CB1000ホーネットがベースで、お買い得価格になる?

市販は意外と近い?! ホンダ「CB1000F コンセプト」が大阪モーターサイクルショーで世界初公開

ホンダ|CB1000F コンセプト

ホンダは、第41回大阪モーターサイクルショー2025において、コンセプトモデル「CB1000F コンセプト」を世界初公開した。そのディテールは、2020年に公開された「CB-F コンセプト」よりも現実的な市販車にかなり近い。ここまでしつこくスクープ情報をお届けしてきたヤングマシン編集部としては、責任をもって可能な限り詳しく解説しつつ、発売時期や価格の予想もしてみたい。


●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●写真:真弓悟史 ●外部リンク:ホンダ

“エフ”の姿で降臨した新世代フラッグシップCB

売れに売れているカワサキ「Z900RS」をホンダが黙って見ている時期はもう終わりだ。

2020年春に発表された「CB-F コンセプト」は、昨年現行ラインナップから外れたCB1000Rをベースにしていたが、のちに一度お蔵入り宣告。往年のCB750F/900Fの姿が現代に甦ると期待したファンには残念なお知らせだった。また、これまでフラッグシップCBとして存在感を放ってきたCB1300スーパーフォア/スーパーボルドールはファイナルエディションが登場し、33年の歴史に幕を下ろそうとしている。

【CB-F Concept】2020年3月に公開されたコンセプトモデル。CB1000Rをベースとしており、新CB1000Fコンセプトよりも往年のCB-Fを強く意識したスタイリングだった。 主要諸元■全長2120 全幅790 全高1070■水冷4ストローク並列4気筒 DOHC4バルブ 998cc 変速機6段

とはいえホンダは最高峰CBの歴史を閉ざすつもりなどなく(2022年にそう明言している)、新たなフラッグシップCB像を模索。このたび「CB1000F コンセプト」として、第41回大阪モーターサイクルショー2025で世界初公開した。

CB1000Fコンセプトのベースになっているのは、発売間もないCB1000ホーネットだ。最終型CBR1000RR(SC77)の4気筒エンジンを低中速寄りに調律し、装備重量211kg(SPは212kg)という軽量な車体に搭載。134万4200円~という価格がユーザーに好意的に受け止められているホーネットだけに、最終的に170万円近くまで価格上昇したCB1000Rよりもベースモデルとしてふさわしいはず。なぜなら、最大のライバルになるであろうカワサキ「Z900RS」は150万円切りスタートだからだ。

気の早い話になるが、CB1000Fコンセプトが近いうちに市販化に結び付くのは間違いない。その理由は後述するが、価格は当然Z900RSを意識したものになる(下回るとみていいかもしれない)だろう。ズバリ、予想価格は140万円台、予想登場時期は2025年夏頃だ!

普遍に通じる新世代CBの姿

ヤングマシン編集部スクープ班が追いかけ続けてきた新生CB-F。その実車を目の前にしたとき、筆者が抱いた第一印象は『普通』だった。

じつは筆者、往年のCB750F/900Fには特に思い入れがなく、それよりはCB1000スーパーフォア、さらにヤマハXJR1300と熾烈な争いを繰り広げたCB1300スーパーフォアに親しんできた世代。その感覚で見ると、CB750F/900Fを意識したようなカラーリングはともかく、これまで親しんできたビッグネイキッド=フラッグシップCBの普遍的な姿をギュッとシェイプしたようなたたずまいは、ごく自然に受け入れられる。

CB1000F CONCEPT

単に“普通”というと刺さるものがないように聞こえるかもしれないが、本来の意味である「広く通用する」、それに少し解釈を変えた「普遍に通じる」を足したような印象でとらえたといっていい。

ようは王道的なスタイリングであり、多くの人が安心して自宅の玄関前に停めて、その姿をいい気分で眺められる、ということだ。

なので、CB750F/900F世代の方は最初のうち賛否あるかもしれないが、見慣れれば「これはこれで」と落ち着くんじゃないかと思う。

CB1000Fコンセプトは王道CBの最新像

CB1000Fコンセプトの雰囲気は、車名にも明らかなように“エフ”がモチーフになっている。旧車と比べると燃料タンクが短めとはいえ、目測による着座位置はホーネット比で20~30mmほど後退しており、また長めのシートカウルと低められたタンデムシートなどによって水平基調のラインが描かれる。これこそ王道CBのたたずまいだ。フレームはメイン部分をホーネットと共通化しつつ、シートレールを延長、かつ低く水平に近づけている模様だ。

ベースになったCB1000ホーネット。

燃料タンクは短めなだけでなく左右のボリュームがけっこうあり、CB750F/900Fのスリムで長い造形を再現しているわけではないが、CB750(2007年)やCB1300SF(2023年)などスペンサーカラーを採用してきた過去のホンダ車を見れば、CB1000Fコンセプトはきっちり“王道CB”の延長線上にあるように見える。

今回のコンセプトモデルにはウインカーやテールランプは付いていなかったが、やや高めなヘッドライトの位置は、伝統を感じさせながら現代的ともいえる絶妙なバランス。これにウインカーがマウントされれば見た目の重心感が下がり、もう少し落ち着いたたたずまいになりそうだ。

あえて採用したというデジタルメーターは賛否が分かれることになりそうだが、最新の王道CB像として未来を見据えたチョイスなのだろう。個人的にはあまり気にならなかった。

CB1000F CONCEPT

これがモチーフ! いわゆる“スペンサーカラー”のCB750F

CB750F[1979]無敵艦隊と呼ばれたワークスレーサーの技術を還元したDOHC4バルブ空冷直4と流麗なデザインが衝撃だった。海外にはCB900Fを導入。国内仕様のカラーリングはスペンサーカラーとは少し異なる。

CB750F改[1982]のちのWGP王者フレディ・スペンサーが駆り、AMAデイトナ初優勝を果たした伝説のマシン。北米向けの純正カラーで、CB1000Fもこれがモチーフだ。

これまでの“スペンサーカラーCB”と見比べてみよう

多くのCBファンが違和感なく受け入れてきた、スペンサーカラー採用のCB400/750/1300。今回のCB1000Fコンセプトは、どちらかというとこの流れを汲みながら、もう少し“エフ”要素を強めた感じだ。

CB1300スーパーフォア[2023]

CB750 スペシャルエディション[2007]

CB1300スーパーフォア[1999]

CB400スーパーフォア[1999]

番外:モンキースペシャル[2004]
こんなのもありました。

市販化が近そうなディテールもそこかしこに

燃料タンクは角ばったシェイプになっていて、CB750F/900Fの雰囲気が強め。ボリューム感や前後長などは王道CBのシルエットを継承しながら、CB-Fのディテールが与えられている感じだ。

CB1000F CONCEPT

CB1000F CONCEPT

CB1000F CONCEPT

CB1000F CONCEPT

CB1000F CONCEPT

ヘッドライトは丸目LEDで、リング状のポジションランプと上下2段の発光セクションという構成。ヘッドライトケースの下には左右1対のホーンがあり、その背後にはウインカーステーが付くであろう部分が樹脂カバーで覆われている。

シートカウルやシートも王道CBのシルエットだが、シート表皮はCB750F/900Fを彷彿とさせるステッチパターンが刻まれている。テールカウルにも控えめなCB-Fっぽい海老反りのディテールが与えられ、テールランプも角ばったものだ。

ちなみに、シートにはクッションが入っていて、跨ることも可能だった。表皮のロゴやパターンなどと併せて、すでに金型は出来上がっているのだろうなという印象を受けた。ワンオフでショーのために制作されたものではなく、すでに量産試作に近いのでは?

ほかにも燃料タンクの溶接やシートカウル裏側のフェンダー部分、ヘッドライトケースに隠れたメーターステーなど、市販化近し! と思わせるディテールが多数あった。

左から消灯/ロービーム/ハイビーム。

丸目のLEDヘッドライトにシンプルなTFTメーターを組み合わせている。

八角形のテールランプもLED。ウインカーやナンバープレート、フェンダーが加わったらまた雰囲気も変わりそうだ。

角ばっていてCB-Fっぽいディテールは与えられているが、全体のシルエットは王道CBと言っていいと思う。

シートのステッチパターンや、シート後端の「CB」のロゴなどから金型はすでにあると予想。

ラジエターガードやシートカウル裏の樹脂パーツの形状からも、市販車に近いディテールを感じる。

スマートキー採用! 装備はホーネットの兄弟車らしく最新世代だ

メーターユニットは、最近のホンダお得意の5インチTFTディスプレイだろうか。形状はCB1000ホーネットのものに近い印象だ。

ハンドルバーはテーパードタイプで、ラジアルポンプマスターシリンダーや十字キー付きの最新世代スイッチを採用。左右レバーはアジャスター付きだ。ステップ位置はホーネット比でそこそこ前方に移動しており、センタースタンドを装着できそうな穴がピボットプレート部分の下端に存在する。

足まわりはCB1000ホーネットとほぼ同じもののようで。倒立フロントフォークとプロリンク式リヤサスペンションを採用。フロントブレーキはダブルディスクにラジアルマウント4ポットキャリパーを組み合わせる。鋳造アルミ製スイングアームもホーネットと共通だろう。

5インチ程度のサイズと思われるTFTディスプレイを採用。ミラーもないためコックピットは余計にシンプルに見える。左右スイッチはCB1000ホーネットに準じた最新世代だ。

ホーネットベースの低めのトップブリッジに背の高いポストでハンドルバーをマウント。

スマートキーを採用。オーセンティックなシルエットのマシンだが、TFTメーターとの組み合わせは最新世代そのものだ。

ラジアルマスターにアジャスター付きレバーを組み合わせる。

クラッチはワイヤー式。こちらもアジャスター付きだ。

倒立フロントフォークにラジアルマウントキャリパー。

鋳造アルミのスイングアームはホーネット譲りか。

フロントフォークはSHOWA製SFF-BPで、左右それぞれにことなる働きを受け持つ構造。

リヤはプロリンクサスペンション。伸び側減衰力アジャスターの存在が確認できた。

エンジン出力はホーネットよりも低中速寄り?

戦闘的なライディングポジションのCB1000ホーネットに比べると、前方に移動したステップや高めのハンドルバーなどから、日常域でリラックスして乗れるキャラクターが想像できる。カワサキのZ900RSがベースモデルのZ900から低中速寄りのエンジンに設定されていることからも、こうしたスタイルのマシンには扱いやすく力強い低速トルクという特性が望ましいはずだ。

シートの着座位置はCB1000ホーネットよりも少し後ろ寄りで懐に余裕がある感じ。ステップ位置も穏やかなキャラクター。前後に軽く揺すってみたところ、ややケツ上がりのホーネットに対し水平に近い車体姿勢で、軽快なロールと穏やかな旋回特性を予感させる。(写真は丸山浩さん/身長168cm)

エンジンは前述のように最終型CBR1000RR(SC77)由来の並列4気筒で、CB1000Rが搭載していたSC57由来のものよりも、元々の素性として応答遅れなくスムーズに立ち上がるトルク特性をを持っている。RRの192psから152ps/158psとしてCB1000ホーネット/SPに搭載したものも同様の印象だったが、これをさらに日常域に合わせ込んだらかなり気持ちのいいエンジンになりそうだ。市販CB1000Fの最高出力は120ps前後と予想するが、どうだろうか?

マフラーはCB750F/900FのDNAを感じさせるメガホン形状で、集合部の形状も弁当箱のような膨らみはなく、スッキリとまとまっている。

SC77系の4気筒エンジンを搭載。クイックシフターはなし。

スッキリとした形状のマフラー。

ステップには防振ラバーが貼付される。ヒールガードは大きめ。

リヤスプロケットはCB1000ホーネットと同じ45Tだった。

SPはあるのかないのか

さて、ベースマシンのCB1000ホーネットにはSP仕様があり、ブレンボ&オーリンズで足まわりを強化しているほかクイックシフターの標準装備、エンジンに排気デバイスを追加することで最高出力を+6psとするなどけっこう違いがある。

これらのうち、足まわりについてはCB1000F SP(仮称)に流用することも難しくないだろう。クイックシフターも今時のマシンとしては少なくともアクセサリー設定などを織り込み済みのはずだ。

気になるのは排気デバイスだが、前述のように低中速寄りのキャラクターになっているとすれば、高回転域のパワーを増すためのデバイスをわざわざ追加するだろうか……と考えてしまう。

いずれにしても、買いやすい価格帯にスタンダードを投入し、上質感を求めるユーザーにはSPを用意する、という路線はきわめて妥当と考えられる。よって、ヤングマシン編集部の予想としては「SPは、きっとある!」だ。

CB1000ホーネット(白)/CB1000ホーネットSP(艶消し黒)。CB1000Fが市販された暁には、こんなグレード構成もあり得る。

事前撮影会ではCB1300スーパーフォア ファイナルエディションとともに並べられた。フラッグシップCBの世代交代を示唆か。

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