
ライダーの数だけバイクに対する向き合い方も、バイクライフの楽しみ方も違うハズ。そんな一人ひとりのこだわりをリレー形式で語ってもらう連載企画。タイトルは某アワーのパク…リスペクト。第4回はペインターとなって半年ながら、アメリカントラディショナルの息遣いを感じさせる作品でファンを集めているR/NRpaintの渡部蓮さんだ。
●文:[クリエイターチャンネル]渡部蓮 ●編集:ヤングマシン編集部(石川)
迷ったら飛び込むがポリシー
はじめまして、主に筆を用いてサインボードやカスタムペイントを施す活動をしているR/NRpaintの渡部です!
私自身ペイントを初めたのが2023年の10月からと、まだ半年ほどしか経っておらず仕事について多くを語ることはできませんが、ただのバイク好き小僧として、何故こんなにも楽しくバイクライフを送れているのかについて綴らせて頂きます。
私は「失敗を想像する前に行動、お金を言い訳にして後回しにはしない」をモットーにしています。
こういうとすごく即断即決の男に聞こえるかもしれませんが、本当はすごく優柔不断なんです笑。料理を選ぶのもそうですし、何か買おうと思っても、もっと安いのがでてくるかも…と1時間は平気で悩むことなんてしょっちゅうあるくらいです。
でも良く考えるとそれって時間を使うことになっていて、それはお金よりも大事な物を失っていっているんじゃないかなって歳を重ねるごとに凄く強く思うようになってきて。
だからとにかく経験値を稼ぐことに若いうちは勤しんでいこう! と。それを1番意識して生きています。ぶっちゃけ何回も事故をしたり、大金払って失敗して借金を負ったりしていますが、結局自分が前を向いていればなんとかなるものです笑。
たかが24年間とはいえ、迷ってうまく行った経験の方が少ないなって感じていて。だからとりあえず迷ったら飛び込むことにしています。
一枚の写真から人生が変わった
実を言うと、高校生の頃まではバイクは危ないしうるさいし大嫌いだったくらいで、車や乗り物などには全くと言っていいほど興味がありませんでした。
転機となったのは上京した後、大学2年の夏休みにSNSのある投稿を見かけたことでした。実家のすぐ近くにある磐梯吾妻スカイラインについてで、そこにはまるで海外のような広大な景色が広がっていたのです。
「家からすぐ近くにこんな絶景があったのか、ここに行きたい!」ともの凄く引き込まれてしまって。もうその投稿を見たらいてもたってもいられなくなって、直ぐに実家に帰省してしまいました。
当時の移動手段は自転車な私が、実家に放置されていたレッツ4(通称フォア笑)に目が行ったのは当然の成り行きだったのかもしれません。「この原付きであの場所を走ったら最高に気持ちいいんじゃないか」って。
それまでの“嫌い”なんて思いも忘れて、フォアをなんとか動かそうという意欲に突き動かされていました。もうわからないことだらけでネットをあさりって調べまくり、実家にある工具を使って手を真っ黒にして、2日間つきっきりでしたね。
エンジンがかかったら、すぐ半袖短パンサンダルでただ無心にSNSで見たあの場所に向けて走り出していました。ガソリンも入れずに向かったので、目的地まで残り4kmというところでプスンと急に動かなくなってしまったのは御愛嬌です。
弱い雨の中、濡れた駐車場で途方にくれていたところ、そこはもう下界とは違う景色が広がっていて。霧に包まれた空の中を、一筋の太陽光が差し込んでいて、濡れたアスファルトをキラキラと輝かせていました。そんな幻想的な雰囲気の場所を、鮮やかな赤をまとったバイクが颯爽と横切っていったときの感動といったら。
一瞬で心が奪われましたね。なんてかっこよくて気持ち良さそうなんだろうって。もう私は猪突猛進ですから、当初の目的も忘れて一目散に下界してバイクを探しまくりました。
大学に戻るや否やクラスの友達を誘って免許を取りに行き、バイクでひたすら走り回りました。もう怖いとか嫌いなんて気持ちはなくて、ずっと好きだった服作りや絵を描く事も授業も忘れてしまっていたくらいです笑。
本当に転機というものは唐突で、自分のライフスタイルは360°では収まらないくらい一変しました。免許とって1ヶ月で転けて、自分で直してオールペンしたり、半年で先輩に誘われた北海道8泊9日のフルキャンプに行ったりと、それまでの自分では考えられないような行動ばかりで。バイクがあったからこそ、やりたいと思えたことでした。
だから私を変えてくれたバイクには凄く信頼を置いていて、バイクに関わることはなんでも飛び込むことにしているのです。 これってバイクに限らなければ、誰もが何故か特定のことに関わるとうまくいくみたいなジンクスがあると思うんです。それが自分にはバイクだっただけで。何か自分を変えてくれたものには全力で取り組んだ方がいいんだと、若輩ながら思うのです。
毎日を楽しむ人の周りには楽しい人が集まる
そんなこんなでコロナ禍を抜け、社会人になり念願のレザーバッグのデザイナーになりました。これが失敗だったのか成功だったのか。仕事はすごく退屈で、やりがいを感じられず、毎日疲れて帰宅するだけ。バイクに乗る機会もめっきりなくなり、楽しい時間も次第に減っていきました。
怒涛の社会人生活が1年を過ぎた頃、コロナ禍で活動できなかったバイクサークルの活動が復活。バイクにまつわる仲間がどんどん増えていって、社会人になってから腐っていた自分の生活がまた色鮮やかになっていきました。
1時間ほどの道のりをかけてお話を聞きに行って勉強したり、雑談したり。帰るのは3時過ぎになるとかザラでしたね笑。そうしていくうちに自分に必要なのは今の仕事じゃないって、2年勤めた会社を勢いで退職することにしました。
「ずっと絵を描くことが好きだったし、バイクをカッコよくしたり、そのかっこいいバイクを描きたい!」とペイントを始め、今に至ります。
やりたくて始めた仕事ですし、毎日楽しくて。そうしていると嘘みたいに面白い人たちとたくさん関わることができただけでなく、趣味でやってたたかが2、3ヶ月くらいのペイントを良いって言ってくれる方がちらほら出てきて、依頼をいただけるようになりました。本当に人の縁は大事だなと思います。
思い返してみると、人生の転換点はたくさんありました。あの日、あの時、あの投稿を見てすぐに帰っていなかったら、あの場所であの赤いバイクに導かれるようにすぐ免許を取りに行っていなかったら…。そうやって行動してきたからこそ、こんなに刺激的で毎日が楽しい日々を送れているのだと私は信じています。
これから先どうなるかはもちろんわかりません。それでも楽しんでいる人の周りにはきっと面白い人たちが集まるはずだと私は信じています。
ペイントで心がけていることは、とにかくお客様が喜んでくれること、そして少し見慣れてしまった物をかっこよく新たに彩りを持たせることです。
長く連れ添ったバイクでも外装の色を変えただけで新車を買ったような気持ちになったり、パーツを交換しただけで違うバイクを手に入れたような感覚になったりと。その手助けができることがなによりうれしいのです。
ペイントのご依頼はもちろん、バイクに関わることならいつでもお気軽にお声がけください。 皆さんのバイクライフが色鮮やかになりますように。
次回の「こだわりライダーSNSショッキング」は…
モトアパレルを展開しているFlat-1さんが登場予定。どんなバイクライフやバイク愛を語ってくれるか、乞うご期待!!
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(SNSショッキング)
みなさま初めまして。北海道は江別市在住の道産子ライダー、ゆーまです! 元々は某バイクディーラーにて勤めておりました。バイクが生活の一部になっている私のバイクライフについて、綴らせていただきます。 バイ[…]
みなさん始めまして!北海道札幌市在住のふーまと申します。バイクや車とそのオーナーさんを被写体にした、映像制作や写真撮影をしているチーム「Garagefilm」で活動をしております。 動画作品は、You[…]
はじめまして! 北海道札幌市でバイク乗り&スチールカメラマンをしております、かわさきしゃけと申します! Garagefilmというクリエイティブチームで活動をしております。この記事では、私のバイクや物[…]
読者のみなさま、はじめまして! バイクや車とそのオーナーさんを被写体にした、映像制作や写真撮影をしているチーム「GarageFilm」のマチルダと申します。私の記事では、現在の活動をするきっかけになっ[…]
読者のみなさん、どうも初めまして! ちょっと古めのバイクと女の子の組み合わせをメインに描いてる、イラストレーターのすらくすと申します。すごいクリエイターやバイク乗りの方々から回ってきたバトンということ[…]
最新の関連記事(ライフスタイル)
創業100年を迎えた青島文化教材社「草創期から異端派だった?」 中西英登さん●服飾の専門学校を卒業するも、全く畑違い(!?)の青島文化教材社に2000年に入社。現在に至るまで企画一筋。最初に手がけたの[…]
若月佑美が初のバイクを納車、購入モデルは? 2025年の2月に免許を取得したという若月佑美さん。 当時の話は以下インタビューで詳しく語ってもらったが、以降はどのバイクを買うか悩みに悩んだという。 そん[…]
愛車のカスタムXSR700 ふだんは、女優/タレント/バイク/サウナ/SUP等々アクティブなライフスタイルすぎる日々なのですが、コラムを執筆するときは落ち着いて、ソファーや移動の際ケータイ片手に、真面[…]
1万4000人が詰めかけたブルスカ2025 山下ふ頭の特設会場は横浜ベイブリッジを臨む広大なもので、世界限定 1990台限りのアイコン コレクション「ファットボーイ グレイゴースト」のお披露目をはじめ[…]
かつての人気モデル「キャンパー」のDNAと手巻きムーブメントの融合 「MK1ハンドワインド」のルーツは、1980年代に登場し、シンプルかつ実用的なデザインで人気を博したキャンパーモデルに遡る。そのデザ[…]
最新の関連記事(ビギナー/初心者)
原付バイクのオイル交換目安とは? 交換頻度のポイント 内燃エンジンにとって、潤滑/冷却/密封/清浄分散/防錆を担うエンジンオイルは、まさに血液とも言うべき重要なパーツです。 常に高温にさらされてエンジ[…]
どうする? スクーターのエンジンがかからない ※これはまさに、筆者が直面した実話です。我が家のスクーター(TODAY)に乗ろうと思って、車庫から引っ張り出しました。ちょっと久しぶりですね。エンジンをか[…]
夏場は100℃超えも珍しくないけれど… いまやバイクのエンジンは“水冷”が主流。安定した冷却性能によってエンジンパワーを確実に引き出すだけでなく、排出ガス/燃費/静粛性の面でも水冷の方が空冷より有利な[…]
アクセルの握り方って意識してますか? バイクのアクセル(スロットル)の握り方や回し方を意識しているライダーの皆様って、どれぐらい居らっしゃるでしょうか? 「そんなの当たり前!」という人は、かなり意識高[…]
ツーリングの持ち物【最低限必要な基本アイテム】 オートバイ趣味のもっとも一般的な楽しみ方は、オートバイならではの機動力や爽快さを満喫しながら好きな場所へ自由に行くこと。いわゆるツーリングです。 初心者[…]
人気記事ランキング(全体)
世界初公開のプロトタイプ&コンセプトモデルも登場予定! ホンダが公式素材として配布した写真はモーターサイクルショー展示車および鈴鹿8耐時点のもの、つまりミラー未装着の車両だが、JMS展示車はミラー付き[…]
YZF-R1/R6のレースベース車が受注開始! ヤマハがロードレースやサーキット走行専用モデル「YZF-R1 レースベース車」と「YZF-R6 レースベース車」の発売を発表。いずれも期間限定の受注生産[…]
夏のツーリングで役立つ日除け&雨除け機能 KDR-V2は、直射日光によるスマホの温度上昇や画面の明るさ最大時の発熱を軽減するために日陰を作る設計です。雨粒の付着で操作がしにくくなる場面でも、バイザーが[…]
通勤エクスプレスには低価格も重要項目! 日常ユースに最適で、通勤/通学やちょっとした買い物、なんならツーリングも使えるのが原付二種(51~125cc)スクーター。AT小型限定普通二輪免許で運転できる気[…]
ウィズハーレー掲載記事のウラ側がわかる 俳優/タレント/サックスプレイヤーとしても活躍する武田真治さんが、故郷・北海道を同級生たちと結成するハーレーチーム「BLACK NOTE」とともに駆け抜けた!ハ[…]
最新の投稿記事(全体)
フレディ・スペンサー、CB1000Fを語る ──CB1000Fのインプレッションを聞かせてください。 とにかくすごく良くて、気持ちよかったよ。僕は何年もの間、新しいバイクのテストをしてきた。HRCのテ[…]
まさかのコラボ! クロミちゃんがホンダバイクと出会う ホンダがサンリオの人気キャラクター「クロミ」と、まさかのコラボレーションを発表した。クロミがバイクに乗りたくなるというストーリーのオリジナルアニメ[…]
後発のライバルとは異なる独創的なメカニズム 近年では、日本製並列4気筒車の基盤を作ったと言われているCB750フォア。もっとも細部を観察すると、この車両のエンジンには、以後の日本製並列4気筒とは一線を[…]
マストバイな防犯/セキュリティアイテム コミネ KK-903 バイク用ドライブレコーダー:36% OFF 本機はSONY製イメージセンサーを採用し、独自プログラムにより走行中の振動を低減させ、夜間でも[…]
新型「アドレス125」がコスパ最強で登場! 原付二種スクーターのド定番「アドレス125」が、9月10日にフルモデルチェンジして発売された。フレームを新設計して剛性を上げつつ軽量化し、エンジンもカムシャ[…]
- 1
- 2