4バルブエンジンを搭載した「χ(カイ)」の歴史を振り返る

〈不滅の国産車黄金伝〉カワサキ ゼファー[1989-2009] 全年式/全色アルバム(4バルブ編)

カワサキ ゼファー[1989-2009]

4気筒400ccネイキッドモデルの復活が噂される中、ネイキッドというジャンルを確立させた立役者・カワサキ ゼファー(400)の軌跡を振り返ってみよう。前回の初代・2バルブ車編に続き、カワサキ空冷初の4バルブエンジンを搭載したゼファーχ(カイ)の全年式/全色を紹介する。


●文:伊藤康司(ヤングマシン編集部) ●写真:カワサキモータースジャパン/YM Archives

[1996] ゼファーχ(ZR400-G1):4バルブ化でパワーアップ

1996年3月20日発売

ネイキッド人気でしのぎを削るライバル車に対抗し、カワサキの空冷4気筒で初の4バルブとなるχ(カイ)が登場。ペントルーフ型の燃焼室やフラットトップのピストンを採用し圧縮比も高めた(9.7:1→10.3:1)。クランクシャフトは新造されてフライホイールも12%軽量化。キャブレターやマフラーなど吸排気系も改良して最高出力を7psアップした。

また、リヤショックやハンドル形状を変更し、テールカウルもデザインが変わった。2眼の砲弾型メーターは燃料計をセンターに独立配置した新型が備わる。

●ギャラクシーシルバー

●ルミナスビンテージレッド

●メタリックダークブロンズ

ZR400-G1主要諸元 ■空冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 399cc 53ps/11000rpm 3.6kg-m/9500rpm ■車重185kg(乾) シート高780mm タンク容量15L ■タイヤF=110/80-17 R=140/70-18 ●当時価格:58万円

[1997] ゼファーχ(ZR400-G2):足まわりを大幅アップグレード

1997年4月1日発売

ホイールを5本スポークから新型の3本スポークに刷新し、後輪を18インチから17インチに変更してタイヤをラジアル化。フロントフォークをφ38→41mmに強化して、フロントブレーキキャリパーは片押し2POTから対向ピストンの4POTに変更。初代ゼファー以来変更が少なかった足まわりを大幅にアップグレードした。

●パールロイヤルブルー

G2で初のグラフィックモデル登場。タンク上面からテールカウルにストライプが入る青で、赤と黒は継続。

●ルミナスビンテージレッド

●メタリックダークブロンズ

[1998] ゼファーχ(ZR400-G3):レッドに黒のストライプ

1998年2月1日発売

ストライプ入りのカラーがブルーからレッドに変わり、シャンパンゴールドと継続の黒を合わせた3色展開に。カラーの他は変更ナシ。

●キャンディパーシモンレッド

●メタリックシャンパンゴールド

●メタリックダークブロンズ

[1999] ゼファーχ(ZR400-G3A):10周年記念の”火の玉”登場!

1998年7月15日発売/1999年2月1日発売(火の玉カラー)

盗難抑止機能を高めた新型キーシリンダーを装備し、カラーが継続のゴールドと初代を彷彿させるブルーの2色に。そしてゼファー10周年を記念した「火の玉カラー」が登場し、購入者にはメッキフロントフェンダー/Z2ミラー/旧ロゴのエンブレムをプレゼント!

●ルミナスチェスナットブラウン×ルミナスタンジェリンオレンジ

●メタリックシャンパンゴールド

●キャンディアトランティックブルー

[2000] ゼファーχ(ZR400-G4):タイガー&玉虫カラーが登場

2000年1月10日発売

新世紀に入ってもネイキッド人気は続き、ゼファー750や1100ではすでに採用されていた、かつてのZ1A風の“オレンジタイガー”と、Z1B風の“玉虫ブルー”を彷彿させる2色をラインナップ。その代わりに初代ゼファーから続いたソリッドカラーは姿を消した。スペック等に変更ナシ。

●メタリックノクターンブルー

●ルミナスビンテージレッド

[2001] ゼファーχ(ZR400-G5):排ガス規制に対応

2001年2月1日発売

平成11年度排出ガス規制に対応して排ガス浄化システムのKLEENを装備し、サイドカバーにステッカーを追加。2色のボディカラーも新色に。

●キャンディカーディナルレッド

●エボニー

排気ポートに新気を導入し、未燃焼ガスを再燃焼させる機構と触媒を組み合わせたKLEEN(Kawasaki Low Exhaust Emisson System)をG5で装備。サイドカバーにはそのロゴが入る。

[2002] ゼファーχ(ZR400-G6):シブ派手の黒✕金をラインナップ

2002年1月10日発売

ブラックをベースに、火の玉カラー風にゴールドの子持ちラインを入れた新グラフィックが登場。ホイールもゴールドカラーとしてトータルコーディネートされる。カラバリは濃緑のイエロータイガー風と、G4とは異なるオレンジタイガー風の3色を展開。

●エボニー

●メタリックチェスナットブラウン

●ルミナスウインザーグリーン

[2003] ゼファーχ(ZR400-G7):フロントブレーキを強化

2003年3月20日発売

フロントブレーキキャリパーを変更し、さらに騒音規制に対応してサイレンサーの内部構造を変更。KLEENは継続して装備するが、サイドカバーのステッカーは廃止された。カラーはソリッド黒×金ホイールの新色と、G6の濃緑を継続。

●パールミスティックブラック

●ルミナスウインザーグリーン

フロントブレーキキャリパーを同径4POTからφ33.9+φ30.2mmの異径4POTに変更して、制動能力を向上。

[2004] ゼファーχ(ZR400-G8):初の社名エンブレム採用

2003年12月15日発売

燃料タンクのエンブレムをZEPHYRからKawasakiに変更(サイドカバーの「ZEPHYR χ[kai]」エンブレムは変更ナシ)。カラーは新色の黒と赤の2色で、タイガー風のグラフィックはエンブレム上のラインが省かれた。ホイール色はブラックに変更。

●メタリックマジェスティックレッド

●メタリックスパークブラック

ゼファーカスタムの超定番だった社名エンブレム化をついに純正採用。国内仕様の400では初採用だ(海外仕様550は初代から社名エンブレムを採用)。

[2005] ゼファーχ(ZR400-G9):兄貴分と共通カラーに

2004年12月25日発売

カラー変更のみ。ブラック×シルバーのグラフィックが新登場し、レッドはG8から継続。2005年/2006年はゼファー750/1100と共通のカラーを採用してファミリーを強調している。

●エボニー

●メタリックマジェスティックレッド

[2006] ゼファーχ(ZR400 G6F/G6FA):イエローボール降臨!

2005年12月25日発売

Z1の登場時に欧州向けに少量生産された、黄色の火の玉カラーを彷彿させる“イエローボール”が初登場(ただしベース色はグリーンではなくブラック)。ホイール色もゴールドとなり、価格はタイガーストライプのブルー(G6F)より1万円高の60万5000円。

●エボニー×パールソーラーイエロー(G6FA)

●メタリックオーシャンブルー(G6F)

[2007] ゼファーχ(ZR400 G7F/G7FA):2度目の火の玉!

2006年12月25日発売

1999モデル以来、2度目となる火の玉カラーが登場。前年式のイエローボール同様にベース色がブラックで、価格はダークグリーンよりも1万円高。兄弟車のゼファー750/1100は2007年が最終モデルとなったが、400のχは販売を継続した。ちなみに2006年/20007年は車体色ごとにマーケットコードを設定している。

●エボニー×キャンディファイアレッド

●メタリックダークグリーン

[2008] ゼファーχ(ZR400 G8F):ブルーボールが初登場

2007年12月24日発売

火の玉カラーの第3弾は、黒地に青の”ブルーボール”。Z1系には存在しないゼファー独自のカラーで、2004モデルのZ900RSに転用されている。また、深いブルーのタイガーカラーにはタンク上部に入るストライプが復活し、リム部を切削加工したホイールも装備する。価格は2色とも同じで、マーケットコードも共通に。

●エボニー✕キャンディプラズマブルー

●メタリックミッドナイトサファイアブルー

[2008] ゼファーχ(ZR400 G8FA):20年を締めくくる最終モデル

2009年4月10日発売

2008モデルとして2009年に発売された「ファイナルエディション」。ブラウン×オレンジの火の玉カラーは手の込んだ特別塗装が施され、シート表皮はエンボス加工ではなくキメの細かい上質な素材を採用。燃料タンク及びサイドカバーの立体エンブレムはゴールドに。限定モデルではなく、2010年まで販売された。

●キャンディダイヤモンドブラウン✕キャンディダイヤモンドオレンジ

●キャンディダイヤモンドブラウン✕キャンディダイヤモンドオレンジ

〈ゼファー550〉輸出専用のレアモデルも存在

北米や欧州など向けの輸出専用車がゼファー550。400の399cc(最高出力46ps。ボア×ストロークは55×42mm)に対し、58×52.4mmの553ccから50psを発揮する。外観の違いは燃料タンクがKawasaki、サイドカバーがZEPHYRとなるエンブレム程度。販売期間は1990〜1998年まで(写真は1994年式)。

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