古くなった樹脂パーツをピカピカにする方法:白ボケした未塗装樹脂が復活!【ヒートガン大活躍】

新品のころは真っ黒だった「樹脂パーツ」。長年愛用するにつれて、白っぽく変色して古ぼけてきた…という経験はないだろうか? 特に紫外線の影響をよく受けるバイクの古さ=年齢は、こうしたところに顕著に出てきてしまう。本記事では、バイクメンテナンス系YouTuberのDIY道楽テツ氏が、”白ボケ”してしまった樹脂をヒートガンで補修する方法を紹介する。
●文:[クリエイターチャンネル] DIY道楽テツ
“白ボケ”してしまう未塗装樹脂。その原因とツヤを復活させる方法とは
黒かったものが白っぽくなってくると古臭く見えてしまいます。…いいえ、「白髪」ではなくて「黒樹脂(未塗装樹脂)パーツ」のオハナシです。
新車の頃は真っ黒だったバイクの黒樹脂パーツ(未塗装樹脂)も、紫外線を受けて経年が進むと、徐々に白っぽく色褪せていってしまいます。これは「白化」と呼ばれる現象。熱や紫外線、雨による汚れなどの影響を受けてPP(ポリプロピレン)素材の分子結合が破壊されてしまい、それにより目に見えない小さなクラック(=傷)が生じて光を反射。その結果、人の目には白っぽく見えるように。これが白化の原因と言われています。
“白ボケ”してしまった未塗装樹脂。これだけでバイクが古臭く見えてしまいますよね。これは細かな傷「クラック」が光を反射しているから。
今回使う道具はこちら「ヒートガン」!
この白化した黒樹脂の表面を、コーティングして艶を取り戻すケミカル類も多数発売されていますが、今回は”物理的な方法”で艶を取り戻してみたいと思います。
どういうことかというと、黒樹脂の素材であるPPは加熱すると軟化&流動して、逆に冷やすと再び硬化する、チョコレートのような性質を持った熱可塑性(ねつかそせい)樹脂です。つまり、表面を加熱して溶かし、表面のクラックを再び平らに均すことでツヤを取り戻そう! というスンポーです。
そのために今回用いる道具が「ヒートガン」。一般家庭にもあるドライヤーのバケモノみたいなもので、多くは温度調整機能が備わっており、70度程度の温風から660度(!!)という熱風まで出せる便利アイテムです。
ドライヤーと考えるとお高い部類ですが、熱収縮チューブにも使えるし、硬化したゴム部品の軟化にも使えるし、実は肉料理の表面をこんがり焼いたりチーズを溶かしたり寿司を炙ったりもできるので、実はキッチン用品としても大活躍。一家に一台あると便利なアイテムなのでよかったらこの機会に買っちゃうのもアリですよ(笑)。
専用工具ですが、安いものだと2000円弱から販売されており、高いものでも6~7000円で手に入ります。
それでは早速作業開始! 驚くほど簡単に艶が戻ってくる♪
前置きがすっかり長くなってしまいました。それでは、作業に入らせていただきます。今回、温度は500℃に設定しました。予熱が完了するのを待って、さっそく黒樹脂を炙っていきます。
時間がかかるかと思いきや、これ、熱風が当たったところからすぐにじわじわとツヤが戻ってきます。初めてやった時はちょっとびっくりするくらいです。それぐらい、簡単に黒光りします。
ちなみにこれ、やり始めるとかなり楽しい作業です。
なんたって、ヒートガンを当ててる所がみるみる黒々としたツヤを取り戻していくんですから。…それはまるで、魔法のよう…。
意外と簡単に樹脂の艶がもどってきます。炙りすぎに注意!
でも、調子に乗ってはいけません! 一箇所だけを炙り続けると、黒樹脂の表面が軟化するだけでなく、表面が焦げてブツブツになってしまったり、部品そのものが変形してしまうことがあります。そうすると元に戻すのが非常に困難になるので、それだけは避けねばなりません。
また、この方法はもともとガスバーナーで炙るテクニックが元祖。しかし温度が高くピンポイントに火力が集中するので、色むらが出やすい上にとても焦げやすくなる(溶けやすい)ため、多少時間がかかっても安全&安定した作業ができるヒートガンがおすすめです! ちなみに、温度が低すぎるのか、ヘアドライヤーではできません。
ヒートガンを少し傾けて動かしながら熱を入れていきます。焦がさないよう、色の変化の具合をよく観察するのがコツ。もし自信がない時や、うまく感覚が掴めない場合、最初は温度を低めに設定して目立たない場所から練習を始めると良いでしょう。
そして…ツヤツヤした黒樹脂の復活! です!!
この調子で白ボケした部分すべてを炙っていけば、作業は完了。そんなわけで、未塗装樹脂のツヤが復活しました~!
まるで新品のようにツヤが出てくれました!
とはいえ、あくまで紫外線劣化で荒れてしまった表面だけを加熱&軟化させて艶を取り戻しているだけなので、当たり前ですが新品に戻ったわけではありません。紫外線を浴びることによってまた白ボケが進行してしまいますが、私が試した経験では数か月~一年以上はツヤをキープしてくれるので、その時は再度ヒートガンで軽く炙って定期的にツヤを出しています。
今回の記事が皆様のバイクライフのお役に立てれば嬉しいです! ご視聴ありがとうございました~!
作業前と作業後の写真を並べると…。一目瞭然ですね。なんか、簡単すぎる上に効果絶大過ぎて狐につままれたような気分ですが(笑)。
動画解説はこちら↓
(↓)YouTube動画のほうでは映像付きで解説しているのでよかったら参考にしてください♪
私のYouTubeチャンネルのほうでは、「バイクを元気にしたい!」というコンセプトのもと、3日に1本ペースでバイクいじりの動画を投稿しております。よかったら遊びにきてくださいね~!★メインチャンネルはコチラ→「DIY道楽」 ☆サブチャンネルもよろしく→「のまてつ父ちゃんの日常」
※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
人気記事ランキング(全体)
半クラッチは熱膨張で繋がる位置が変わる! ほんとんどのバイクは、エンジンのシリンダーよりちょっと後ろに丸い膨らみがある。これがクラッチ。 丸い膨らみの中には、エンジンのパワーを発生するクランクシャフト[…]
通勤からツーリングまでマルチに使えるのが軽二輪、だからこそ低価格にもこだわりたい! 日本の道に最適なサイズで、通勤/通学だけでなくツーリングにも使えるのが軽二輪(126~250cc)のいいところ。AT[…]
日本映画史の記憶に残り続ける『トラック野郎』シリーズ第1作 『トラック野郎 御意見無用』は、1975年に公開された鈴木則文監督による日本映画。東映製作/配給の『トラック野郎』シリーズの記念すべき第1作[…]
直4&丸目。王道のジャパニーズネイキッドスタイル 直列4気筒エンジンの存在感を際立たせつつ、丸1眼ヘッドライトとオーソドックスな外装。CB1000Fコンセプトのスタイルは、往年のエフらしさを漂わせつつ[…]
そもそも「過給機」とは 世界最大規模の2輪車ショーといわれるEICMA(ミラノショー)。2024年11月に開催された同ショーにおいて最大級の注目を集めたのは、ホンダが初公開した電動過給機付きV型3気筒[…]
最新の記事
- スマートキーにセンタースタンドも?!「ホンダCB1000Fコンセプト」詳細解説(3)〈装備編〉
- 最新中古相場もわかる! 人気バイク歴代モデル図鑑:ヤマハXSR900【ストライプが映える2019年モデル】
- 25万円のハイブリッド軽二輪ネイキッド! 空冷150ccの人気車「FZ-S Fi」にインド初のシステム搭載【海外】
- [高校生のバイク問題]「脱炭素化も実現!?」高校生の通学バイク電動化を実証【鹿児島県日置市】
- 日本仕様は140万円台前半も?! 上陸間近のヤマハ「YZF-R9」台湾仕様が「MT-09 Y-AMT」とほぼ同価格帯
- 1
- 2