
2024年秋、ホンダがEICMA(ミラノショー)で突如発表した「電動過給機付きV型3気筒エンジン」は、内燃機関の未来に一石を投じる大ニュースだった。V型3気筒という独特の型式に加え、電動コンプレッサーという最新技術を投入したこのプロトタイプが、ライダーの多大な期待を集めてきたのは周知のとおり。その後の商標出願、走行テストの公表、そして満を持したEICMA2025でのプロトタイプ公開に至るまでの道のりを、時系列で振り返ろう。
●文:ヤングマシン編集部
2024年11月:V3エンジンコンセプトが世界初公開
ホンダが、約40年ぶりとなるV型3気筒エンジンを搭載した「new ICE concept」を世界初公開したのはEICMA 2024でのこと。このコンセプトでなによりも注目すべきは、二輪車としては世界初となる電動過給機(E-コンプレッサー)の搭載だった。
エンジン回転数に依存せず緻密に過給を制御できるため、低回転からハイレスポンスなトルクを生み出すことが可能。この時点から想定されていたのは新規開発中の大型二輪車と目されており、その車体はロードスポーツ然としたもので、プロアームの採用はかつて最新技術を投入するお約束だったVFRシリーズを強く意識させた。
プロアームはかつてのVFRを思わせるが……? ホンダが全く新しい内燃機関のコンセプトモデルとして世界初公開したのは、『new ICE concept』と名付けられたV3エンジンだった。電動過給機付きと[…]
2025年1月:ホンダ本部長が「走行済み」を衝撃告白
2025年1月28日のホンダ二輪事業の説明会で、二輪・パワープロダクツ事業本部長である加藤稔氏が、電動過給機付きV3のプロトタイプについて「先々週、熊本でテスト車に乗りました。いい出来です」と発言。走行可能な車両がすでに存在することを公表した。
この発言は、単なるコンセプトに留まらず、市販化を前提とした本気の開発段階にあることを示していた。加藤氏はV3ターボが「内燃機関領域の新たなチャレンジ」であり、「モーターサイクルを操る楽しさ、所有する喜びをより一層体感できる」ことを目指していると述べた。
また、全領域で電子制御による過給が可能で、とてもパワフルな仕上がりになっているという具体的なフィーリングにも言及しており、ライダーの期待を煽った。
もう走れるプロトがある! 市販化も明言だ 「内燃機関領域の新たなチャレンジと位置づけており、モーターサイクルを操る楽しさ、所有する喜びをより一層体感できることを目指している。走りだけでなく、燃費、排ガ[…]
2025年2月〜3月:商標出願によりバリエーションの可能性が判明
2025年2月には英国で「V3R」の商標が出願されたことが判明。V型3気筒エンジンを搭載するマシンの車名候補として大きな話題となった。さらに3月下旬には、北米で「V3R」と「V3R E-COMPRESSOR」という2種類の商標が出願されたことが判明した。
この2つのネーミングの存在は、電動過給機を搭載しない自然吸気(NA)バージョンの「V3R」と、電動過給機付きの「V3R E-COMPRESSOR」という、明確なバリエーション展開が存在する可能性を示唆していると考えられた。もしNA版が実現すれば、コンパクトなV3エンジンの利点を活かし、軽量なミドルクラス(650~850ccあたり)のマシンになることだろう。
またヤングマシンではV3エンジンで鈴鹿8耐を走るというイメージを膨らませ、そのレースマシンを予想したCG「RC-V3R」の制作も実施した。
V3の全開サウンドを鈴鹿で聞きたいっ! ここ数年で最も興奮した。少なくともヤングマシン編集部はそうだった。ホンダが昨秋のミラノショーで発表した「電動過給機付きV型3気筒エンジン」である。 V3だけでも[…]
その名も「V3R」と「V3R E-COMPRESSOR」だ! ホンダが全く新しい4ストロークV型3気筒エンジンのコンセプトモデルを公開したのは、2024年秋のEICMA(ミラノショー)でのこと。かつて[…]
2025年11月:「V3R 900 E-Compressor Prototype」公開
そしてEICMA 2025で、満を持して「V3R 900 E-Compressor Prototype」が初公開された。車名に「プロトタイプ」と付くことから、このモデルが市販を前提としていることは揺るぎない。排気量は車名からも明らかな900ccであり、電子制御コンプレッサーを搭載することで、その動力性能は900ccながら1200ccクラスに匹敵すると公表された。
開発コンセプトは「レールのないジェットコースター(Non-Rail Roller Coaster)」という、いかにもホンダらしい表現だ。このコンセプトは、長年蓄積された開発ノウハウと最新技術を融合させ、扱いやすさとエキサイトメントという相反する特性の両立を目指したライディング体験を端的に示している。
車体にはコンセプト時点から貫かれているホンダ得意のプロアームや、高性能なSHOWA製SFF-BPを採用しつつ、3気筒エンジンながらとてもスリムなネイキッドシルエットを実現していた。
“レールのないジェットコースター”のコンセプトはまさに二輪車のFUNを体現 ホンダは、昨年のEICMA 2024で世界初公開したV型3気筒コンセプトモデルに続き、「V3R 900 E-Compress[…]
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ニュース&トピックス | ホンダ [HONDA])
ボルドールカラーのCB1000Fがアクティブから登場 アクティブが手掛けるCB1000Fカスタムが発表された。CB-Fといえば、純正カラーでも用意されるシルバーにブルーのグラフィックの、いわゆる“スペ[…]
フレディ・スペンサーが絶賛! 軽さと「フォーギビング」な安定性を評価 伝説のライダー、フレディ・スペンサーがHSR九州でCB1000Fをガチ走行し、そのインプレッションを語っている。スペンサーは、CB[…]
手軽な快速ファイター 1989年以降、400ccを中心にネイキッドブームが到来。250でもレプリカの直4エンジンを活用した数々のモデルが生み出された。中低速寄りに調教した心臓を専用フレームに積み、扱い[…]
原付の排気量区分は? 原付には、50ccまでの原付一種と51ccから124ccまでの原付二種があり、一般的に原付と言うと50ccまでを指すことがほとんど。今回の記事でも特に表記がないがきり原付一種を原[…]
奈良県からスタート! 北海道から九州まで全国で増加中の「カブの駅」 突然ですが、皆さん、『カブの駅』ってご存知ですか?現在、1200カ所以上登録されている『道の駅』はツーリングの集合場所や休憩スポット[…]
最新の関連記事(新型バイク(日本車/国産車) | ホンダ [HONDA])
足元やシュラウドをダーク調で締める 2017年モデルで「ネオスポーツカフェ」モデルの末弟としてCB300R、CB1000RとともにデビューしたCB125Rの、欧州仕様2026年モデルが発表された。20[…]
フレディ・スペンサーが絶賛! 軽さと「フォーギビング」な安定性を評価 伝説のライダー、フレディ・スペンサーがHSR九州でCB1000Fをガチ走行し、そのインプレッションを語っている。スペンサーは、CB[…]
バイクはお兄さんの影響 メグミさんは昔からバイクに興味があったのだと言います。 「兄が二人いて、どちらもバイクに乗っていたんです。小さいときからその様子を見ていたので、自然に自分も乗りたいと考えるよう[…]
通勤からツーリングまでマルチに使えるのが軽二輪、だからこそ低価格にもこだわりたい! 日本の道に最適なサイズで、通勤/通学だけでなくツーリングにも使えるのが軽二輪(126~250cc)のいいところ。AT[…]
通勤からツーリング、サーキット走行まで使えるカウル付き軽二輪スポーツ 日本の道に最適といえるサイズ感や、通勤/通学からツーリングまで使える万能さが軽二輪(126~250cc)の長所。スクーターやレジャ[…]
人気記事ランキング(全体)
超高回転型4ストローク・マルチのパイオニアはケニー・ロバーツもお気に入り 今回ご紹介するバイクは1985年春に登場した超高回転型エンジンを持つヤマハFZ250 PHAZER(フェーザー)です。 フェー[…]
KTMの進化ポイントを推測する 第17戦日本GPでマルク・マルケスがチャンピオンを獲得した。ウイニングランとセレブレーションは感動的で、場内放送で解説をしていたワタシも言葉が出なかった。何度もタイトル[…]
フルレプリカのフォルムが遂にリッタークラスへ及びヤマハもラインナップ! 1980年代後半になると、スポーツバイクがレプリカとカテゴリーで区別されるほど、レーシングマシン直系にまでエスカレートしてきた中[…]
フレディ・スペンサーが絶賛! 軽さと「フォーギビング」な安定性を評価 伝説のライダー、フレディ・スペンサーがHSR九州でCB1000Fをガチ走行し、そのインプレッションを語っている。スペンサーは、CB[…]
輝かしい歴史を持つXT500は、なんと2002年まで生産 そもそもXT500は、1976年にヤマハが初めて作った4ストロークのビッグシングル搭載のトレールバイク。2スト全盛ともいえる時期に、空冷4サイ[…]
最新の投稿記事(全体)
ボルドールカラーのCB1000Fがアクティブから登場 アクティブが手掛けるCB1000Fカスタムが発表された。CB-Fといえば、純正カラーでも用意されるシルバーにブルーのグラフィックの、いわゆる“スペ[…]
“鈴菌”と呼ばれて 二輪と四輪を両方とも継続的に量産しているメーカーは、世界を見渡してもホンダ、BMW、そしてスズキの3社のみだ。1920年(大正9年)に個人経営だった織機向上が鈴木式織機株式会社へと[…]
ナナハン並みの極太リヤタイヤに見惚れた〈カワサキ GPZ400R〉 レーサーレプリカブーム真っ只中の1985年。技術の進化に伴い、各社はレースで培ったテクノロジーをフィードバックさせたモデルを多く打ち[…]
オフロードでASAはプラスに感じられる場面が多い! 驚いたのは写真の緑の機体・オートマチックのASAを積んだR1300GS ツーリングASAのオフロード性能。微妙なクラッチ操作を多用するオフロードでA[…]
前バンクはクランクリードバルブ、後バンクにピストンリードバルブの異なるエンジンを連結! ヤマハは1984年、2ストロークのレプリカの頂点、RZシリーズのフラッグシップとしてRZV500Rをリリースした[…]
- 1
- 2









































