダー、フレディ・スペンサーがHSR九州でCB1000Fをガチ走行し、そのインプレッションを語っている。スペンサーは、CB[…]
輝かしい歴史を持つXT500は、なんと2002年まで生産 そもそもXT500は、1976年にヤマハが初めて作った4ストロークのビッグシングル搭載のトレールバイク。2スト全盛ともいえる時期に、空冷4サイ[…]
最新の投稿記事(全体)
新しい時代を切り開いたヤマハならではの技術 現代の目で見れば、至ってオーソドックスなネイキッドと思えるものの、’79年のパリ/東京モーターショーでプロトタイプが公開され、翌’80年から発売が始まったR[…]
GSX-S1000GT 2026年モデルは新色投入、より鮮やかに! スズキはスポーツツアラー「GSX-S1000GT」の2026年モデルを発表した。新色としてブリリアントホワイト(ブロンズホイール)と[…]
ボルドールカラーのCB1000Fがアクティブから登場 アクティブが手掛けるCB1000Fカスタムが発表された。CB-Fといえば、純正カラーでも用意されるシルバーにブルーのグラフィックの、いわゆる“スペ[…]
“鈴菌”と呼ばれて 二輪と四輪を両方とも継続的に量産しているメーカーは、世界を見渡してもホンダ、BMW、そしてスズキの3社のみだ。1920年(大正9年)に個人経営だった織機向上が鈴木式織機株式会社へと[…]
ナナハン並みの極太リヤタイヤに見惚れた〈カワサキ GPZ400R〉 レーサーレプリカブーム真っ只中の1985年。技術の進化に伴い、各社はレースで培ったテクノロジーをフィードバックさせたモデルを多く打ち[…]
- 1
- 2





































