工具メーカーといえば、開発から製造まで一貫して自社内で行うイメージがあるが、それとはまったく異なる方法で成長してきたのがシグネットである。生産工場を持たず、製造を得意とする外部の工場とアイテムごとに連携することで、高い品質とコストパフォーマンスの高さを両立してきたシグネット(SIGNET)は、工具業界を代表するファブレスメーカーである。今回はその中でも人気の工具セットを紹介する。
●文/写真:モトメカニック編集部 ●外部リンク:ワールドインポートツールズ横浜
持ち運びにも据え置きにも適した好バランス。2トーンのウレタントレイで工具の紛失を予防
シグネットでは、20年近くに渡ってイヤーモデルとして工具セットを企画/販売してきた実績があり、その中でユーザーの好みやニーズをくみ取り、アップデートを重ねてきた。
現在ではスタンダードツールとして認識されているラチェットメガネレンチを、日本市場で初めて販売したのはシグネットで、早くからセット工具にも取り入れてきた。またウレタントレイを2トーンにして視認性を高めるアイデアを広めたのも、シグネットの功績が大きい。
アイテムごとに生産工場を使い分けることで、セットとしての統一感が出ないのでは? という懸念があるかもしれないが、1990年から積み重ねてきた30年以上の実績により、その品質は多数のプロメカニックにも認められている。
そもそもソケット製造が得意なメーカーでソケットを作り、ドライバーが得意なメーカーからドライバーを調達すれば、品質的に間違いが起こるはずはない。高いコスパを求めるユーザーこそ注目すべきブランドである。
ギヤレンチを最初に実用化したのがシグネット
美しいクロームメッキ仕上げのメガネレンチは、ボルトやナット周辺の干渉物を避けやすい立ち上がり角度45°タイプ。最大24mmまであるので足まわりやホイール着脱でも有効。
シグネットレンチには、60ギアから120ギアまで幾多のバリエーションがあるが、このセットでは72ギアのスタンダードタイプを採用。ラチェットの回転方向は一定で、レンチ本体の裏表で締め作業と緩め作業を使い分ける。メーカーロゴやサイズは長期間使用しても消えない刻印仕様。
ソケットは耐久性に富んだ6ポイント
ソケットレンチの差込角は3/8インチで、小判型ヘッドの72ギアラチェットハンドルはソケットをスムーズに着脱できるプッシュボタン式。ソケットはスタンダード/ディープとも6ポイントで、狭い場所でも周囲に干渉しにくい薄肉タイプ。
ユニバーサルジョイントにはスプリングが内蔵され、傾けた状態から手を離すと直立状態に復元するのが特徴。マット仕上げのT型スライドハンドルは、ハンドルバーが半円型で握りやすく、ヘッドが回転しないため使いやすい。
超ミニビットラチェットはアクセス性抜群
トップ収納部のアルミケースに収まる60歯のビットラチェットハンドルは、貫通ヘッドで超コンパクト。1/4HEXビットの凸部分をヘッドに挿入すると超低頭レンチになるので、クリアランスが少ない部分のビスやキャップボルトの着脱作業で重宝する。
また、グリップ後端にもビットをセットできる六角凹があり、ラチェットヘッド側を握ればドライバーのようにして使うこともできる。ケースに収納してバイクのシート下に置けば、車載工具としても役に立つ。
回転トルクがしっかり伝達できるソフトグリップ
樹脂柄グリップの断面は、強く握っても手や指に食い込みにくい滑らかなラウンド形状で、先端に向かう絞り形状によって指先で早回しするのも容易。シャンク(軸部)がグリップ後端まで繋がった貫通仕様なので、固着したビスを緩める際はハンマーでショックを与えることもできる。
また軸の根元のボルスターにレンチをかければ、トルクを増大することもできる。差し替え式スタビードライバーのビットにはプラス3番があるが、通常のソフトグリップドライバーのプラスが2番までなのが、バイクのメンテナンスを考えた際にやや残念。
細かい手元作業で重宝する4種のピックツール
Oリングやガスケットを剥がしたり、固着した汚れを削り落とす際に便利なピックツール。4種類の先端形状はそれぞれ使用場所が決まっているわけではなく、作業内容に応じて使いやすいアイテムを選択すればよい。
作業の幅が増えればやがて必要になる工具なので、あらかじめ入っているのがありがたい。ニードル状のストレートタイプやフックタイプがポピュラーだが、カギ型に曲げられたコンビネーションタイプも意外と多くの場面で活躍してくれる。
キャップボルトに不可欠なヘックスレンチも採用
コンフォートタイプのニッパーとラジオペンチのグリップは、力を入れて握っても手が痛くなりにくいラウンド断面で、前方に滑り止めが付いた形状が特徴的。
一方、全長200mmのスリップジョイントプライヤーは、細かい作業で扱いやすいようノーズ部分がスリムにシェイプされており、グリップのデザインがニッパーなどとは異なる。黒染め仕上げのヘックスレンチはボールポイント側が長めに設定され、奥深い場所にあるキャップボルトにも届きやすい。
レンチホルダーにフック穴があるので、9本セット状態で壁掛け収納することもできる。ハンマーの柄は強度が高く適度にしなるグラスファイバー製で、グリップ部分はラバーコーティング仕様。
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