155バージョンだけに搭載された電子制御CVTが威力を発揮

ヤマハ「NMAX155」はシフトダウンが効く! レーシング女子・岡崎静夏の試乗インプレッション

ヤマハ「NMAX155」はシフトダウンが効く! レーシング女子・岡崎静夏の試乗インプレッション

ʻ25年型でモデルチェンジされ、電子制御CVTの採用などで走行性能と装備が磨かれた最新型ヤマハ「NMAX155」の実力を、岡崎静夏さんがスポーティに検証!


●まとめ:ヤングマシン編集部(田宮徹) ●写真:楠堂亜希 ●外部リンク:ヤマハ

電子制御CVTがもたらすワンランク上の加速性能

ヤマハ軽二輪スクーターのNMAX155は、ʼ25年型で大幅進化。パワーユニットの熟成、リヤのストローク5mm延長を含む前後サスペンションのセッティング最適化、外装類と灯火類のデザイン刷新、フルカラーディスプレイの新採用などによる装備充実化が施されました。

中でも注目を集めているのは、電子制御でCVTの変速比を調整するYECVTの新採用。これにより、走行モードをTとSから選択できます。Tモードは非常に扱いやすく、狭い市街地から郊外をゆったり走りたいときまで、幅広いシチュエーションとライダーに合う特性。対してSモードは、より高回転域をキープしながら走れるため、ワインディングや高速道路に向いていると感じました。

搭載されているエンジンは155cc水冷単気筒で、最高出力も15psと少なめですが、Sモードを使うことで高速道路の合流などに対する不安は減少。また、トラクションをかけられるため高速コーナーでの安定感が増える点も、大きな魅力と感じました。

さらに、このYECVTを採用したことで、新型NMAX155にはシフトダウン機能も搭載されました。左手側ハンドルスイッチにあるボタンを親指で押すと、走行状況に応じて最大3段階まで、より高いエンジン回転数になるよう変速比が変化します。

例えば下りのコーナーでは、シフトダウンによりエンジンブレーキが効くようになるため、より安定した旋回が可能に。追い越しや高速道路の合流などでは、パワフルなエンジン回転域を使って鋭く加速できるため、機械式CVTの小排気量スクーターとは一線を画す俊敏性や扱いやすさを得られます。しかも、物理的にギヤを切り替えるわけではないこともあり、変速ショックは極めて少なめ。車体の挙動が乱れる心配をすることなく、さまざまな走行状況で作動させられます!

ちなみに、エンジンには6000回転付近で切り替わる可変バルブシステムも採用されていて、高速側になるとメーターに「VVA」の文字が表示されるのですが、こちらも切り替えはとてもスムーズ。エンジンの音質が少し軽い感じになりますが、急に特性が変わるわけではないので、扱いやすく感じました。

シート高は770mmとやや高めで、シートの幅もそれなりにあるため、身長158cmだと両足の母趾球が接地する程度。大柄すぎず小さすぎない、まさにジャストサイズなライディングポジションが魅力!

高速コーナーでも抜群の安定感

車体は、高速域を含めたコーナリングの安定感が抜群。加えて、ギャップを通過したときに伝わってくる衝撃の角が丸く、変に接地感が抜けてしまうことがないのも好印象です。

ブレーキは、前後ともにアンチロック機構付き。雨や落ち葉などで滑りやすい路面での不安を減らしてくれるのがうれしいです。

装備面でとくに注目したのはメーター。専用アプリを介してスマホと連携することで、ディスプレイに通話や通知などの多彩な情報が表示されるのに加え、ナビアプリとペアリングすれば、なんと地図と矢印と文字によるナビまで、カラーディスプレイに表示できます。ハンドル周辺に大事なスマホを装着しなくても、ナビ機能を使えるのが最高です。

高速道路も問題なく乗れるパワー感と安定性があり、大きすぎず扱いやすい車格。そこにスポーティな乗り味がプラスされた、便利なだけでなく楽しいスクーターでした!

【TESTER 岡崎静夏】全日本ロードレース選手権J-GP3クラスに参戦中。第3戦筑波大会の決勝レース1では自己最高の2位!

YAMAHA NMAX155 車両解説

主要諸元■全長193 全幅74 全高120 軸距134 シート高770(各mm) 車重135kg(装備) ■エンジン=水冷4スト単気筒DOHC4バル 155 最高出力15ps/8000rpm 最大トルク1.4kg-m/6500rpm Vベルト無段変 燃料タンク容量7.1L ■タイヤサイズF=110/70-1 R=130/70-13 ●色:濃茶、黒、青 ●価格:45万9800円

凝縮感のあるスタイリングで、スポーツコミューターらしさを強調。MAXシリーズの象徴であるブーメラン状のサイドカバーは一新され、より力強くしなやかな雰囲気に。

可変吸気バルブタイミング機構のVVAを搭載。ʼ25年型はカムチェーンテンショナーが油圧式に刷新。

ヘッドライトは上下2眼で、中央部に配置。サイドに伸びる切れ長のポジションランプとともに、個性あるフロントマスクを確立しています。

ハンドルカバーに音叉マークをはじめとする装飾が施され、エレガントな雰囲気。電波式キーを所持しているだけで各種操作が可能です。

上段に3.2 インチLCD、下段に4.2インチカラーTFTディスプレイを配した新メーターを搭載。スマホ連携機能付きでマップナビも表示可能!

左手側スイッチを人差し指で操作することで、走行モードをTとSに切り替え可能。親指でシフトボタンを押すと、最大3段階まで減速比が変わります。

フロントポケットは左右分割構造。右側はカギなしながらフタを備え、左側は600ml容量のペットボトルが収納可能でUSB Type-C電源付き。

お尻や脚が触れる部分はサラサラとした表皮、それ以外の部分にはスウェード調の表皮を採用したシートは、ゴールドステッチで高級感あり!

スイッチ操作で解錠できるシート下トランクは約23L容量で、一部のフルフェイスヘルメットも収納可能。ヘルメットハンガーも2個備えます。

フロアトンネルは太めながら、足を前に投げ出すように乗れる設計とするなど、フットボードは自由度と快適性の高いデザインになっています。

ʼ25年型では、外装だけでなく灯火類のデザインもすべて刷新。テールランプは細長くシャープになり、前後ウインカーもLED化されました。

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