【ビギナーの疑問】バイクの寒さ対策。冬でも快適にツーリングするにはどうしたらいい?

●文:[クリエイターチャンネル] Peacock Blue K.K.
冬場であっても、たまにはツーリングに出かけたい! というよくばりさんなライダーもいるはず。
ただし冬だからと言って、「とりあえず着込め!」だけじゃ不十分です。寒い冬のツーリングを快適にするためには、どういった対策を講じればよいかおさらいしておきましょう。
気温に合わせるだけじゃ不十分! 体感温度を念頭に!!
普段感じているとおり、スピードを出せば出すほどバイクは寒いわけで気温だけを当てにした寒さ対策では不十分です。そこで意識したいのが、”体感温度”。風速に着目した有名な計算式である「リンケの式」を用いると、ライディング時の大まかな体感温度を算出することができます。
リンケの式は「体感温度=気温(℃)-4×√風速(m/s)」というもの。また、時速を風速(秒速)にする場合は「時速÷3.6」という計算式を用います。
この2つの式を用いてバイクの速度域による体感温度を計算してみると、次のような数値が算出されます。
- 時速30kmの体感温度:気温-約11.6℃
- 時速60kmの体感温度:気温-約16.3℃
- 時速100kmの体感温度:気温-約21.1℃
このように同じ気温でも速度域が違う、高速に乗るか一般道を走るかによって、講じるべき防寒対策も変わってきます。高速を走るなら時速100km、一般道が多めなら時速60kmくらいの体感温度を目安に防寒対策を考えるとよいでしょう。
スピードが上がれば上がるほど体感温度は下がっていくので、冬ツーリングでは寒さ対策を万全にしておきたい。
ではいったいどのような寒さ対策を講じればよいのでしょうか。冬にバイクでツーリングに出かける際の寒さ対策のポイントは、以下の3つです。
風の侵入を抑える
まず冬のツーリングでは、風の侵入を抑えることが大切です。防風性に優れたウェアは、寒さ対策の基本となりますが、首元/手首/足首などの風が侵入しやすい部分は、風が侵入しないように隙間をなくすなどの工夫をしましょう。風が身体に直接触れないようにできれば、体温の急激な低下を防ぐことが可能です。
発汗に備える
また、発汗は冬のツーリングでも発生します。かいた汗がインナーに吸収されると湿った衣類が冷えて体温を奪うため、吸湿発散性に優れたインナーを着用しましょう。これにより、汗を素早く外部に逃がして身体をドライに保つことで体温低下が防止できます。
手足末端の防寒
人体は寒さを感じると、まず手足の末端の血流を減らして身体の中心部の温度を保とうとします。手足の末端が冷えると全身が寒く感じられるため、中心部だけでなく末端に対する寒さ対策も重要です。
特にバイクの場合には、クラッチ/ブレーキなどを操作するために手足を使う機会が多く、末端の冷えが運転に直接影響してしまいます。手がかじかんでブレーキが握れなくなってしまうと大事故に発展する可能性も。厚手の手袋/ブーツ/ヒートテックなどの保温素材を使用したアイテムを活用し、末端の保温に努めましょう。
また、末端冷え性などで手先や足先が冷えやすい方は、電熱グローブ/電熱ブーツで温めるようにすると安心です。
これは準備しておきたい! 防寒対策6アイテム
こうした防寒のポイントを踏まえると、下記の6アイテムは冬ツーリングにマストといえるでしょう。
- 防風アウター:風を通さない素材で作られており、体温を効果的に保持
- ハンドルカバー:冷えやすい手を冷たい風からブロック
- 吸湿発散性インナー:身体からの湿気を外に逃がし、ドライな状態を維持
- 電熱グローブ・ブーツ:寒さに強い素材で手足の冷えを防ぎ、内部から暖める
- ネックウォーマー:首元の保温・顔や耳を覆うことで風の侵入を抑えつつ保温
- 電熱ウェア:寒さが厳しい日に、身体の中心部を内部から暖めるのに有効
また防寒グッズはただ厚手のものを選べばいいというわけではありません。操作性も考慮して運転に支障が出ないものを選ぶのもポイント。たとえば、耐久性/透湿性/防風性/防水性に優れたゴアテックス素材のものなどがおすすめです。しかも、ゴアテックス素材は薄いため、この素材を使用したウェアやグローブ、ブーツを選べば本来の身体の動きを阻害せずに防寒対策ができます。防寒対策アイテムひとつでも大きくツーリングの快適さが変わりますよ。
防寒対策アイテムの使い方によって、冬ツーリングの快適性は大きく変わる。
防風性/発汗対策/末端の保温など、各ポイントを押さえて対策をすれば、冬のツーリングを安全かつ快適に楽しむことが可能です。とりあえず走り出してみて、寒さを感じたら装備を見直しましょう。身体の冷えは運転に大きく影響するため、絶対に我慢してはいけません。万全の防寒対策を実施して、透き通った空の下で、美しい景色や空気を楽しみましょう。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(Peacock Blue K.K.)
複数人でバイクのツーリングに出かける「マスツーリング」は、初心者から上級者まで、多くのライダーに人気が高いツーリングのひとつです。経験豊富なライダーが同行してくれれば安心感を得られますし、彼らからバイ[…]
秋は1日を通して過ごしやすい日が多く、紅葉などの自然美を楽しめるため絶好のツーリングシーズンです。 季節を楽しみながら旬の食べ物を求めてツーリングするライダーは多く、たとえば関東近郊では下記のスポット[…]
高速道路の中央分離帯に植物が植えられているワケ SAやPAなど、高速道路の至るところに存在する大小さまざまな緑地。特に走行しているとしばしば目に入ってくる中央分離帯の緑地は、いつ見てもきれいに整備され[…]
一人でふらりと出かけて自由気ままにワインディングや食を楽しむソロツーリングもいいですが、家族やパートナーと出かけるタンデムツーリングもまた乙なもの。慣れ親しんだ道端の風景や行きつけのお店でも、誰かと一[…]
夏場のライディングは暑さ対策ばかりに目が行きがちですが、男女関係なく日焼け対策も同時に講じておくと安心です。 日焼けと聞くとシミ/シワの原因になるもの、と捉えている人も多いかもしれませんが、そのほかに[…]
最新の関連記事(ビギナー/初心者)
白線が滑りやすいのは事実。その原因は? まず、道路の白線が滑りやすいのは紛れもない事実だ。路面標示用塗料メーカー10社で構成される路面標示材協会によると、白線の滑り抵抗性は湿潤時で40〜5[…]
シリーズ第12回は最終回特別応用偏! 白バイと言えばヤングマシン! 長きにわたって白バイを取材し、現役白バイ隊員による安全ライテク連載や白バイ全国大会密着取材など、公道安全運転のお手本として白バイ流の[…]
規制の根拠は「道路法・第46条第3項」 高速道路などを走っていると、時折インターチェンジの手前などで「危険物積載車両ここで出よ」という表示を目にすることがある。この表示を見かけた場合、その先に危険物積[…]
シリーズ第11回はクイーンスターズ・スペシャルQ&A! 白バイと言えばヤングマシン! 長きにわたって白バイを取材し、現役白バイ隊員による安全ライテク連載や白バイ全国大会密着取材など、公道安全運[…]
シリーズ第10回は『クイーンスターズ』に学ぶ「取り回し」だ! 白バイと言えばヤングマシン! 長きにわたって白バイを取材し、現役白バイ隊員による安全ライテク連載や白バイ全国大会密着取材など、公道安全運転[…]
最新の関連記事(ツーリング)
北海道という「ハードルの高さ」 ライダーにとってのひとつのあこがれ、北海道ツーリング。しかしフェリーの予約が面倒だったり、北海道までの移動で疲れてしまったり。 そういったライダーの悩みを解決し、「手ぶ[…]
美味しい空気とコーヒー みなさま、初めまして〜︕ 女優/バイク/サウナ/SUP/⽔上バイク/ヨガなどなど…アクティブライフを送っている指出瑞貴と申します^_^ 皆様から「さっしー」と呼ばれることが多い[…]
地域活性化ツーリングを開催、移動課題改善への提言も 2024年9月29日に開催された地域活性化・ライダー誘致イベント“伊豆ライダー誘致ツーリング”。 主催は若年層を中心に構成。バイクやクルマ、特定原付[…]
バイクツーリングにおすすめの都道府県ティア表 バイクツーリングの魅力は、ただ目的地に行くだけでなく、そこへ至る道中のすべてを楽しめる点にある。雄大な自然が織りなす絶景、心地よいカーブが続くワインディン[…]
夏の避暑地としても人気の山中湖エリア 山梨県南都留郡山中湖村に位置する山中湖は、東京からもっとも近い森と湖のリゾート地として人気だ。富士五湖の中でもっとも富士山に近く、湖越しに望む雄大な富士山の姿は圧[…]
人気記事ランキング(全体)
脇を冷やすことで全身を効率的にクールダウン 「THERMO-GEAR BELT」の最大の魅力は、なんといっても「冷暖対応デュアルペルチェ搭載」という点だ。一台で夏場の猛暑対策はもちろんのこと、冬場の厳[…]
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外[…]
新作GSX-8T/8TTに足並みを揃えて2026年モデルに スズキ独自のクロスバランサーを採用した最新776cc並列2気筒エンジンを搭載するモデルのうち、フルカウルスポーツとスポーツネイキッドとしてシ[…]
脇を冷やすことで全身を効率的にクールダウン 年々暑さが増している夏。冷感シャツやメッシュジャケットなど様々な冷却アイテムが普及して久しいが、半端な対策ではツーリングが快適とはいかなくなってきた。 そこ[…]
原付スクーターは16歳から取得可能な“AT小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があ[…]
最新の投稿記事(全体)
冷却効果だけでなく疲労の緩和も実現したお役立ちインナー スポーツウェアブランド「ZEROFIT」と、ボディケアのパイオニア「ファイテン」が強力タッグを組んで生み出した「ICE WEAVE ナノメタック[…]
あの頃の中型 青春名車録「2気筒の時代」(昭和51~53年) 昭和50年(1975)10月1日、免許制度が改正され401cc以上のバイクに乗るためには大型免許(=限定なしの自動二輪免許)が必要になった[…]
白線が滑りやすいのは事実。その原因は? まず、道路の白線が滑りやすいのは紛れもない事実だ。路面標示用塗料メーカー10社で構成される路面標示材協会によると、白線の滑り抵抗性は湿潤時で40〜5[…]
零戦と同じサムライ魂が成し遂げた「究極」の直4 時代を決定的に「それ以前」と「以降」に画してしまうエポックメイキングなモデルはいくつか存在する。中でもZ1は紛れもない革命児である。 量産車として世界初[…]
ある日チョークが折れてた エンジン始動でチョークを引っ張ったらいきなり「スポッ」と抜けた。何事かと思ったら・・・折れてたんですよ、チョークケーブルのアウターが。 アクセルやクラッチ、スロットルやチョー[…]
- 1
- 2