
よほどの旧車ならともかく、現行バイクでブレーキの制動力に不満を感じることなどあり得ない。それならブレーキディスクの交換に意味はない…のだろうか? そんなカスタム好きの疑問に応えるべく、サンスターが比較試乗を敢行。はたしてその結果は!?
●文:ミリオーレ編集部(伊藤康司) ●写真:柴田直行 長谷川徹 サンスター ●外部リンク:サンスター
ノーマルディスクと比較試乗
サンスターが比較試乗を行ったブレーキディスク「プレミアムレーシング」
どんなにパワフルなエンジンを搭載していても、バイクはライダーの意思通りにきちんと“止まる”ことができなければ、速く走ることも気持ち良く操ることもできない。それにはライダーのテクニックだけなく、バイクが装備するブレーキシステムも大きく影響する。そこで気になるのがアフターパーツの“ブレーキディスク”。ノーマルのディスクとは明らかに異なるルックスや構造はいかにも効きが良さそう。
…とはいえ、スキルの高いプロライダーがレースで使うならともかく、一般ライダーが公道を走ったり、スピードを出すとしてもサーキットのスポーツ走行という場合、果たしてブレーキディスクを交換して違いが判るのだろうか?
そこで、バイクメーカーへのOEM供給やアフターパーツとしてのブレーキディスクの製造/販売で有名なサンスターが、そんなカスタム好きの一般ライダーの素朴な疑問に応えるべく、ノーマルディスクとカスタムディスクの比較試乗を行った。
ブレーキディスクを比較するYZF-R7を2台用意
サンスターはカスタムパーツライド2023に出展。ノーマル車両(ブルー)と同社の「プレミアムレーシング」に換装したYZF-R7(ブラック)の2台を用意して、比較試乗を行った。
乗り比べたら驚きの結果!?
比較試乗は2023年5月に開催された「カスタムパーツライド2023」で行われ、袖ヶ浦フォレストレースウェイの外周コースにて実施。公道走行をイメージして、先導車が最大速度を100km/hまでに抑え、ヤマハYZF-R7のフルノーマル車と、ブレーキディスク(サンスター プレミアムレーシング)のみを交換した車両を2周ずつ試乗した。今回は約50名のライダーが比較試乗を行ったが、その結果は以下の通りだ。
質問1:愛車のブレーキディスクを交換したことがありますか?
今回試乗したライダーの多くはカスタムに興味があるため、4割近くがブレーキディスクの交換を経験している。
質問2:ブレーキディスクの違いは体感できましたか?
試乗した全員がノーマルディスクとプレミアムレーシングの違いをしっかり体感!
質問3:比較試乗をしてブレーキディスクを交換したいと思いましたか?
なんと試乗した3割近いライダーがブレーキディスクの交換を決意!
初心者からベテラン、男性女性を問わずさまざまなライダーが試乗したが、なんと全員がブレーキディスクの違いを体感。しかもノーマルディスクよりプレミアムレーシングの方が良いと評価している。そのため試乗後にはほとんどのライダーが、サンスターのスタッフに自分の愛車に適合する製品があるかを確認していたほどだ。
何が違いを生んでいるのか?
ノーマルのブレーキディスクは公道での使用を想定したうえで、安全性はもちろん天候や気温などさまざまな使用条件、そして製造コストも考慮して仕様を決定している。サンスターもバイクメーカー向けに生産しているノーマルディスクでは、この部分は変わらない。
しかし同社がアフターパーツとして生産するブレーキディスクは、製造コストよりも性能やルックスを優先して開発している。ブレーキのコントロール性や耐熱性などを向上させるための設計やデザイン、精度を高めるための積み重ねがブレーキフィーリングの差として表れている。そのため、スキルや経験値の異なるどんなライダーが乗っても、ノーマルディスクとの違いがわかり、良好なフィーリングと評価したのだ。
フィーリングもルックスも別次元!
プレミアムレーシングは、サンスター独自のセミオーダーシステムにより、自分だけのブレーキディスクにカスタマイズが可能。
サンスターがアフターパーツとして用意するブレーキディスクは、純レース用からカスタム、旧車のリペアに適したものまで幅広い展開を誇る。その中で今回の比較試乗に用いたプレミアムレーシングは、サンスター独自のセミオーダーが可能な製品。ツーリングやワインディングはもちろん、サーキットのスポーツ走行も存分に楽しめる性能とフィーリング、そして愛車のルックスやカスタムの方向性に合わせて形状やカラーを選べる多様性がポイントだ。
基本的にアウターディスクの形状や板厚を選択でき、ピンカラーやフローティング方式も選べる。またノーマルより大径ディスクを選べる車種もある。…すると「選択肢が多すぎてよくわからない」と感じる方もいるだろうが、心配無用。サンスターのホームページの適合検索を見れば、車種ごとに対応するすべてのラインナップや価格が掲載されており、選ぶのも簡単だ。
プレミアムレーシングの仕様とプライス例
試乗車のYZF-R7が装備するプレミアムレーシングの仕様は、板厚:5.0mm/アウター:ホール&スリット/フローティング:セミフローティング/ピンカラー:ブルーで、価格は5万2800円/枚。
ブレーキディスクの交換に躊躇する必要ナシ!
よほどの旧車でないかぎり、一般的な走行においてブレーキの制動力が不足している現行バイクは存在しない。にもかかわらずプレミアムレーシングを試乗したすべてのライダーが違いを体感し、ノーマルから交換したいと感じているのは驚異的といえる
ちなみにブレーキディスクは、ブレーキパッドと同様に使っていれば摩耗するので、バイクのパーツとしては“消耗品”に分類される。とはいえ、一般道が主体ならノーマルディスクで2~3万kmは問題なく使用でき、乗り方やメンテナンス次第で5万km以上走行しても使用限度に至らない場合も珍しくない。
だから、ブレーキディスクを交換してみたいと思ったら、使用限度を待たずに“いま”交換するのがオススメ。ノーマルとは異なるブレーキフィーリングと通好みのドレスアップ効果を、いち早く感じて見ようではないか。
さらに上級ディスクが気になる方は【最新ウェーブディスクでブレーキングを変える!】サンスターとBRAKINGの技術から生まれた『EPTA Stage 0 Racing Disc』も必見!
【国美コマース株式会社 二輪AM事業部 業務推進課 菊地純次長】スプロケット/チェーン/ブレーキディクス/パッドに精通し、自身もイベントレースや地方選手権(ST600/ST1000)に参戦し、実際の使用感や性能を身をもってテストするスポーツライダーだ。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
ミリオーレの最新記事
孤高のパニガーレV4Sと友好的なパニガーレV2S パニガーレV4Sでサーキットを3本ほど走ると、強烈な疲労感が僕の身体を襲う。汗は止まらず、足腰に力が入らなくなる。試乗直後は格闘技を終えたような感じだ[…]
ファッションからスポーツまで。現代のバイクライフにフィット このバイクは只者じゃない−−。僕はマヨルカ島のリゾートホテルのエントランスに鎮座するトライアンフの「スピードツイン1200RS」に初対面した[…]
ライダーを様々な驚きで包み込む、パニガーレV4S 5速、270km/hからフルブレーキングしながら2速までシフトダウン。驚くほどの減速率でNEWパニガーレV4Sは、クリッピングポイントへと向かっていく[…]
駒井俊之(こまい・としゆき)/1963年生まれ。バイクレース専門サイト「Racing Heroes」の運営者。撮影から原稿製作まで1人で行う。“バイクレースはヒューマンスポーツ”を信条に、レースの人間[…]
駒井俊之(こまい・としゆき)/1963年生まれ。バイクレース専門サイト「Racing Heroes」の運営者。撮影から原稿製作まで1人で行う。“バイクレースはヒューマンスポーツ”を信条に、レースの人間[…]
最新の関連記事(サンスター)
しどき、しどきってみんなが言う、あの「しどき」とは… 国美コマース主催「しどきレンタルモトクロス」は、年に数回定期的に開催しており、常連さんも多いイベント。会場となるのは、福島県いわき市にある「モトス[…]
サンスターはなぜチェーンを作ったのか? スプロケットとの相性 フリクションロスの低減 軽量化 自転車や工業用チェーンのトップブランドが製造 このモーターサイクルチェーンはサンスターが細部にわたり監修し[…]
チェーンのプレート部分は伸びない! ではどこが伸びる? チェーンの構造 摩耗した分だけチェーンが長くなる! チェーンが伸びるとどうなる? 多くの中~大型バイクのチェーンは100リンク以上ある。そこでブ[…]
「チェーンに注油不用説…」はどこから生まれた? エンジンが生み出したパワーをリヤタイヤに伝えるドライブチェーン。1000ccスーパースポーツともなれば200馬力を超えるパワーを発揮するが、その大きなパ[…]
海外のプロチームも採用する新時代のフローティングディスク フィーリングと耐久性を高める独自の締結方式 エプタ ステージ0の最大の特徴は、アウターディスクとインナーディスクを面で嵌合し、専用のカシメプレ[…]
最新の関連記事(カスタム&パーツ)
快適性とスタイルを両立するスクリーン&バイザー 長距離ツーリングの快適性を求めるライダーにとって、風防効果の高いスクリーンは必須アイテムだ。「ブラストバリアー 車種別キット(スモーク)」と「エアロバイ[…]
スモークレンズが生む統一感と、高い視認性を両立 STAR SIGNALは、スモーク仕様のレンズとマットブラックボディを組み合わせた、落ち着いたトーンのLEDウインカーである。素材には亜鉛合金を採用し、[…]
背中をしっかり支える高反発スポンジを採用 本製品のバックレストパッドは、高密度かつ高反発のスポンジ素材が採用されている。柔らかすぎず、長時間寄りかかっていても型崩れしにくいため、腰や背中をしっかり支え[…]
ロング形状&凸面鏡で後方視界がしっかり確保できる KEMIMOTOのバーエンドミラーは、ロングアーム形状と広角な凸面鏡により、バーエンドミラーとしては後方の視認性が高い。ハンドルグリップの外側からしっ[…]
最新の安心感と46worksテイストを両立した「究極のコンプリートモデル」 この『#02』は、2024年に限定販売された初代モデルに続くコンプリートカスタムモデル。今まで46worksが得意としてきた[…]
人気記事ランキング(全体)
「マスダンパー」って知ってる? バイクに乗っていると、エンジンや路面から細かい振動がハンドルやステップに伝わってきます。その振動を“重り”の力で抑え込むパーツが、いわゆるマスダンパー(mass dam[…]
主流のワンウェイタイプ作業失敗時の課題 結束バンドには、繰り返し使える「リピートタイ」も存在するが、市場では一度締め込むと外すことができない「ワンウェイ(使い捨て)」タイプが主流だ。ワンウェイタイプは[…]
通勤からツーリングまでマルチに使えるのが軽二輪、だからこそ低価格にもこだわりたい! 日本の道に最適なサイズで、通勤/通学だけでなくツーリングにも使えるのが軽二輪(126~250cc)のいいところ。AT[…]
トップス&インナー 機能性抜群な冬用パーカー JK-630:1万3000円台~ 伸縮性の高い透湿防水生地を使用したウインターパーカー。保温性に優れた中綿入りなので、暖かさをキープでき、快適なライディン[…]
SHOEI NEXT LINEのクロスロゴ第2弾がネオクラシックラインに満を持して登場 『NEXT LINE(ネクストライン)』は、SHOEIが2023年にスタートさせた、“遊び”をキーワードにしたブ[…]
最新の投稿記事(全体)
第1特集「エンジョイ外国車」 国産バイクのテイストとは大きく異なる、海外バイクメーカー各社の車両。デザイン性はもちろんのこと、走行性能や車両設計に対するフィロソフィの違いも着目に値するところだ。『R★[…]
1位:日本初上陸の中国ブランド・BENDAが本格始動! 中国のクルーザー専業ブランド「BENDA」が日本上陸。その第1弾がカスタムクルーザータイプの「ナポレオンボブ250」だ。価格は93万5000円、[…]
スポーティなライディングを気軽に楽しむ最初の1台に! 英国にルーツを持ち、現在はインドの二輪メーカーとして活動するロイヤルエンフィールド。このうちハンター350は、ブリットやメテオやクラシックといった[…]
お手頃価格のシステムヘルメットが目白押し! コミネ HK-171 FL:35%OFF~ 高強度ABSシェルを採用し、インナーサンバイザーを装備。特筆すべきは、顎紐にドイツFIDLOCK社製のマグネット[…]
バイクはお兄さんの影響 メグミさんは昔からバイクに興味があったのだと言います。 「兄が二人いて、どちらもバイクに乗っていたんです。小さいときからその様子を見ていたので、自然に自分も乗りたいと考えるよう[…]
- 1
- 2






















































