
●文/写真:ヤングマシン編集部(山下剛)
6月8日(現地時間)に行われた、マン島TTレース2024、最高峰クラスのシニアTTはデイビー・トッド選手(BMW M1000RR)が初勝利を挙げて幕を閉じた。
今年のシニアTTは悪天候によるスケジュール短縮のため、本来は6周で競うレースが4周となった。
レースは序盤、昨年の覇者であるピーター・ヒックマン選手(BMW M1000RR)が連覇とラップレコード更新をかけてトップを快走していたが、2周目にコース中盤のジンジャーホールでクラッシュ。負傷は逃れたもののリタイアし、連覇を逃した。1周目にはラップレコードを更新する135.523mph(約218.1km/h)を叩き出していただけに、悔しいリタイアとなった。
TT最多勝利数の新記録を樹立し、さらなる記録となる30勝目を狙うマイケル・ダンロップ選手(ホンダ・CBR1000RR-R)は1周目にマシントラブルのため、やはりレースを離脱していた。
優勝候補のトップ2がリタイアしたことで、トッド選手は2周目にトップに立ち、2位のジョシュ・ブルックス選手(BMW M1000RR)に約18秒の差をつける。その15秒後ろにはディーン・ハリソン選手(ホンダ・CBR1000RR-R)が追いかける展開となった。
シニアTT初勝利を挙げたデイビー・トッド選手(Milwaukee BMW Motorrad M1000RR)。ここはスタートライン直後にある交差点で、下り坂のとっかかかりだけにウィリーするライダーが多いが、トップライダーのスピードとなるとジャンプしてしまう。
そしてピットインを済ませ、ファイナルラップに入るとトッド選手はブルックス選手に30秒以上のリードを保ち、そのままフィニッシュ。見事にシニアTT初勝利を挙げたのだった。トッド選手は「今週のはじめにスーパーストックTTで初勝利を獲得したけれど、シニアTTで勝てたことは信じられない出来事だ」と語った。
マシンだけを見れば、マン島TTのスーパーバイクTTとシニアTTは、M1000RRとCBR1000RR-Rの一騎打ちの様相を呈している。その中で、マイク・ブラウン選手はアプリリア・RSV4で6位に入賞する活躍を見せた。年式を考えれば妥当なところではあるが、マン島TTは主催者裁量で特例が認められるレースだ。スーパースポーツTTではドゥカティ・パニガーレV2が出場したように、スーパーバイクTTやシニアTTでもM1000RRとCBR1000RR-Rに対抗するマシンの登場に期待したい。
ともあれ、デイビー・トッド選手のシニアTT初勝利は、マン島TTの新たなスターライダーの誕生といえるだろう。
マン島TTでの2勝目をシニアTTで決め、表彰台で両拳を握りしめるトッド選手。
2位に入賞したジョシュ・ブルックス選手(Monster Energy BMW by FHO Racing M1000RR)。ここはバレガロウと呼ばれるポイントで、やはり下り坂になっているため前輪を浮かせながら加速していく。
3位はディーン・ハリソン選手(Honda Racing UK CBR1000RR-R)。ここは先のバレガロウの下り坂の底となる左コーナーの入口(ボトム・オブ・バレガロウ)で、そのためサスペンションがフルボトムする
シニアTT リザルト
Pos. | No. | Rider | Machine | Time | Speed (mph) |
1 | 8 | Davey Todd | BMW M1000RR K66 | 01:08:09.761 | 132.847 |
2 | 7 | Joshua Brookes | BMW M1000RR K66 | 01:08:48.846 | 131.589 |
3 | 3 | Dean Harrison | Honda CBR1000RR SP SC77 | 01:09:15.057 | 130.759 |
4 | 5 | James Hillier | Honda CBR1000RR SP SC77 | 01:09:52.433 | 129.593 |
5 | 1 | John McGuinness | Honda CBR1000RR SP SC77 | 01:10:19.913 | 128.750 |
6 | 20 | Mike Browne | Aprilia – T Bike RSV4 1100 | 01:10:27.078 | 128.531 |
7 | 25 | Nathan Harrison | Honda CBR1000RR SP SC77 | 01:11:17.499 | 127.016 |
8 | 18 | Shaun Anderson | Suzuki GSX-R1000R L9 | 01:11:17.903 | 127.004 |
9 | 14 | Michael Rutter | BMW M1000RR K66 | 01:11:28.426 | 126.693 |
10 | 24 | Paul Jordan | Honda CBR1000RR SP SC77 | 01:11:31.658 | 126.597 |
11 | 15 | Rob Hodson | Honda CBR1000RR SP SC77 | 01:11:37.408 | 126.428 |
12 | 4 | Ian Hutchinson | Honda CBR1000RR SP SC77 | 01:11:56.405 | 125.871 |
13 | 23 | Brian McCormack | BMW M1000RR K66 | 01:12:08.191 | 125.529 |
14 | 22 | Julian Trummer | Honda CBR1000RR-R Fireblade SC82 | 01:12:33.966 | 124.786 |
15 | 26 | Samuel West | BMW M1000RR K66 | 01:12:54.969 | 124.186 |
16 | 28 | Michael Evans | Suzuki GSX-R1000R L7 | 01:13:05.092 | 123.900 |
17 | 29 | Ryan Cringle | Honda CBR1000RR SP SC77 | 01:13:07.006 | 123.846 |
18 | 47 | Jamie Cringle | Honda CBR1000RR SP SC77 | 01:13:22.974 | 123.397 |
19 | 36 | Jonathan Goetschy | BMW S1000RR K67 | 01:13:23.220 | 123.390 |
20 | 41 | James Chawke | Suzuki GSX-R1000 L7 | 01:13:37.082 | 123.002 |
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(レース)
伊藤真一さんが代表兼監督を務める『Astemo Pro Honda SI Racing』は、、FIM世界耐久選手権第3戦”コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース第46回大会(8月3日決勝)のチーム参[…]
φ355mmとφ340mmのブレーキディスクで何が違ったのか 行ってまいりました、イタリア・ムジェロサーキット。第9戦イタリアGPの視察はもちろんだが、併催して行われるレッドブル・ルーキーズカップに参[…]
ブレーキディスクの大径化が効いたのはメンタルかもしれない 第8戦アラゴンGPでも、第9戦イタリアGPでも、マルク・マルケスが勝ち続けています。とにかく速い。そして強い。誰が今のマルケスを止められるのか[…]
現代の耐久レーサーはヘッドライト付きのスーパーバイクだが…… 近年の耐久レーサーは、パッと見ではスプリント用のスーパーバイクレーサーと同様である。もちろん細部に目を凝らせば、耐久ならではの機構が随処に[…]
「2025 鈴鹿8耐 Kawasaki応援グッズ」を期間限定でオンラインショップにて販売 株式会社カワサキモータースジャパンは、2025年鈴鹿8時間耐久ロードレースに参戦するカワサキチームを応援するた[…]
最新の関連記事(ニュース&トピックス)
1位:ワークマン「ペルチェベストPRO2」使用レビュー ワークマンの「ペルチェベストPRO2」を猛暑日で徹底検証。最新モデルはペルチェデバイスの数が昨年モデルの3個から合計5個に増加し、バッテリーもコ[…]
7月上旬発売:ヒョースン「GV125Xロードスター」 ヒョースンモーター・ジャパンから、原付二種クラスに新型クルーザー「GV125Xロードスター」が投入される。発売は2025年7月上旬から日本国内向け[…]
モリワキイズムを変えずに継承していく モリワキの面白さは、ライダーが主役のもの作りだと思っています。サーキットを速く走るにはどうしたらいいのか、ライダーの意見を聞いて解決策をプロダクトとライダーの両方[…]
【モリワキエンジニアリング取締役名誉会長・森脇護氏】1944年、高知県生まれ。愛車だったホンダCB72のチューニングをヨシムラに依頼し、それをきっかけにPOPこと吉村秀雄氏に師事し、チューニングを学ぶ[…]
北海道という「ハードルの高さ」 ライダーにとってのひとつのあこがれ、北海道ツーリング。しかしフェリーの予約が面倒だったり、北海道までの移動で疲れてしまったり。 そういったライダーの悩みを解決し、「手ぶ[…]
人気記事ランキング(全体)
エンジン積み替えで規制対応!? なら水冷縦型しかないっ! 2023年末にタイで、続く年明け以降にはベトナムやフィリピンでも発表された、ヤマハの新型モデル「PG-1」。日本にも一部で並行輸入されたりした[…]
7月上旬発売:ヒョースン「GV125Xロードスター」 ヒョースンモーター・ジャパンから、原付二種クラスに新型クルーザー「GV125Xロードスター」が投入される。発売は2025年7月上旬から日本国内向け[…]
青春名車録「元祖中型限定」(昭和51年) CB400FOUR(CB400フォア)は、CB350フォアをベースとしたリニューアルバージョンとして1974年12月(昭和49年)に発売。クラス唯一のSOHC[…]
高評価の2気筒エンジンや電子制御はそのままにスタイリングを大胆チェンジ! スズキは、新世代ネオクラシックモデル「GSX-8T」および「GSX-8TT」を発表。2025年夏頃より、欧州、北米を中心に世界[…]
カバーじゃない! 鉄製12Lタンクを搭載 おぉっ! モンキー125をベースにした「ゴリラ125」って多くのユーザーが欲しがってたヤツじゃん! タイの特派員より送られてきた画像には、まごうことなきゴリラ[…]
最新の投稿記事(全体)
脇を冷やすことで全身を効率的にクールダウン 男性の健康をサポートするために世界各地でライダーが集い、パレードランをしながら募金を呼びかけるチャリティイベント、DGR(The Distinguished[…]
1位:ワークマン「ペルチェベストPRO2」使用レビュー ワークマンの「ペルチェベストPRO2」を猛暑日で徹底検証。最新モデルはペルチェデバイスの数が昨年モデルの3個から合計5個に増加し、バッテリーもコ[…]
2022年モデル概要:赤フレームに白ボディが新鮮! 並列4気筒エンジンを搭載し、アグレッシブな「Sugomi」デザインと「エキサイティング&イージー」な走りがウリのZ900。KTRC(カワサキトラクシ[…]
当時を思わせながらも高次元のチューニング ◆TESTER/丸山 浩:ご存知ヤングマシンのメインテスター。ヨシムラの技術力がフルに注がれた空冷4発の完成度にホレボレ。「この味、若い子にも経験してほしい![…]
メッキのプロが開発したクロームメッキ専用品!! 鉄素材のさまざまな表面処理の中で光沢や質感、高級感のいずれにおいても秀でているのがクロームメッキだ。しかしながら近年では、メッキ工程で使用される六価クロ[…]
- 1
- 2