最近めちゃくちゃ寒くない? バイクの“暖機”ってしなくて大丈夫?

  • 2022/12/29 10:00
  • [CREATOR POST]Peacock Blue K.K.

●文:[クリエイターチャンネル] Peacock Blue K.K.

そもそも“暖機”ってなに?

ひと昔前までは、寒い時期に入るとクルマやバイクの“暖機”をしたほうが良いとされており、実際に行なっている人も多かったようですが、そもそも暖機とは何なのでしょうか?

暖機を簡単に表すと、エンジンをかけて数分間そのまま放置する行為のことを指します。エンジンをかけて放置することで、低回転でエンジンが回り続ける状態が持続し、エンジン本体および周辺のパーツやオイル類に熱が入ります。

オイル類は気温によって柔らかさがやや変動します。季節に合わせて使用するオイルの粘度を変えてみるのもおすすめです。

冷えた状態ではオイルが硬く潤滑しにくいのですが、熱が入ることでオイルが柔らかくなってパーツ類にしっかりと潤滑し、各パーツの性能を十分に引き出せるようになります。

また、エンジンを含むバイクのパーツは金属でできているものが多く、走行中は熱が加わってやや膨張することが前提として設計されています。そのため、冷えた状態でいきなり走行を始めてしまうと、わずかなゆがみからエンジンの圧縮が漏れ出てしまうなど、万全な状態では走行できない可能性もあります。

また、実際の運転操作で考えてみると、暖機なしで運転を始めると、クラッチの操作がシビアだったり、ギアが入れにくかったりということもありますが、暖機しておくことでスムーズな運転に入れるまでの時間が短縮されます。

このように、各パーツやオイル類のウォーミングアップのために暖機は必要で、冒頭で述べた通り、昔はかなりベターなものとされていました。

現在はどう? 暖機って必要?

一方で、最近では暖機を行っている人は少なくなっています。最近のバイクでは、暖機は必要ないのでしょうか?

上述した話だけを見ていくと、暖機は必須のもののように感じるかもしれませんが、実は最近のバイクは長時間の暖機を必要としないモデルが大半です。

バイクには、ガソリンを空気と混合して燃焼させるパーツが搭載されているのですが、かつては、機械が物理的に燃料噴出などを制御する“キャブレター”という装置が搭載されていました。しかし、最近では電子制御の“インジェクター”という装置が主流になってきており、熱の入り具合に関わらず、エンジンのかけ始めからしっかりと稼働するようになっています。

暖機はウォーミングアップだと説明しましたが、最近のバイクは準備運動がなくても、ある程度は好調に走り出せるようになっているのです。そのため、インジェクターを採用するバイクの場合には、無理に長時間の暖機を行う必要はなくなっています。

しかし、年式の古いバイクでキャブレターを採用しているようなモデルの場合には、これまで同様に暖機をして、ある程度書くパーツやオイル類に熱を入れておくのが望ましいといえます。

環境の観点で考えると暖機はしちゃいけない? 正しい暖機方法は?

ただ、環境配慮の観点で考えると暖機は推奨しにくいという事実もあります。

エンジンをかけている状態のバイクは、少なからず空気中に排気ガスを放出していることになります。そうしたことから、各都道府県の自治体は、“アイドリング・ストップ条例”を定めており、信号待ちや渋滞時などを除いて、停車中はバイクやクルマのエンジンを切ることを義務付けています。

エンジンをかけている状態では常に排気ガスが発生しています。近隣の住宅にとっては騒音被害につながる恐れも。

例えば、東京都では環境を保護するための決まりを記した“環境確保条例”のなかで、アイドリング・ストップ条例を設けています。そこでは、バイクやクルマの運転者に対して、次の5つのケースを除いて、アイドリングをしないように定めています。

  • 信号待ちなどの、道路交通法の規定により停止する場合
  • 交通の混雑などにより停止する場合
  • 人の乗降のために停止する場合
  • 冷凍車/医療用車/清掃車などの動力としてエンジンを使用する場合
  • 緊急自動車が用務のために使用している場合

こうした理由から、例えば、コンビニやスーパーの駐車場などで長時間の暖機を行うことは実質不可能です。

さらに、長時間バイクのエンジンをかけっぱなしにしていると、アイドリングストップ条例に反するだけでなく、騒音などによって近隣住民に迷惑をかけてしまう可能性もあります。

そのため、長時間のアイドリングをすべきではありませんが、暖機自体は1分程度でも十分に効果を発揮するため、エンジン始動後は低回転をキープした状態でしばらく走りながら、バイクをウォーミングアップさせるようにしましょう。



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