
オフロード走行を楽しむユーザーは、走行後にしっかりと泥を落とし洗車をしないと、泥の内側の水分により錆の発生や腐食が進んでしまう。バイクの不具合や調子を見るためにも、じっくりと各部を洗浄し磨き上げる“洗車”は、誰しもができる有効なメンテナンスのひとつだ。本記事で紹介する洗剤「オートマジックNo.713 スペシャルクリーナー」は、さまざまな素材の集合体であるバイクの洗浄に有効で使いやすい。しかも泥をしっかりと落とすことができる、万能でもあり強力な味方となるスペシャルクリーナーだ。
創業60年以上の老舗メーカーの強力アルカリクリーナーに注目
モータリゼーションの先進国・アメリカでは早くから洗車やディテーリング産業が確立しており、より短時間で効率よく愛車を輝かせるためのケミカル製品の開発も行われてきた。1960年にアメリカで創業したオートマジック社は、自動車メーカーやディーラー向けに、洗車や下地作り、外装の磨きや仕上げ、室内クリーニングに至る充実したラインナップを構築してきた。
そうした製品群の中で、バイクユーザー、中でもオフロードユーザー向けに最適なのが「No.713 スペシャルクリーナー」だ。最大30倍まで希釈できる万能クリーナーは、自動車の外装はもちろん、室内のカーペットや皮革、ビニールやプラスチックにも使える汎用性の高さが特長だ。
バイクや自動車に限らず、アルカリ性の汚れには酸性洗剤を、酸性の汚れにはアルカリ性洗剤を使用するのが大原則だ。油分や土、泥汚れは酸性を示す場合が多く、これを中和するためにはアルカリ性が有効。
スペシャルクリーナーのpH値は11〜12で、いわゆる強アルカリ性に属する(pH値は中性が7、通常の石けん水が9〜10)。いくら洗浄力が高くても、排水処理が面倒だと使い勝手が悪いが、同社の製品は世界でもっとも厳しいと言われるアメリカのVOC(揮発性有機化合物)基準をクリアしており、環境に優しいというお墨付きも得ている。
今回はモトクロスコースで粘り気の強い泥汚れがまとわりついたエンデューロマシンを、原液を8倍に希釈したスペシャルクリーナーで洗車してみた。
高圧洗浄機で予洗いしてからスプレーして2〜5分程度待つと、車体各部の泥が浮き上がるような印象で、洗車ブラシや高圧洗浄機で勢いよく水を噴射することで、ほぐれてサラサラと流れ落ちていく。
水流だけを当て続けても泥落ちには限度があるので、アルカリ性洗剤の界面活性剤成分が効果的に機能しているとみるべきだろう。
効果が十分であることがわかれば、次に気になるのがコストだ。スペシャルクリーナーは3.78L(1ガロン)で8800円(税抜)。今回の洗車は8倍希釈溶液を1Lスプレーボトルで使用したため、希釈した洗剤は1Lあたり、なんと約293円(税抜)。
車体や布や皮革やプラスチックに至るまでオールマイティに対応するスペシャルクリーナーとして、コストパフォーマンスもかなり魅力的。販売ルートは今のところモノタロウなどの一部ECに限られるが、高い洗浄性能を実感したいサンデーメカニックには要注目のケミカルである。
Auto Magic【オートマジック】No.713 スペシャルクリーナー3.78L ●希望小売価格:8800円(税抜)
泥の上からクリーナーをスプレーしても浸透しないので、高圧洗浄機で表面の土を吹き飛ばしておく。
原液を8倍に希釈したスペシャルクリーナーをスプレーボトルに移して、泥汚れの上からまんべんなくスプレーする。アルカリ性洗剤の中には樹脂パーツやアルミニウムに反応して影響を与える製品もあるが、この製品は安心して使用できる。
2〜5分待って浸透したところで洗車用ブラシで擦ると、泥汚れが浮き上がって落ちてくる。キッチン用洗剤で皿の油汚れがよく落ちるように、車体やタイヤに付着した泥がスペシャルクリーナーの界面活性剤によってほぐれて剥がれる印象だ。
シートのシボ模様に擦りつけられた汚れは、濡れている間はきれいに見えても、乾燥すると土気色に戻ることが多いが、スプレーしてブラシで擦ると汚れが浮かび上がってくる。
ブラシで擦ってから高圧洗浄機を掛けると、泥が簡単に剥がれ落ちる。洗剤というと泡が出る印象があるが、スペシャルクリーナーは泡は皆無なので、すすぎ水が気になることもない。
洗車前
小雨が降った後のモトクロスコースを20分程度走行した状態で洗車効果をテストする。車両はBetaクロストレイナー250。
過剰に演出したわけではなく、ぬかるんだコースをちょっと走れば全身泥ダンゴのようになるのは、オフ車にとっては日常茶飯事。この状態でトランスポーターやピックアップトラックに積むと、クルマもドロドロになってしまうので、ある程度の汚れはコースで洗ってしまうことも多い。そんな時こそ、環境に優しく即効性のあるクリーナーが必要なのだ。
洗車後
一度ですべての泥汚れが落ちなければ、スプレーを繰り返しながら、タイヤとシート以外はブラシを使わず洗車し終わった状態。実際にレースに出場している車両なので、各部にリアルな擦れ痕はあるが、フレームの塗装やプラスチックの外装が白くくすむようなことはなく、洗車開始から20分ほどでここまできれいになった。
高圧洗浄機だけでは汚れを押し込むことになりかねないエンジンまわりやシートも、スペシャルクリーナーの洗浄成分によって、泥がきれいに剥がれ落ちている。一度コースを走行すればドロドロになるのは避けられないぶん、短時間で汚れ落ちの良いクリーナーを使いたいというライダー心理に応えてくれる。タイヤはブラシや高圧洗浄機で洗っても、水分が乾くと表面に茶色く土汚れが浮き出してくることが多い。だがスペシャルクリーナーで洗浄した後は、ゴム本来のしっとりとした半ツヤブラックに仕上がるのは大きな特長。これならワンボックスタイプのトランポの室内が砂汚れでカサカサになることもない。
ブーツ洗浄にも使える
プロテクターやバックルの形状によって、ブラシで擦るだけでは汚れを押し込むことになりかねない。
大まかな汚れを高圧洗浄機で落としたらスペシャルクリーナーをスプレーしてブラシで擦る。車体にスプレーした際はほとんど泡は立たなかったが、ブーツは泡立ち、その泡も表面の泥が浮かび上がることで茶色く変色していった。ブーツが乾燥した後に乾いた土が落ちると新たな汚れの原因となるので、可能な限りコースの洗車場で洗い落としておきたい。
皮革部分はもちろん、樹脂プロテクターの傷に詰まった土汚れもきれいに落ちた上に、ツヤ退けもなく洗浄できた。白系のブーツやウェアは土や泥の目詰まりによって茶色のシミが目立つようになるが、室内のカーペットやシートにも使えるスペシャルクリーナーは、そうした汚れにも効果がある。
2011年よりオートマジックの日本輸入販売代理店を務める株式会社創新ケミカル営業課の山本決(きめる)さん。JEC(ジャパンエンデューロチャンピオンシップ)にエントリーするライダーでもあり、数々のケミカルを使用してきた。スペシャルクリーナーの使い勝手の良さも、実体験を通した発見だったそうだ。
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