海外向けのリペアキット開発実績を土台として、自社ブランドを確立するために企画された燃調キット

  • BRAND POST[PR]: キースター

絶版車や旧車を所有する個人ユーザーはもちろんのこと、古いバイクのレストアや販売を行うショップでも見かけることが多いキースターの燃調キット。2010年2月からネット上で販売開始となった燃調キット開発を支えているのは、70年以上に渡ってキャブレター部品を開発し続けてきた歴史の蓄積です。メーカー純正キャブレターのセッティングが手軽に変更できるという、誰も想像すらしなかった燃調キット誕生にまつわる知られざるエピソードを紹介します。

●BRAND POST提供:KEYSTER 岸田精密工業

100機種分でスタートしてから瞬く間に500機種オーバーまでラインナップを拡張したキャブレター燃調キット

絶版車用キャブレターのメンテナンスやセッティングを行うにあたり、今やキースターの燃調キットは不可欠な存在です。

しかし、新車として発売されるバイクがすべてフューエルインジェクションとなった現在、キャブレター用部品にどれほどの需要があるのか疑問に感じるライダーも少なくないかも知れません。

キースターブランドでおなじみの岸田精密工業は創業1940年代という歴史ある会社で、長きにわたって南アフリカや中南米、サウジアラビアなどの中東といった海外向けの貿易を行ってきました。

具体的にはそれらの土地に輸出された乗用車や商用車、ピックアップトラックやマイクロバスといったあらゆるガソリン車用のキャブレターリペアキットの開発と輸出です。

社内に掲げられたホーロー看板。カーブレーターという表記に時代を感じるが、その一方で看板のベース色である鮮やかなオレンジ色は現在も燃調キットのパッケージに使われており、KEYSTERのロゴデザインも踏襲されている。

それらの国々では、必ずしも日本のように自動車メーカーのディーラー網が整備されているとは限らず、修理のための部品の入手が難しいこともあります。

インターネットが登場する以前の時代、修理工場にやってきた車両のキャブレター内部の消耗部品をひとつずつリストアップしてメーカーに注文しても、すぐに納品されるとは限りません。

そんな中でモデル別、エンジン別の純正キャブレターのジェットやパッキンをセット化したリペアキットは、修理工場に在庫しておける部品としてとても重宝しました。

半世紀以上前からキャブレターパーツを製造してきたキースター。社内には数多くの工作機械が居並び、今なお新たな機械に更新されている。世の中の市販車はフューエルインジェクションからハイブリッド、さらに電動車に移行しつつあるが、世界中にはまだ莫大な数のキャブレター車が現存しキースターのリペアキットや燃調キットの需要があるという証拠だ。

そして驚くことに、2022年の現在でも1970年代に発売された国産車のキャブレターインナー部品の注文はコンスタントに入り続けています。

自動車向けのリペアキットに続き、バイク用キャブレター向けにリペアキットの開発を始めたのは1990年代初頭でした。これも自動車用と同様に、海外市場向けの輸出製品としてスタートしました。

当時は様々なモデルの純正キャブを入手してジェットやニードルを調査し、機種別のリペアキットとして販売を行いました。

当時も現在も、一部のモデルにはオーバーホールに必要なガスケットをまとめたメーカー純正のセット部品がありますが、基本的にはジェットやニードルやガスケットをそれぞれリストアップして注文する補法を採用しています。

これでは手元にパーツリストがなければ部品が注文できず、部品商を通じてバイクメーカーに注文するしかありませんでした。

これに対してリペアキットは、純正サイズのジェットやジェットニードル、ガスケット類など整備やオーバーホールに必要な部品をすべてまとめてパッケージ化していたのが特長で、海外のユーザーから支持される結果となっています。

純正部品の仕様を調査して自社で製品化することで、半世紀前のキャブレターの部品も製造できるのがキースターの強み。現在も根強いファンが多い富士重工のラビットスクーターや三菱シルバーピジョンなど、純正部品の供給が絶望的な1960年代モデルまで網羅している。

輸出メインだった経緯を元に、国内市場でもキースターブランドの認知度を向上させるとともにエンドユーザーに向けて直接販売する製品として、2000年代になり燃調キットが企画されました。

修理用部品として開発したリペアキットのジェット類は純正サイズに従って製造しましたが、市販車向けには単にオーバーホールや修理用というよりキャブレターをいじる作業自体を楽しんでいただきたいという思いを込めて開発を始めます。

フューエルインジェクションがすっかり浸透した2010年代に製品化するので、キャブレター用部品としては、当初から複数のジェットやジェットニードルを入れてセッティングを可能にすることをコンセプトとしています。

ここで役に立ったのが海外向けのリペアキットの存在です。リペアキットは何もないゼロの状態からの開発でしたが、燃調キットはリペアキットをベースにジェットやニードルのサイズを変更することで製品化できたため、効率的な開発が可能となりました。

ただし純正と異なるサイズのジェットやニードルを製造するにあたり、何か別の指標を用いることが必要でした。そこでキースターが注目したのが空燃比です。

一般的なキャブセッティングはエアークリーナーボックスやマフラー、エンジンの仕様を変更したことで吸排気のバランスがノーマル状態から変化した時に行います。

空燃比がノーマルセッティングより濃くなれば薄くなるよう調整し、薄くなったら濃くなるよう調整します。

キースターでは燃調キット開発用に自社内にシャシーダイナモ室を新設して、ジェットやニードルを調整しながら空燃比=A/Fを測定して独自のデータを活用することで燃調キットのセット内容に反映しています。

純正サイズ以外のジェットやニードルが必要になる燃調キット開発の過程で、社内に新設されたシャシーダイナモ室。一般的には最高出力を計測するために用いられるが、キースターでは内部部品で空燃比がどのように変化するかを測定してジェットやニードルのサイズを設定。これを蓄積することでキースター独自の法則を確立して、多機種への展開を可能とした。

そのため、結果としてキャブレターメーカーにはない番手やサイズが設定されることもあります。

こうして蓄積したデータを元に2010年2月、燃調キットは国内4メーカーの各25機種ずつのラインナップを揃えてスタートしました。

ありがたいことに発売直後から多くのライダーや販売店から引き合いをいただき、ラインナップは指数関数的に増加して500機種オーバーとなっています。

またフロートチャンバーガスケットは当初ペーパーベースのみの対応でしたが、2014年には自社内にゴムの成型機を導入してOリングタイプのガスケットも製造できるようになりました。

輸出向けのリペアキットが古い年式が中心だったのに対して、国内市場向けの燃調キットは年式も新しくなる分、ゴム製ガスケットを採用する機種も増加。それに対応するために社内に加硫成形機を導入。外注に比べて小回りが利き、少量他品種生産時の効率が大幅にアップした。

製品によってはゴムガスケット用の金型も社内のNC工作機械で製造する。一方で同じ社内では今も1970年代モデル用のガスケットをキャンバス入りゴムシートを打ち抜いて製造しているから面白い。

純正キャブレター用に続きケーヒン製FCRキャブレター、CRスペシャル用燃調キットも開発しました。中でもCRスペシャル用キットは、パイロットジェットとメインジェット、ジェットニードルのサイズをユーザー自身が選択できる購入方法を新たに採用しました。

さらにミクニユーザー待望のTMRキャブレター用燃調キットもリリースしました。

海外市場向け、補修用のリペアキットがあくまで実用性第一の製品であるなら、セッティングを通してキャブレターの自由度を広げ、キャブいじりの楽しさを実感できることを目的としているのが燃調キットです。

ジェットやニードルの変更がどのような違いとなるのか、それぞれのユーザーがご自身で体感していただければ幸いです。

一機種分ずつ地道に開発し、500機種を超えるに至った燃調キットの部品棚がキースターの大きな財産となっている。絶版車に注目が集まるほど、倉庫の片隅で眠っていたような長期不動車が引っ張り出されて整備される例も増えてくる。そうしたバイクはキャブの劣化が避けられないが、燃調キットの豊富なラインナップを活用すれば多くのキャブが再生できるはずだ。


※本記事はキースターが提供したもので、一部プロモーション要素を含みます。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。