とてもコンパクトで可愛らしい雰囲気を持つカフェレーサースタイルとなったアクティブのホンダGB350S。佇まいがとても良くクラシカルであり、モダン。走る楽しみだけでなく、バイクとファッションを含めたライフスタイルも考えられている。
●文:ミリオーレ編集部(小川勤) ●写真:石村英治(PHOTO SPACE RS) ●外部リンク:アクティブ
カフェレーサーに必須のセパレートハンドル&バックステップを装着
アクティブのGB350Sは、同社が新たに打ち出すネオクラシック系のカスタムパーツブランド『153ガレージ』のパーツで仕上げられている。153ガレージの最初のカスタムベースに選ばれたのがこのGB350S。ちなみに153の読み方は「イチ・ゴー・サン」で、これはアクティブの本社が愛知県の国道153号線沿いにあることが由来となっている。
新ブランドで最初に制作されたパーツは、GB350S用のステップとハンドル、そしてシングルシートカバー。GB350Sが持っている昔ながらのバイクらしさを大切にカスタムが施され、この3点を変更することでカフェレーサーやクラブマンレーサーらしいスタイルを実現している。
実際に跨ると、見た目ほどポジションはきつくなく、前傾は苦にならない。ステップ位置も秀逸で、GB350Sの場合48.6mmバック/46.6mmアップとかなり大胆に位置を変更しているにもかかわらず、このセパレートハンドルにとても良く合う。
低く構える小さなカフェレーサールックのGB350Sで走り出すと、そのポジションはそれほど小ぢんまりとしてなく自由度もあり、ライダーは積極的に身体を動かすことも可能。形だけのカフェレーサーではなく、しっかりと走りを楽しめるポジションが印象的だ。また、そんなライダーの気持ちに応えてくれるかのように、シフトタッチは良好。ステップ自体の剛性の高さやバーのグリップの良さを体感することもできた。
フレームの剛性感やしなやかさが変わるパフォーマンスダンパーに注目!
今回は、面白い試みとしてパフォーマンスダンパーの“あり”と“なし”をテスト。これが想像以上に変化があった。ヤマハが開発したパフォーマンスダンパーは、車体の振動を吸収してそれを熱エネルギーに変換して発散させるパーツ。ヤマハ車のラインナップはワイズギアから発売されているが、それ以外の車種に関しては、アクティブがステー位置/素材/ダンパーの種類などを含めて研究&開発しているというわけだ。
僕はこれまでに何度もその効果を体感し、装着による良い方向性を感じてきたが、GB350Sにも効果覿面だった。未装着状態で走り出すと、当然いつものGB350Sそのものだが、パフォーマンスダンパーを装着すると途端に車体に高級感が出る。
エンジンの振動はマイルドになり、さらに振動の中の雑味が消え、とても良いフィーリングになる。フレームの旋回中のしっとり感も増し、それが安定感にも繋がっている。また、ライダーの操作がリニアに伝わるため、切り返しなども決まる感じがあり、操っている醍醐味も高まるのである。
ちなみに走行中のダンパーの作動量は1mmにも満たない。でも、わずかなフレームのシナリやエンジンの振動をダンパーで減衰することで、乗り味が確実に変わるのだ。これは結果として長距離走行時の疲労軽減などにも繋がるのだと思う。
足まわりの変更が生み出す、スポーツバイクとしての資質向上
実は、アクティブのGB350Sはサスペンション/ブレーキ/ホイールも変更されている。特にホイールに関しては、サイズも変更するこだわりだ。ノーマルの前250-19/後400-17を、前275-18/後400-18に変更。ホイールだけで3.95kg、タイヤも込みだと4.85kgの軽量化を達成している。
またリヤはノーマルよりもタイヤハイトが高くなってしまうのを、ハイパープロ製のリヤサスペンションで20mm低くアジャスト。車体全体をトータルでバランスさせているのだ。
ハンドリングは安心感に溢れる手応えのあるフィーリング。セパレートハンドルのポジションと合わせて、とても扱いやすい。深くバンクさせて曲がるというよりは、明確に向きを変えて、バンク角はそこそこに走る組み立てが合っていて、ライダーの操作にきちんと応えてくれるスポーツバイクらしさがアップ。アクティブはGB350のスポーツバイクとしての資質を見出し、それをほどよく向上させている。
確かに今回のホイール交換は、タイヤサイズも変更しているためかなりハードルが高い。しかし、タイヤの選択肢が広がることやスポーツライディングの楽しさを追求すること、さらに機能パーツをバランスさせてそのポテンシャルを引き出す楽しみを知れる悦びはとても大きい。そして、このカスタムの醍醐味を大人気のGB350シリーズで楽しめるのが、いちばん大きな発見だった。
GB350シリーズでバイクライフをスタートさせた方はたくさんいると思う。また、これから中古車も少し価格がこなれてくるはず。多くのライダーにカスタムで自分の好みのバイクを仕立てる楽しさを知ってほしい!
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