
●文:モーサイ編集部(手束毅) ●取材協力:全国運転代行協会
クルマ移動の大きな味方=運転代行サービス
バイクやクルマを通勤や足代わりに使用している方にとって、大きな問題となるのが飲み会や宴会。
「飲んだら乗るな」と昔からの標語があるくらいですので当たり前なことですが、クルマやバイクを置いて帰宅できる公共交通機関がない、あるいは車両を置いて帰った場合、次の日の移動はどうすればいいのかなど、問題は山積みです。
こういう場合、クルマであれば「運転代行サービス」という強い味方が存在します。1980年代頃から地方都市を中心に発展していった運転代行サービスは、飲酒運転の罰則が強化された2009年6月1日施行の改正道路交通法により、全国的に普及してきました。
ただ、バイク乗りにとって疑問がわいてきます。
「なぜ2輪の運転代行サービスがないのか?」
その理由は、運転代行業を行うにあたって必要となる規定にありました。
運転代行業を行うための条件は多い
まず運転代行業の定義を探ってみましょう。公益社団法人全国運転代行協会のWEBサイトによると、その仕組みは以下のように紹介されています。
「主に飲酒のために自分のクルマを運転することができなくなったお客様に代わって、お客様のクルマを運転するサービス業です。通常はドライバーが2名1組となって、1名がお客様のクルマにお客様を乗せ、それにもう1名が運転する随伴車が追走し、お客様を目的地までお届けした後、そのドライバーを随伴車に回収して営業所に戻る、という仕組みです」
重要なポイントを要約すると…
- 飲酒運転などで運転できなくなった方に代わって客車を運転
- 客車にお客を同乗させる
- 客車に代行業者のクルマが随伴する
- これが運転代行業のキモとなります。
また、開業するにあたっては…
- 公安委員会の認定
- 第二種免許
- 代行業に用いる随伴車はすべて損害賠償措置を講じること
- 「自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律」の遵守
…が必要となります。
運転代行とタクシーの違いが大きな要因に
さて、運転代行業の仕組みや開業に必要な条件を見てきましたが、ここからなぜバイクの運転代行サービスが存在しないのかおわかりになりましたか?
そう、問題は「飲酒運転などで運転できなくなった方に代わって客車を運転」、ここにあります。なぜそれが大きな問題となるのでしょうか……
※本記事は2021年7月28日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
モーサイの最新記事
ベースはCB750Four!新時代のスポーツ車を目指した「ホンダマチック」搭載モデル 1970年代の半ば、今回の主役「ホンダ・エアラ」のベースとなったCB750Aの紹介記事で「アメリカ人はオートマ車し[…]
房総半島の意外な魅力「素掘りトンネル」 東京から小一時間で行けるのに意外と秘境感あふれる千葉・房総半島。ここには味わい深い素掘りのトンネルが多数存在する。そんな異次元空間を求めて、半日だけショートツー[…]
量産車とは異なる無骨さを持ったカワサキ Z750 turbo 【1981】 洗練されたスタイルで後に登場した量産車とは異なり、武骨な雰囲気の外装が目を引くカワサキのプロトタイプは、1981年の時点では[…]
一回の違反で免許取消になる違反 交通違反が点数制度となっているのは、よく知られている。交通違反や交通事故に対して一定の基礎点数が設定されており、3年間の累積に応じて免許停止や取消などの処分が課せられる[…]
インカムが使えない状況は突然やって来る!ハンドサインは現代でも有効 走行中は基本的に1人きりになるバイク。たとえ複数人でのマスツーリングだとしても、運転中は他のライダーと会話ができないため、何か伝えた[…]
最新の関連記事(Q&A)
A.クラッチを切らずにギヤチェンジできるクイックシフターは便利なはずですが、確かに操作するときの状況によっては仰るようにギクシャクしたりショックがあって怖い思いをするかも知れません。加速(増速)側の場[…]
振動の低減って言われるけど、何の振動? ハンドルバーの端っこに付いていいて、黒く塗られていたりメッキ処理がされていたりする部品がある。主に鉄でできている錘(おもり)で、その名もハンドルバーウエイト。4[…]
A.慣れたコーナーには先が見えている安心感で、そこそこアベレージ高くコーナリングできる満足感を楽しめます。でも慣れているからこそ潜んでいるリスクも考えましょう。知らない道のほうが楽しいといえる走り方こ[…]
Q.ツーリングへ出かけるとバイクのすぐ前の路面ばかり見てしまいます。そのため先のほうの様子に気づくのが遅れ、カーブの手前で慌てます。「遠くを見ろ」とよく言われますが、先を見ていると手前の路面が心配にな[…]
Q.猛暑も過ぎようやくツーリングへと出かけたのですが、曲がり角やカーブのたびにハンドルを重く感じて、内側に切れるのを左手で支え疲れ果てました。これまで快適に乗れていた愛車が、わずか2ヶ月乗らずにいたら[…]
人気記事ランキング(全体)
振動の低減って言われるけど、何の振動? ハンドルバーの端っこに付いていいて、黒く塗られていたりメッキ処理がされていたりする部品がある。主に鉄でできている錘(おもり)で、その名もハンドルバーウエイト。4[…]
エクステリアはより力強く、そして個性的に 今回のモデリスタのコンセプトは、その名も「Dandy mode(ダンディモード)」だ。彫刻的な立体表現を随所に用い、街中はもちろんのこと、オフロードにおいても[…]
一回の違反で免許取消になる違反 交通違反が点数制度となっているのは、よく知られている。交通違反や交通事故に対して一定の基礎点数が設定されており、3年間の累積に応じて免許停止や取消などの処分が課せられる[…]
動きが渋い鍵穴に潤滑剤はNG! ・・・の前に ちょっと前に「キーの回りが渋くなってきた鍵穴に、潤滑剤を吹きつける(注入する)のはNG!」という情報がネット上で広く流れました。その理由は一時的に動きが滑[…]
足着きがいい! クルーザーは上半身が直立したライディングポジションのものが主流で、シート高は700mmを切るケースも。アドベンチャーモデルでは片足ツンツンでも、クルーザーなら両足がカカトまでベタ付きと[…]
最新の投稿記事(全体)
走り続けるため、戦い続けるためのエンジンカバーセット 「F.C.C./TSR エンジンカバーセット CBR1000RR-R(SC82)」は、世界耐久選手権(EWC)で戦い続けてきたTSRならではの製品[…]
従順で力強いエンジンと軽快な旋回性を生む車体 2024年はついに全日本ロードレース選手権で表彰台に立ち、次の目標はもちろん初優勝なのですが、先輩たちから「レースは積み重ねが大事。開幕から優勝狙いではな[…]
ホンダVT250F:4ストロークエンジンに懸けたホンダ 爆発的に売れた2ストのRZ250に対抗するため、1982年、ホンダは4ストロークV型2気筒のVT250Fを投入する。 ホンダには4ストへのこだわ[…]
250ccクラスは16歳から取得可能な“普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は全部で7種類ある。原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制[…]
コラボモデルは継続販売、新作も生地は同スペックだ 昨年、Honda二輪デザイナー監修の「イナレムプレミアム レインジャケット ライディングモデル(4900円)」を発売したワークマン。これが大好評だった[…]