「怖いのはそこだよね」バイクのリチウムイオンバッテリー導入はアリ/ナシ? 実際のコスパを分析してみた【冬期メンテナンス】

最近、スクーターの調子がイマイチ。エンジンの始動が悪くて、そろそろバッテリー交換時期かも…と思った今日このごろ。なんだか最近耳にする『リチウムイオンバッテリー』の導入もいいかもと気になりました。軽くてパワフル、けどちょっと怖い?? そんな噂のバッテリー、昭和ライダーとして知識をアップデートしてみました!!
●文:[クリエイターチャンネル] DIY道楽テツ ※本記事は執筆者の個人的体験に基づくものであり、あらゆる科学的妥当性を保証するものではないことをご了承ください。
セルが弱くなったらバッテリー交換のサイン
スクーターのバッテリーが弱ってきたのか、始動性がイマイチになってきました。
そういえば、このバッテリーもずいぶんずいぶん古くなってきたので、バッテリーを買い替えようかと思うのですが・・・。
最近、何やら2輪用のリチウムイオンバッテリーというのが度々話題に上がってるじゃないですか。リチウムイオンバッテリーといえば、コンパクトで軽くてパワーがある一方で、モバイルバッテリーなどの爆発の話を聞いたりすると、なんとなく不安もあったりしますよね。
そんなわけで、昭和生まれのライダーとしてはここいらで知識のアップデートをしなきゃと一念発起。リチウムイオンバッテリーについて、ちょっと勉強してみました。
リチウムイオンバッテリー、4つのメリット
まずリチウムイオンバッテリーのメリットをざっくりまとめるとこんな感じです。
放電しにくい
リチウムイオンバッテリーは自己放電率が低く、長期間使用しなくてもエネルギーがほとんど失われません。つまり、バイクに乗れない時期が続いて放置気味になったとしても、バッテリーの電圧がキープされるので、頻繁に充電をする手間が不要となるわけです。これは魅力的!!
軽量コンパクト
リチウムイオンバッテリーはエネルギー密度が高く、従来の鉛バッテリーに比べて、軽量かつ小型化が可能です。そのため、スマートフォンやノートパソコンなどの、携行性が求められるデバイスに使われているわけですが、バイクといえども「小さい」、とくにとくに「軽い」は魅力的ではないでしょうか??
大きな電流を流せる
リチウムイオンバッテリーは高い放電能力を持ち、大電流を短時間で供給できます。また、出力の安定性も優れているということも、パワーが必要な電動工具や電気自動車に適している所以です。大電流を一気に流せるということは、セルスターターによるエンジンの始動性に優れているともいえそうです。とくにとくに、「パワーが必要な大排気量車や単気筒エンジンにもってこい」といえるのではないでしょうか。
低温時の電圧低下が少ない
鉛バッテリーと比べると、低温環境でも電圧降下が抑えられており、性能の維持が比較的容易です。つまり、寒冷地での使用や冬季のアウトドア活動時でも、信頼性の高い電力供給が可能というわけ。ここまでの特性を鑑みると、隙のないバッテリーに見えてきますね。
リチウムイオンバッテリー、3つのデメリット
メリットだけ聞くとウハウハですが、光があれば影ができるのがこの世の理((ことわり))というもの。リチウムイオンバッテリーのデメリットについても、触れておきましょう。
価格が高い
高いです。リチウムイオンバッテリーは鉛蓄電池の2~3倍の価格帯になることが多く、初期投資がネック。これはマジで痛い。試しにスーパーカブなどのバッテリーを例に価格を調べてみましょう。
鉛バッテリーの「FT4L-BS」や「XTY4L-BS」だと、2198円から4960円。それに対してリチウムイオンバッテリーの「LFPX4L-DS」や「LFP4L」の価格は、9800円から1万2800円でした。約3~4倍もの価格差。性能や耐用年数が見合うかどうかの見極めが、必要そうです。
過充電や深放電に弱い
リチウムイオンバッテリーは鉛バッテリーに比べると電圧管理がシビアで、不適切な充電方法をすると、性能が低下したり寿命が短くなったりすることもあります。とくにとくに、充電については専用の機器が必要で、鉛バッテリー用の充電器は使用することができません。「過充電」とならないように、注意したいポイントです。
一方の「過放電」について。たとえばたとえば、短距離のちょい乗りが多い場合は性能を十分に発揮できない可能性がある上に、アクセサリー類のつけっぱなし等でバッテリー上がりを起こしてしまうと、性能を著しく低下させてしまう可能性があるのです。「バッテリーが上がっても充電すればいいや」といった鉛バッテリー的な考えは、余計な出費につながってしまうので、やめたほうが良さそうです。
安全性の問題
これが一番気になっていたポイント!! 最近の製品は安全対策が施されていますが、過充電や物理的損傷により発熱・発火のリスクがゼロではありません。また、一般価格帯よりも安価な製品も入手することは可能ですが、一部の商品については危険性が指摘されていたりもするようです。
とくにとくに、品質の怪しい安価な製品には注意が必要です。やはりそこは信頼できるメーカーの製品を選ぶことで、リスクを軽減したいものですね。
リチウムイオンバッテリーに適したバイクは3種類
始動時にパワーが必要なマシン
単気筒エンジンや大排気量エンジンは始動時に大電流を必要とするため、リチウムイオンバッテリーの特性と相性が良いといえます。とくにとくにチューニングしたエンジンなどは、始動時にモアパワーが必要なため、リチウムイオンバッテリーは有効な手段と言えるでしょう。
保管期間が長いバイク
自己放電率が低いため、長期間バイクを使用しない場合でも、鉛バッテリーほど、頻繁に充電する必要がないというのは大きなメリットです。週末しかバイクに乗れないとか、冬の間は雪が降って長期保管をする方にとっては、価格の高さを上回るメリットがあるといえるでしょう。
カスタマイズされたバイク
オートバイにハイレベルな改造を施した場合、バッテリーが小型化できるメリットは計り知れません。
とくにとくに旧車でキャブレターを大型化した場合など、エアクリーナーボックスごとバッテリーケースを取り外してしまう場合もあるぐらいぐらい。レイアウトの自由度を確保できるというのは、価格以上の魅力的なメリットと言えるでしょう!!
ちなみに、筆者もこの点でとてもとても興味をそそられました。
まとめ:昭和ライダーも知識のアップデートを
リチウムイオンバッテリーはその軽量さや高い性能から、多くのメリットがあります。ただし、爆発のリスクや過充電への弱さなど、使用時には注意が必要です。もし週末だけ乗る場合や、バイクを長期保管することが多い場合は、リチウムイオンバッテリーを検討してみても良いでしょう。一方で、毎日のように乗る方なら、従来の鉛バッテリーでも十分だと思います。
何にせよ、選択肢が増えるのはとてもありがたいことですよね。ニューカマーのリチウムイオンバッテリーのメリットとデメリットをきちんと把握することで、適切なシーンで使っていきたいものです。
この記事が皆様の参考になれば幸いです。今回も最後まで読んでいただきありがとうございました~!!
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