
●文:モーサイ編集部(小泉) ●写真:八重洲出版 茨ジャギさん
1983年に『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載を開始した漫画作品『北斗の拳』。核戦争により文明と秩序が失われた199X年、文明社会は消え去り、暴力が支配する世界で、一子相伝の暗殺拳“北斗神拳”の伝承者であるケンシロウが、乱世を救うヒーローとして成長していくストーリーです。
「ひでぶ」「あべし」といった敵キャラの悲鳴、「お前はもう死んでいる」というケンシロウの決めゼリフなど、斬新な表現が注目を浴びたほか、1984年からはアニメ化もされ今日まで広く人気を博している…、というのは説明不要かもしれませんね。
そんな『北斗の拳』の世界では、移動手段としてバイクが活用されており、ケンシロウを含む主要な登場人物もバイクに乗っています。
モヒカンヘッドの悪党たちがバイクで迫ってくるシーンがあまりにも有名すぎて、ゴテゴテしたトンデモバイクばかりと思いきや、主要な登場人物が乗っているバイクは意外に皆さんが知っているバイクに近いものも!
そこにはある共通点が…。どれも1983年以前に登場していたバイクに似ている…。つまり、作画を担当した原哲夫先生が参考にしていたのかもしれないのです。
というわけで、本記事ではケンシロウ/ジャギ/バットといった主要登場人物のバイクとそのモチーフ車両について考察しました。
ケンシロウ:BMW K100RS
第1部「執念の炎の巻」にて、主人公・ケンシロウがユリアを抱え新天地を目指し旅立とうとする場面があるのですが、サイドカー付きのバイクが一緒に描かれています。
車両自体は大きく描かれていないものの、四角いヘッドライトが組み込まれたスラント形状のカウル、ハンドルやシートの形状は、BMW K100RS(2バルブ時代)と非常に似ています。
1983年に登場したBMW K100RS(2バルブ)。エンジンは987ccの水冷4ストロークDOHC2バルブ直列4気筒。
なお、漫画ではこのシーン以外ケンシロウがバイクに乗る場面はありませんが、最愛の人であるユリアとのみケンシロウはバイクに乗るのかもしれませんね。
ジャギ:ヤマハXV750スペシャル
『北斗の拳』で強烈な印象を残したキャラクターと言えば、第1部「凶悪なるまなざし! の巻」にて登場したジャギを挙げる人も多いのではないでしょうか。
常にヘルメットを被っていて、肩にトゲがあるパンクな服装という威圧感ある見た目、そして「俺の名を言ってみろ」というセリフでおなじみの彼です。
最後はケンシロウに敗れ、2人の兄が生存していることを告げた後、秘孔を突かれ爆死(?)してしまいますが、そんなジャギが乗るバイクはいかにもなアメリカンバイク。
丸みを帯びたボリューム感あるタンク、スポークの細いキャストホイール、そして何より存在感あるVツインエンジンが1981年登場のXV750スペシャルを彷彿させます。
1981年に登場したXV750スペシャル。エンジンは748ccの空冷4ストロークOHC2バルブV型2気筒。
ただ、ジャギのバイクにはエンジン前方にラジエターのようなものが付いているのですが、XV750スペシャルは空冷エンジン。
怪しい巨大なインボードディスクブレーキと一緒に、大型オイルクーラーを後付けカスタムしたんじゃないかな、きっと……
※本記事は2021年2月4日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
モーサイの最新記事
仕事を通じてわかった、足を保護すること、足で確実に操作すること 今回は、乗車ブーツの話をします。バイクに乗る上で、重要な装備の一つとなるのが乗車ブーツです。バイクの装備といえばヘルメットやジャケット、[…]
【燃料タンク容量考察】大きければ良いってもんではないが、頻繁な給油は面倒だ 当たり前の話ではあるけれど、燃費性能とともに、バイクの航続距離(無給油で連続して走れる距離)に関係してくるのが、燃料タンクの[…]
バイクいじりで手が真っ黒、そんな時どうしてる? バイクいじりにつきものの、手の汚れ。 特に、チェーンのメンテナンスやオイル交換など、油を使った作業となるとタチが悪い。 ニトリル手袋やメカニックグローブ[…]
松戸市〜成田市を結ぶ国道464号の発展 かつて、千葉県の北総地区は高速道路のアクセスが今ひとつ芳しくなかった。 常磐自動車道・柏インターや京葉道路・原木インターからもちょっとばかり離れているため、例[…]
創業100年を迎えた青島文化教材社「草創期から異端派だった?」 中西英登さん●服飾の専門学校を卒業するも、全く畑違い(!?)の青島文化教材社に2000年に入社。現在に至るまで企画一筋。最初に手がけたの[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
随所に専用部品を投入したZシリーズ初のR仕様 Z1000の派生/上級機種として’78年に登場したZ1‐Rは、評価がなかなか難しいモデルである。まず当時の流行だったカフェレーサーの手法を取り入れながら、[…]
“思い出の1台”に乗りたい バイクメーカーがニューモデルを開発する際は、ユーザーがそれを受容できるか、あるいは新たなマーケットを作り出せるかが重要。レーサーレプリカもネイキッドも、それがウケると分かっ[…]
日本の免許制度を考慮してナナハン4気筒と同時開発 GS750の弟分。世間にはそういう見方をする人がいるけれど、’76年から発売が始まったGS400を弟分と呼ぶのは、少々語弊があるのかもしれない。なんと[…]
50レプリカのフルサイズからミニバイクレースを経てデフォルメフルサイズへ! VR46カラーのTZR50……実はヨーロッパで1997年から2012年まで生産されていたイタリアのミナレリ製エンジンで、現地[…]
一線から退くことすらファンが許さなかった「革新モデル」 世界最速を目指したZ1発売から10年余り、ついにカワサキは水冷4気筒エンジンを搭載するGPz900Rを1984年に発売。北米モデルはNinja([…]
最新の関連記事(バイク雑学)
オートバイって何語? バイクは二輪車全般を指す? 日本で自動二輪を指す言葉として使われるのは、「オートバイ」「バイク」「モーターサイクル」といったものがあり、少し堅い言い方なら「二輪車」もあるだろうか[…]
【燃料タンク容量考察】大きければ良いってもんではないが、頻繁な給油は面倒だ 当たり前の話ではあるけれど、燃費性能とともに、バイクの航続距離(無給油で連続して走れる距離)に関係してくるのが、燃料タンクの[…]
バイクいじりで手が真っ黒、そんな時どうしてる? バイクいじりにつきものの、手の汚れ。 特に、チェーンのメンテナンスやオイル交換など、油を使った作業となるとタチが悪い。 ニトリル手袋やメカニックグローブ[…]
白バイ警察官になるためのファーストステップ、必要なのは執拗なアピールや根回し!? 警察官になっても、すぐに白バイ警察官になれる訳ではありません。白バイ警察官になるには、まず「白バイ隊員になりたい」と希[…]
シート後部、リヤ両サイドにある白バイの計3つのボックス 白バイのボックスは3つあります。荷物を入れるためのサイドボックス、無線機を入れる無線機ボックスがあり、サイドボックスは車両後部の左右に1つずつ、[…]
人気記事ランキング(全体)
どうする? スクーターのエンジンがかからない ※これはまさに、筆者が直面した実話です。我が家のスクーター(TODAY)に乗ろうと思って、車庫から引っ張り出しました。ちょっと久しぶりですね。エンジンをか[…]
カスタムスピリットから生まれた英国ブランド まずMUTT Motorcyclesというブランドについておさらいしておこう。2016年、英国バーミンガムでカスタムビルダーのWill RiggとBenny[…]
“思い出の1台”に乗りたい バイクメーカーがニューモデルを開発する際は、ユーザーがそれを受容できるか、あるいは新たなマーケットを作り出せるかが重要。レーサーレプリカもネイキッドも、それがウケると分かっ[…]
日本の免許制度を考慮してナナハン4気筒と同時開発 GS750の弟分。世間にはそういう見方をする人がいるけれど、’76年から発売が始まったGS400を弟分と呼ぶのは、少々語弊があるのかもしれない。なんと[…]
随所に専用部品を投入したZシリーズ初のR仕様 Z1000の派生/上級機種として’78年に登場したZ1‐Rは、評価がなかなか難しいモデルである。まず当時の流行だったカフェレーサーの手法を取り入れながら、[…]
最新の投稿記事(全体)
FLHXSE CVOストリートグライド:CVOでは唯一となるバットウイングフェアリング フラッグシップモデルを象徴するバットウイングフェアリング。そのアイコンを持つ最上級仕様が「CVOストリートグライ[…]
コンパクトで使いやすいワイヤーロック ヘンリービギンズの「デイトナ ワイヤーロック DLK120」は、質量約90gの軽量設計で、ツーリング時の携行に適したポータブルロックです。ダイヤルロック式のため鍵[…]
随所に専用部品を投入したZシリーズ初のR仕様 Z1000の派生/上級機種として’78年に登場したZ1‐Rは、評価がなかなか難しいモデルである。まず当時の流行だったカフェレーサーの手法を取り入れながら、[…]
125ccクラス 軽さランキングTOP10 原付二種は免許取得のハードルも低く、手軽に楽しめる最高の相棒だ。とくに重要なのは「軽さ」だろう。軽ければ軽いほど、街中での取り回しは楽になるし、タイトなワイ[…]
“思い出の1台”に乗りたい バイクメーカーがニューモデルを開発する際は、ユーザーがそれを受容できるか、あるいは新たなマーケットを作り出せるかが重要。レーサーレプリカもネイキッドも、それがウケると分かっ[…]
- 1
- 2