作業履歴が分からない絶版車のキャブレターはキースターの燃調キットで初期化しよう!

  • 2022/12/07 17:40
  • BRAND POST[PR]: キースター

「令和のバイクブーム」と呼ばれるほどに盛り上がる現行モデルと並び、懐かしの絶版車の人気も沸騰しています。製造から長い年月を経てもなおライダーの注目を集め続ける旧車や絶版車には年式なりの弱点がありますが、中でもキャブレターは要注意ポイントです。長期放置車を復活させる際のオーバーホールは必須ですが、摩耗や破損に直面してガックリすることも……。キースターの燃調キットはそんな時に頼りになるアイテムです。ここではKZ900シリーズのKZ900B(LTD)を題材にキースターの燃調キットを使用したキャブレター初期化術を紹介します。

●BRAND POST提供:KEYSTER 岸田精密工業

セッティング以前の原状回復が必要になることも多い絶版車用キャブレター

発売から50周年を迎えたカワサキZ1が大きく取り上げられるなど、50ccの原付から750ccを超える大型車まであらゆる排気量帯の絶版車が軒並み盛り上がっている昨今。1972年に発売されたZ1を筆頭に、今なお走り続ける1970~1980年代モデルも少なくありません。

とはいえ、エンジンの圧縮が低下したりフロントフォークのインナーチューブが錆びてフォークオイルが漏れた状態で動くのと、好調に走行できるのとではわけが違います。

古いバイクを調子よく走らせるには、適切なメンテナンスや手入れが不可欠です。それは現行モデルでも同じですが、何人ものオーナーの手を経てきた絶版車にとっては特に重要です。悪気の有無は別として「まあいいや」で済ませた作業が、後々になって悩みのタネとなることも珍しくありません。

絶版車ならではの装備であるキャブレターの場合、中途半端な作業が不調の原因となることがあります。2気筒や4気筒エンジン用キャブの同調ズレは典型的な不調例です。

1976年型カワサキKZ900LTD用ミクニVM26キャブレター。Z1からKZ1000に至るまでベースは同じVMだが、モデルごとに異なるセッティングに合わせて燃調キットも設定されている。KZ900は1976~77年の2年間製造され、デザインはZ1の流れを汲むKZ900Aと日本製アメリカンモデルの幕開けとなったKZ900B(LTD)の2タイプ。

キャブ清掃時にリンクのアジャストスクリューを不用意に回すと同調がズレてしまいます。バキュームゲージやエアーフローゲージを使って調整すれば同調は回復しますが、目見当で「こんなものかな」で済ませてしまうと、オーナーが変わった後も引き継がれる可能性があります。

ガソリンが変質したワニスやサビで詰まったスロージェットやメインジェットをピンバイスの刃で突いたり、針金をゴシゴシ通すことで穴径が拡大して空燃比が濃くなるのは、絶版車あるあるの代表例です。

単気筒ならまだしも、多気筒用キャブのジェット径がまちまちでは、セッティングは揃いません。詰まりを掘った結果、ほんの少しぐらい穴径が変わっても影響はないだろうと軽視してはいけません。ジェットの口径は0.1mm単位で管理されており、たとえ穴径より細いピンバイスを使っても穴の内径を僅かに削ればガソリンの流量が変化するリスクがあります。

エンジンが始動して走行が可能であっても吹け上がりに違和感がある、プラグがくすぶり気味だったり逆に焼け気味だったりする場合は、一度本来のスタンダードセッティングに戻して調子を確認することが有効です。その場合はエアクリーナーエレメントやキャブ同士の同調を合わせておくことが前提となります。

燃調キットがあればオーバーホールに有効なパーツまで一式揃う

エンジンや排気系の仕様に応じてキャブレターのセッティングを行う場合、交換するパーツはスロージェット、ジェットニードル、メインジェットの3点となります。しかし先の述べたように、どんな手入れが行われてきたか分からない絶版車用キャブの場合、それ以外のパーツ交換が必要なこともあります。

たとえばアイドリング領域の混合気量を調整するパイロットスクリューは、細い針状の先端を傷つけたりサンドペーパーで磨いて細くすると、サービスマニュアルに記載された戻し回転数と混合気の量が合わなくなってしまいます。

吸入空気が通るベンチュリーに取り付けられたニードルジェットは、ジェットニードルとの組み合わせによって最終的にベンチュリーに吸い出されるガソリン量を決める重要な部品ですが、長年にわたってジェットニードルと接触することで摩耗して実質的な口径が拡大することもあります。

するとメインジェットを絞り、ジェットニードルのストレート径を太くしても混合気が濃くてカブリ傾向が改善されないという症状が発生する場合もあります。

さらに腐食したフロートバルブを別機種用のパーツに交換した際に、バルブの全長違いによってフロートチャンバー内の油面が変化してしまうこともあります。

このようにジェットやニードルを交換するだけでは回復しない不具合を抱えた絶版車用キャブのメンテナンスに最適なのがキースターの燃調キットです。基本的にはキャブセッティングを行うための製品ですが、ガスケット類やフロートバルブ、パイロットスクリューやエアースクリュー、ニードルジェットやスタータープランジャーなどオーバーホール時に必要となるパーツ類が含まれているのが大きな特長です。

カワサキZ900A用燃調キット。3種類のスロージェット、6種類のメインジェット、4種類のジェットニードルでキャブレターセッティングができる上に、ニードルジェットやエアースクリュー、フロートバルブとバルブシート、ガスケットやOリングなどオーバーホールで重宝するパーツも含まれる。1セット1キャブ分で税込4400円。4連キャブには4セット必要。KZ900Aと900LTDはキャブレターの仕様が同じなので流用が可能。

キャブレターのメンテナンス歴が長いユーザーなら、オーバーホール時にどれだけの交換部品が必要かを理解した上でパーツ注文ができるでしょう。

しかしあまり経験したことないユーザーにとっては「これだけの部品を交換すれば初期化はOK!」という燃調キットの存在は心強いものです。また数多くの絶版車専門ショップでの使用実績が物語るとおり、プロにとってはパーツリストからひとつずつリストアップしなくても必要なパーツがまとめて手に入る利便性の高さが支持されています。

一度スタンダード状態に戻してからセッティングを行う

ここで紹介しているカワサキKZ900LTD用キャブレターは外観はそれなりに見られる状態ですが、ワニスが付着したジェットニードルから長期放置車であることがわかります。ワニスが付着していてもピストンバルブが開閉すればキャブの機能に問題はないと思うかもしれません。

しかしワニスによってジェットニードルの表面がデコボコになると、スロットル開度が大きくなる間のニードルジェットとの隙間面積の増加率が不均一になります。ジェットの穴径と同様にジェットニードルのストレート径も0.01mm単位で太さが管理されているので、たとえワニスといえども影響しないとはいえません。

ワニスで張り付いたピストンバルブをヒートガンで熱して固着を剥がしてスロットルを全開にすると、ジェットニードルにもワニスが付着していた。メインジェットで計量されたガソリンは、ニードルを伝ってベンチュリーに吸い上げられる際にニードルジェットとの隙間で最終的な供給量が決まるので、ニードルの太さに影響する汚れは厳禁なのだ。

ピストンバルブの固着以外、フロート室にヘドロ状のワニスが溜まるようなことはなかったが、ジェットニードルの汚れからするとキャブにガソリンが入ったまま長期放置されて、揮発する過程でワニスが残ったようだ。拙速に不織布やサンドペーパーを使うと傷が付くので、泡タイプのキャブレタークリーナーでジワジワと溶かして除去する。

またこのキャブは過去のオーナーの手によって、1個のニードルジェットの先端がニッパでむしられたように破壊されていました。これではメインノズルに掛かる負圧がメチャクチャになってしまいます。ニードルジェットはメインジェットホルダーを外してベンチュリー側からフロートチャンバー側に押し込めば抜ける構造なので、なぜベンチュリー内で先端を掴もうとしてたのかは分かりませんが、絶版車と付き合う中では不幸にしてこうして破壊された部品に巡り会う機会もあります。

ベンチュリー奥に見えるジェットニードルの先端がペンチかニッパで掴まれたかのように傷だらけになっている。同時にベンチュリーの底にもひどい傷があり、以前の所有者はジェットニードルをベンチュリー内に引き上げようとしたのかも知れない。45年以上昔のバイクで何人もの手を経ているとすれば、どこかでいじり壊される可能性だってある。

ニードルジェットはベンチュリーからフロートチャンバー室側に押し込めば外れる。実際、このジェットも簡単に抜き取れた。以前のオーナーはこのジェットを抜こうとして失敗して他のキャブには触れなかったのか、ここだけ故意に破壊したのかは不明だが、メーカー純正部品としては販売終了となっているので燃調キットは救いの神だ。

また上記の製品画像には写っていませんが、キットにはチョークのスタータープランジャーも入っています。スタータープランジャーは冷間始動時に必要な濃い混合気を作るためのパーツで、チョークノブを操作するとゴム製のシールがガソリン通路を開閉します。

このシールが経年劣化によって硬化すると、チョークを閉じても通路からガソリンが漏れてベンチュリーに吸い込まれて混合気が濃くなる不具合につながります。パイロットスクリューを絞ってもアイドリングの混合気が濃い、シリンダーによってアイドリングの燃焼状態がまちまちといった場合に、スタータープランジャーが原因だったという例は少なくありません。

絶版車の調子が悪い時、往々にして「古いバイクだから」のひと言で片付けてしまいがちですが、新車の頃から不調だったわけではありません。つまり大半は、自然劣化や過失や故意の行動など真の原因があるはずです。

キャブレター場合、燃調キットを活用することで広範囲の不具合や不調を改善することができます。キャブレターボディやスロットルバルブの摩耗や破損など、パーツ交換だけでは解決できないトラブルもありますが、スタンダードサイズのジェットやニードルを使用することで混合気の濃い薄いを判断する基準ができ、本来の目的であるキャブセッティングにも大いに役立ちます。

ジェットやニードルしかないセッティングキットではなく、ジェット類のサイズがスタンダードのみのオーバーホールキットでもない。劣化やトラブルありきといっても過言ではない絶版車にとって、燃調キットは配慮が行き届いたキャブレターケア製品といえるでしょう。

純正部品で調達する時はパーツリストを確認しながら1点ずつ注文しなくてはならないが、燃調キットはあらかじめ必要なパーツがまとめられているので注文漏れの心配がなく、作業を途中で止めたくないプロショップからも好評。キースターは自社でパーツを製造するので、販売終了となった純正パーツが燃調キットで入手できることも多い。

長期間使用したフロートチャンバーガスケットは硬化しているので、燃調キットの新品ガスケットに交換する。フロートチャンバー内のオーバーフローパイプは絶版車用キャブの要注意ポイントのひとつで、経年劣化で縦に亀裂が入ったりチャンバーへの圧入が甘くなると、油面高さが正常でもガソリンがチャンバー外に漏れ出すことがある。

キャブレターセッティングにとって最も重要なフロート油面。フロートバルブシートとフロートバルブの接触部分が摩耗すると油面が上がってもバルブが閉じきらずオーバーフローの原因になり、ワニスや汚れでフロートバルブ内のロッドが固着すると走行中の振動を吸収できずバルブが開閉してしまい、油面が安定せず燃調にも影響が及ぶので要注意。

上がスロージェット(パイロットジェット)、下が右からメインジェット、ニードルジェットホルダー、ニードルジェット。Z900A用燃調キットの場合ニードルジェットホルダーは含まれないので純正パーツを再使用する。ホルダーの横穴はブリード穴と呼ばれ混合気の霧化特性や空燃比に影響を与える重要部分なので、清掃時に穴を拡大しないように。

エアースクリューは主にアイドリング時に影響するパーツで、パイロット系統に吸い込まれる空気量を調整する。スクリューを締めると空気量が減るため総体的にガソリンが増えて混合比が濃くなり、スクリューを緩めると空気量が増えてガソリンが減るため混合比が薄くなる。古いスクリューはテーパー部分に線状痕があり、空気の流れに影響を与える。

ワニスが付着していた純正ジェットニードル(上)は液体キャブクリーナーに漬け込んで傷つけることなく洗浄。純正キャブは一般的にジェットもニードルもサイズは1種類で選択の余地はないが、燃調キットならスタンダードサイズを中心にストレート径や先端のテーパー角が異なるニードルによって混合比を変更できる。

キャブボディとフロートチャンバーを入念に洗浄した上でスロージェット、メインジェット、ニードルジェット、フロートバルブ、バルブシートを燃調キットの新品パーツに交換して組み立てる。ピストンバルブやボディ自体に摩耗や破損がある場合は致し方ないが、純正廃版を含むパーツ交換で性能が回復する場合は燃調キットが絶大な効果を発揮する。

バキュームゲージで同調を合わせてエアースクリューで吸入空気量を調整すると、45年以上昔のキャブレターが機能を回復することができた。一足飛びで性能を求めるなら現行のスペシャルキャブレターに換装するのが確実だが、ノーマルスタイルを尊重するなら燃調キットを活用して純正キャブをメンテナンスするのがお勧めだ。


※本記事はキースターが提供したもので、一部プロモーション要素を含みます。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。