メーカー未設定のキャブレターパーツを独自開発!燃調キットを製作するキースターの対応力に注目。

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市販車に装着されている純正キャブレターではほぼ設定されることがない、サイズ違いのスロージェットやメインジェット、ジェットニードルを独自開発して、キャブセッティングを可能にしたのがキースターの燃調キットです。旧車や絶版車ユーザーにとって頼りになる存在ですが、燃調キットの中にはメーカーのパーツリスト上には設定されていない部品まで含まれている製品もあります。ここでは実例を交えながら、キャブレターのコンディションをキープするために燃調キットがいかに有効かを解説します。

●BRAND POST提供:KEYSTER 岸田精密工業

スロットルバルブガイド用ガスケットとスタータープランジャーを独自製作した2ストローク車用燃調キット

原付から大型車まで500機種以上の純正キャブレターのセッティング変更を可能にするキースターの燃調キット。そこにはスロージェットやメインジェット、ジェットニードルといった空燃比を変更するための部品だけでなく、分解組み立て時に交換したいフロートバルブやガスケット類など、オーバーホール用としても重宝する内容が含まれているのも旧車や絶版車オーナーに愛用されている理由となっています。

古いバイクや長期不動車を再生する際、多くの場合セッティングの前に分解洗浄が必要となるためです。

キャブレターは空気とガソリンを混ぜ合わせて混合気を作る、エンジンにとってとても重要であり不可欠な部品です。ジェットの穴径やニードルのストレート径やテーパー角度の設定がデリケートであるように、キャブ本体のエアー通路やガソリン通路の状態もまた混合気に大きな影響を与えます。

例えば長期不動状態でフロートチャンバー内のガソリンが劣化する過程で、ジェットニードルとニードルジェットがワニス化したガソリンで張りつくことがあります。それらは燃調キット内の新品パーツに交換できますが、キャブ本体の小さな穴径の通路にもワニスや汚れが詰まっていることもあります。

そのためキャブ本体も液体タイプのキャブレタークリーナーなどに漬け込み、汚れを溶解した上でパーツクリーナーで洗浄します。もちろんそのためには、できるだけ細かい部品単位まで分解した方が望ましいことは言うまでもありません。

純正部品未設定パーツの障壁

しかしそこには「純正部品未設定」という壁があります。バイクメーカーはパーツリスト上に純正部品を掲載していますが、さまざまな都合で非分解設定としてそれ以上細かな部品を設定してない場合があるのです。

一例として取り上げるのは1980年代の2ストロークモデルで採用例が増えたフラットバルブキャブレターです。円筒タイプのピストンバルブに比べてベンチュリー径の拡大に対して前後長を短くできるフラットバルブキャブは、高性能なレーサーレプリカモデルに欠かせない装備となりましたが、四角いバルブを使用するためキャブ本体はボディとスロットルバルブガイド(バルブカバー)の2ピース構成となり、この部分が非分解設定とされたのです。

画像で紹介する1987年式スズキRG250ガンマ用キャブの場合、スロットルバルブガイドは取り外しを前提としない、いじり止め付きのトルクスビスで固定されてます。これ自体は専用のトルクスドライバーがあれば取り外すことはできますが、合わせ面に使われているガスケットが純正部品設定されていないことが問題となります。

スロットルバルブガイドにはスローエアーポートやメインエアーポートなど、メインボアとは別に空気を取り入れる小さな穴があり、キャブ本体につながっています。長期間使用したり不動期間が長ければこのポートにも汚れが詰まる可能性はありますが、ガスケットがないため分解時に破損すると致命的なダメージとなります。分解せずに清掃することもできますが、使用するクリーナーの種類によってはガスケットがダメージを負って空気の流れに影響することも考えられます。

このRG250ガンマのようなペーパーベースのガスケットならまだしも、フロートチャンバーガスケットのようなゴム製のバルブカバーガスケットを採用するNSR250Rなどは、そもそもの経年劣化に加えてキャブクリーナーが接触することで膨潤などの変質を引き起こす心配もあります。

オーバーホールに欠かせない部品を製作するキースターの対応力

キースターでは、フラットバルブを使用する多くの2スト用キャブレターに共通するこうした窮状に一石を投じ、燃調キットのシリーズに「スロットルバルブガイドガスケット付き」という製品を加えました。これは、通常の燃調キットにスロットルバルブガイドが着脱できるキャブレター用に専用ガスケットを追加したセットとなり、既存の燃調キットと併売されます。RG250ガンマ用を例とすれば、通常の「燃調キット」と「燃調キット&ガスケットセット」を選択できるというわけです。これは他機種でも同様です。

純正キャブレターでは非分解となっているスロットルバルブガイド(2分割式となっている本体の前面カバー)にセットされるガスケット(中央のクリーム色の長方形部品)を独自に設計して部品化したキースターの燃調キット。本文でも触れたが、スロットルバルブガイドが別部品として取り外せるキャブレター用には「ガスケットあり」と「ガスケット」なしの燃調キットがあるので、作業内容に応じて選択しよう。

スロットルバルブガイドガスケット付きはその分だけ製品価格がアップしますが、フルオーバーホールを行う際にはこれ以上ないセット内容となります。一方でキャブ本体の機能に不具合がなく、純粋にセッティングを行いたいのであれば、燃調キットを選択することでコストを抑えることができます。

スロットルバルブガイドのガスケットにはペーパーベースとゴムベースがあり、キースターは当然純正ガスケットと同じ素材、同じ寸法で製造している。手先が器用なら汎用のガスケットシートを手で切り抜いても複製できそうなものだが、厚みや素材までキャブレター用に適した材料を調達するのは簡単ではない。キースターにそれが可能なのは、70年以上に渡りあらゆるキャブレターパーツを製造してきたノウハウがあるからだ。

もう一点、すべての機種というわけではありませんが、スズキRG250ガンマのパーツリスト上にはスタータープランジャーの部品設定がありません。チョークレバーを操作すると冷間始動時に必要な濃いガソリンを送り出すスタータープランジャーは、ゴムのバルブでガソリン通路を開閉しており、経年変化でゴムが硬化したり変形癖がつくと通路を完全に閉じきれなくなることがあります。するとチョークレバーを戻しても、吸入負圧が大きいアイドリング時などに混合気が濃くなり、カブリ症状を起こす原因にもなります。

これに対してキースターは独自にスタータープランジャーを製造して燃調キットに加えています。RG250ガンマの場合、スタータープランジャーは左側キャブだけに装備され、始動用の燃料はジョイントホースを通じて右側キャブに送られています。そのため燃調キットは右側キャブ用と左側キャブ用が別製品として設定され、スタータープランジャーは左側キャブ用だけに含まれます。

キャブレターのコンディションが良い新車当時であれば、おそらくスロットルバルブガイドガスケットやスタータープランジャーを交換する必要性も低かったはずです。しかし生産から30年以上を経過していることも珍しくない旧車や絶版車を維持していく上では、バイクメーカーが想定している以上のパーツが必要になることもあります。そうしたニーズにきめ細かく応えてくれるのが、キースターの大きな魅力といって良いでしょう。

RG250ガンマ用キャブレターと燃調キットの紹介

ここで紹介するのは1985~1987年式スズキRG250ガンマ(GJ21B)の例。1987年式は並列エンジン最終型で、翌1988年からV型エンジンのRGV250ガンマに切り替わる直前のモデルとなる。装着されるキャブレターはフラットバルブを使用するミクニ製VM28型。左右のキャブ本体は燃料ホースとスターターホースで連結されている。

フロートチャンバー内にガソリンが入ったまま数年間不動状態だったが、室内保管が幸いしてか僅かなスラッジが残ったもののきれいに揮発していた。フロートバルブやメインジェットにも汚れの付着はないようだ。フロートチャンバーガスケットはボディ端面に合わせて線状の圧痕が転写されている。この潰れによって面圧が高まり気密性が保たれる。

フロートピンは片方の端部に抜け止めがあり、さらに圧入固定されているので抜く際はフラットポンチで慎重に叩く。強く叩くとフロートピンの脚部が折れる恐れがあるので、抜けづらいときは脚部をディープソケットなどで受けた状態で叩くと良い。ビスで固定されたバルブシートとOリングも燃調キットに含まれる。

ピストンバルブキャブレターのスロットルケーブル取り付け方法にはいくつかのやり方があり、このキャブの場合は2本のビスでケーブル端のタイコを引っ掛けたジョイントをピストン上部に固定する。このジョイントがジェットニードルの抜け止め役になっているので、ニードルサイズを変更する際はこの部品を取り外す。

一方にメインジェットを固定し、反対側にジェットニードルが入り込むニードルジェット(中央の円柱)は、中間部分の小さな横穴(ブリード穴)の大きさや位置が混合気に影響する。長期間ガソリン内に浸ってワニスやガム質の汚れで塞がっているときは、針金やピンバイスで通すのではなくケミカルで溶解するのが大原則。燃調キットにはニードルジェットも入っているので、新品に交換すれば良い。

ジェットやスクリューなど外せる部品をすべて外して、パーツリスト上はこれが最小単位となるキャブレター本体。エアクリーナー側の正面と側面にいじり止め付きトルクスビスがあるが、これらは外せないことになっている。工具さえあればビスを回すことは容易だが、スロットルバルブガイドを外したところでガスケットが純正部品として用意されておらず復元時に困難に陥る可能性があるからだ。

燃調キット&ガスケットセットを購入すれば、スロットルバルブガイド取り外し時のガスケット破損を心配する必要はない。いじり止め付きトルクスビスを回すには、中心部分に穴のあるトルクスビットを使用する。

ガスケットは切れたり破れたりすることなく、スロットルバルブガイドに張りついた状態で剥がすことができた。ボディ側下部にあるのが、スロットルバルブの軌道を決めるガイドでボディ側面のトルクスビスで固定されている。この部品の固定位置がずれるとスロットルバルブとボディのクリアランスが変化するのでここでは取り外さない。

ガスケット上部に比べて下部が黒ずんでいるのは、ベンチュリー下部は吹き返しによってガソリンや混合気に触れることが多いため。下辺に並ぶ穴のうち、向かって左側がスロー系のエアー通路となる。左奥に僅かに見えるエアースクリューで調整された空気がこの穴を通じてボディ側のパイロットエアー通路に流れていく。ここに汚れが詰まると、エアースクリューの戻し回転数と実際の空気の流量に乖離が発生してスロー系の調整がうまくできなくなる。

キャブ本体正面では右側の穴がスローエアー通路となる。通路の閉塞やガスケット劣化による二次空気吸い込みなどを考慮すれば、スロー系統に流れる空気にとってスロットルバルブガイドのガスケットがいかに重要かが分かるはずだ。汚れがひどいからといって、溶解力の強いクリーナーを使用してガスケットを傷めるとさらに重大なダメージにつながることもあるので要注意。もちろん、交換用のガスケットがあるなら清掃に専念できる。

こちらはさらに使い込んだスロットルバルブガイド。左は左側キャブ用で、右辺の下部にある右側用と異なる出っ張り部分がスタータープランジャーのガソリン流路に相当する部分。三十数年の時間経過によってガソリンが染み込んでいるのは一目瞭然で、新品部品が手に入るなら誰もが交換したいと考えるはずだ。

燃調キット&ガスケットセットがあれば、スローエアーポートを含む細かな通路を妥協なく清掃でき、純正部品にはない新品ガスケットで組み立てできる。セッティング以前にレストアレベルのメンテナンスが必要な、スロットルバルブガイド別体式キャブレターを使用する2ストロークモデルのオーナーにとって救世主的パーツと言える。

RG250ガンマにとっては、パーツリスト上に存在しないスタータープランジャーが燃調キットに入っているのもありがたい。左側キャブのチョークレバーを引くとプランジャーが開き、冷間時の始動に必要な濃いガソリンがベンチュリー内に流れる。このガソリンはジョイントホースを通じて右側のキャブレターにも流れるため、右側キャブにプランジャーはついていない。

古いプランジャーは端部のゴムパッキンに同心円上の痕がついている。凹凸が大きくなったりゴムが硬化するとスターター系統のガソリンを止められなくなり、チョークレバーを完全に戻しても少しずつガソリンが流れてしまい、常にチョークが利いたようになりスロットル低開度でのカブリの原因になることもある。この症状をスロージェットサイズが大きいためだと判断して絞ると、スロットルを開けてチョークの影響が小さくなった時点でスロー系の薄さが現れてつじつまが合わなくなる。チョークレバーを戻したらスターター系統のガソリンが漏れ出さないよう、旧車や絶版車ではスタータープランジャーのコンディションにも留意が必要。


※本記事はキースターが提供したもので、一部プロモーション要素を含みます。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。