
1978年にCBXが発売され、“日本車初の量産並列6気筒”の称号をホンダに奪われたカワサキ。しかしまったく動じなかったのは、1979年にデビューしたこのZ1300が、「水冷」「1286cc」「クルーザー」とCBXとは異なるキャラクターだったからだ。※本記事はヤングマシン特別号 青春単車大図鑑からの転載です。
●文:ヤングマシン編集部
CBXと双璧をなした6気筒マシンの誕生【1979 カワサキZ1300】
CBXと同時期に登場した6気筒マシンが、カワサキのZ1300だ。
しかし、こちらは同じ6気筒でも色合いが違う。排気量は1300と日本車最大を誇り、DOHC2バルブながら冷却方式には水冷を採用。
駆動方式はシャフトドライブを採用するなど、最初から”ツアラー”を念頭において開発されていた。
おそらくスポーツ系では圧倒的な支持を得ているZ1000系があるため、差別化を狙ったものだと思われる。
【1979 KAWASAKI Z1300】■水冷4スト並列6気筒 DOHC2バルブ 1286cc 120ps/8000rpm 11.8kg-m/6500rpm ■297kg ■タイヤF=110/90V18 R=130/90V17 ※輸出モデル
足着き性すらままならない、規格外のデカさ【1979 カワサキZ1300】
Z1300の第一印象は、全体的に「デカい」ということ。水冷であるがゆえに、冷却フィンがなくすっきりして見えるものの、そこはやはり6気筒。クランク部分の幅と合わせて、エンジンのボリューム感は、他車にはない迫力を生み出している。
ただし6気筒のエンジン幅を極力抑えるため、あえてボアストロークは62×71mmというロングストロークを採用し、ボアピッチを狭く仕上げている。
シート高も高くさらに幅も広いため、日本人の平均身長では”足着き性”すらままならない、まさに規格外のモンスターだった。
奇しくも同時期に登場した6気筒マシン2台。スポーツ指向のCBXは短命に終わったが、6気筒の快適性にスポットを当てたZ1300は、モデルチェンジを繰り返し10年以上に渡るロングセラーとなった。
バックショットもスクエアなパーツが目立つ。
6気筒の生み出すスムーズさと、1286ccの高トルクは、まさに規格外のモンスターだった。
ヘッドライト、外装などすべてを角型のイメージに統一。メーターも同様にスクエアデザイン。電気式燃料計と水温計を中央に配置する。
当初から6気筒のスムーズさを活かしたツアラーとして設計されたため、駆動はローメンテナンスのシャフトドライブを採用する。
カワサキZ1300の系譜
4代目となるZG1300が1984年に欧州向けとして登場。
吸気方式をキャブレターからインジェクション化し、パワーも120→130psへとアップしている。
写真はZG1300。なお1983年にはツアラーに特化したZN1300Voyagerも登場する。
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