
XSR125の正式発表で出揃ったヤマハ125ccの3兄弟。この機会に、XSR125、YZF-R125(およびR15)、そしてMT-125にイッキ試乗できるメディア向け試乗会が開催されたので、天然のヤングマシン脳を持つと言われる”ミヤケン”がレポートをお届けする。エキスパートの丸山浩さんによるインプレッション(ヤングマシン1月号に掲載!)とは異なる切り口で、フルサイズ125ccを大いに語る!
●文:ヤングマシン編集部(宮田健一) ●写真:真弓悟史 ●外部リンク:ヤマハ
XSR125よりもスポーティで凝縮感のあるライディングポジション
ヤマハの新型フルサイズ125シリーズのひとつとして11月に登場したのがスポーツネイキッドのMT-125だ。エンジンやフレーム、サスペンションなど基本構造は兄弟となるXSR125やYZF-R125と共有。これにMTシリーズ・特に兄貴分となるMT-09(の先々代モデル)テイストの外装が与えられている。
XSR125が比較的どんなタイプの人にも合わせられるような佇まいを持っていたのに対し、こちらはMTシリーズが標榜する“アジャイル(=素早い・活発)”コンセプトをそのまま継承した雰囲気。“俺は思い通りな走りがしたいぜ!”と言うような人にはピッタリだ。
ライポジもまたそんなアジャイル感がしっかり再現されている。ハンドルは遠目にセットされていたXSRに対してMTではグッと手前。そのため腰のやや上と高さ的にはネイキッドとして低いのに上半身の前傾度合いはXSRよりも緩く、上からワイドなハンドルを押さえるような感じだ。一方で下半身はバックステップ気味。この乗車感、いかにもアスファルトを切り取るように走るのが得意なストリートファイターらしい。
足着きも両足ベタベタだった250のMT-25に対してこちらは両足指となるなど、ハッキリ言ってよりスポーティな仕上がりだ。このライポジで驚いたのはXSRと同じように既存の125では味わえなかったタンクの満足いくホールド感。MTも十分なボリュームがあり、太ももにピタッとフィットしてくれる。そしてヤマハ新型125はいずれもタンク外装は樹脂製カバーで中にインナータンクを置いているが、そのインナータンクまでなんと3機種それぞれで作り分けていると言うので二度ビックリ。普通はコストダウンでインナータンクは共通とするはずなのに乗り味を変えるためにとことんこだわっているところが凄い。
上半身は直立気味の一般ネイキッド風、片や下半身はバックステップ気味の攻め攻め風とMT-09を彷彿とさせる個性的なライポジ。ハンドルが手前にグッと寄せられて小回りに優れている。足着きは両足指先でXSRと同等だが、シート前方がスリムなので、わずかに良好になっている感触だった。【身長165cm/体重55kg】
低回転からスムーズについてくるエンジン回転とパワー
走り出してみると、ハンドルバーが手前に寄せられているぶん、小回りの良さでは3機種中で一番となっていた。XSRのようにリーンウィズでマシンと一緒に身体を寝かすよりもMT-125は腰の下でマシンを右へ左へと積極的に振り回すようなロデオチックな乗り方が得意。このあたり、まさにMT-09が見せたライディングスタイルそのままとなっている。
サスペンションの素晴らしさはXSRと同じで、かなりのハードブレーキでもフロントフォーク本体に加え、ステムヘッドまわりを伝って車体全体まで捩れてくるような剛性不足感は一切感じられない。この耐G性能にはエンジンブレーキを効果的に逃がすアシスト&スリッパ―(A&S)クラッチが車体を安定させてくれたのも一役買っていたと思う。
実を言うと3機種ともサーキットを走るにはABSの作動が早めで、コースレイアウトに慣れるまでは狙ったラインに最後で無理くりねじ込む下手な走りとなっていたものの、そんな帳尻合わせにも車体はさほど暴れない。これだとストリートの領域では、かなり安心した走りができると感じられた。
兄弟車と同じ足まわりで安心してスポーツできる。
普段使いもしやすい俊足125がMT-125だ
エンジン特性はXSRやYZF-Rと同じような雰囲気で変わらずだ。下から上までキレイに吹け上がる素早い回転上昇と、一般道ではこれで十分と思えるパワー感が印象的。それに一般道だとかなり急な坂を登るときくらいしか使わないような回転数まで回しても、小排気量でありがちなエンジンが悲鳴を上げるような不快な振動が襲ってくる気配はなかったので乗ってる方としても随分と気持ちが良かった。
これにはやはり低中速域と高速域で吸気側カムが切り替わる可変バルブ機構のVVA(Variable Valve Actuator)が搭載されているも利いているのだろう。VVAの作動タイミングは他の2車と同じく7400rpmとなっている。おそらくストリートの速度域で最もVVAのお世話になるのは2~3速、上げても4速で一気に加速するようなシチュエーション。信号でのスタートダッシュや走行中に追い越しをかける場面だ。そこでは4輪に遅れを取ることなくズバっと前を取ることができる加速力を十分に発揮してくれる。
今回テストしたサーキットでは直線が短すぎて無理だったように5速や6速でVVAが切り替わるような領域は一般道だとあまりオススメできない速度になっているのではないだろうか。ちなみに最高速がどれだけ出るのか海外ライダーの動画で確認してみたところ大体130km/h。実際には高速道も走れるポテンシャルはあるけれど、まあ日本の一般道だと残念ながらそれはダメだよね。
そんなクラスを超えた実力まで持っているMT-125だが、車両価格はヤマハ新型125の内でも最もリーズナブルとなる嬉しい50万円切り。これには財布が心配な若い人たちもファーストバイクとして選ぶのに助かるんじゃないかなと思う。
ワイズギアが扱う純正アクセサリーもスポーツスクリーンやフェンダーレスキット、LEDウインカーといったスタイルを向上させるものから、走りやすさを助けてくれるアジャスタブルレバーやローダウンリンク、ツーリングするときに欲しいグリップヒーターやDC12Vソケットなどなど、いろいろと揃っている。既にビッグバイクを持っているけれど普段使い用の俊足125も欲しいと思っていたベテランに勧めたいのも、このMT-125だ。
YAMAHA MT-125 のスタイリング
YAMAHA MT-125 のスペック
| 車名 | MT-125 ABS |
| 認定型式/原動機打刻型式 | 8BJ-RE45J/E34LE |
| 全長×全幅×全高 | 2000×800mm×1070mm |
| 軸距 | 1325mm |
| 最低地上高 | 170mm |
| シート高 | 810mm |
| キャスター/トレール | 25°30′/88mm |
| 装備重量 | 141kg |
| エンジン型式 | 水冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ |
| 総排気量 | 124cc |
| 内径×行程 | 52.0×58.7mm |
| 圧縮比 | 11.2:1 |
| 最高出力 | 15ps/10000rpm |
| 最大トルク | 1.2kg-m/8000rpm |
| 始動方式 | セルフスターター |
| 変速機 | 常時噛合式6段リターン |
| 燃料タンク容量 | 10L |
| WMTCモード燃費 | 49.4km/L(クラス2、サブクラス2-2、1名乗車時) |
| タイヤサイズ前 | 100/80-17 |
| タイヤサイズ後 | 140/70-17 |
| 乗車定員 | 2名 |
| 価格 | 49万5000円 |
| 色 | 青、暗灰、灰 |
| 発売日 | 2023年11月10日 |
YAMAHA MT-125 のディテール
コンパクトなメーターは、兄弟車のXSR125ともYZF-R125とも異なる専用品。ギヤポジションインジケーターや燃料残量系も完備する。ハンドルバーは手前に引かれ、幅もやや披露目。
カラーバリエーションは全3色。左からパステルダークグレー、ディープパープリッシュブルーメタリックC、マットダークグレーメタリック8だ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
免許取得前にエントリーし、対象モデルを新車で購入すればサポートが得られる ヤマハのスポーツバイクを販売する正規ディーラー「YSP(YAMAHA MOTORCYCLE SPORTS PLAZA)」は、こ[…]
最も若々しくすばしっこい、MTの末弟! ヤマハは、以前から姿は公開されていた新型車「MT-125 ABS」の発売日と価格が正式決定したことを発表。50万円切りの49万5000円で11月10日に発売する[…]
バイクの本当の楽しさを教えてくれるのがフルサイズ125 「あの山の先まで行ってみたいなあ……」。高校生の頃の僕は、窓の外はるか彼方に連なる丹沢山系を眺めて授業もろくすっぽ聞いていない、そんな生徒だった[…]
ヤマハ新世代125cc/155ccの先鋒が兄弟そろって登場! ヤマハは、今春のモーターサイクルショーに市販予定車として出展した4車のうち、「YZF-R125」「YZF-R15」を正式発表。大型バイクや[…]
※2023年12月14日更新 125ccクラスは16歳から取得可能な“小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、[…]
最新の関連記事(新型原付二種 [51〜125cc])
新色パールレッドだけでなくホワイトとブラックも色味新たに スズキは、原付二種スクーターの「アヴェニス125」をカラーチェンジ。2022年の発売以来、初めての変更を受けるアヴェニス125だが、ニューカラ[…]
スーパーカブ110はオレンジを廃止、クロスカブ110には新色×2を追加 ホンダは、「スーパーカブ110」「スーパーカブ110 プロ」「クロスカブ110」「クロスカブ110・くまモン バージョン」を価格[…]
国内導入予定はないけれど……のZ125プロ カワサキは北米で2026年モデルを続けざまに発表している。ここで紹介するZ125プロは、前年から全カラーに採用したゴールドの倒立フロントフォークに加えて20[…]
原付でエンジンがかからない主な原因 「原付 エンジン かからない 原因」とネット検索する方が多いように、バッテリー上がりやプラグの劣化、燃料不足など、複数の原因によってエンジンを始動できなくなるケース[…]
地面を感じる直進安定性で日常の移動を安心快適に 決勝レース1で自己最高となる2位を獲得した第3戦を終え、全日本ロードレース選手権は8月下旬まで約2ヵ月間の夏休み。その間もいろいろと忙しいのですが、やっ[…]
最新の関連記事(ヤマハ [YAMAHA])
ヤマハ・ハンドリングのこだわりを400レプリカ路線へ融合! 1980年にRZ250をリリース、レプリカの時代に先鞭をつけたヤマハも、4ストのスポーツバイクXJ400系ではツーリングユースを前提とした、[…]
電子制御CVTにより街乗りもスポーティ走りも思いのまま! ヤマハは、インドネシアや日本に続いて新型スクーター「NMAX155」を欧州市場に投入する。これまでNMAX125のみラインナップ(一部地域では[…]
3Way仕様で秋から春まで使える高機能モデル:RY2003 ウィンターロングジャケット ワイズギアの2025-2026秋冬モデルとして登場した「RY2003 ウィンターロングジャケット」は、一着で秋か[…]
ゼロハンが一番熱かった夏 多くの若者がバイクを愛し、GPライダーが同世代共通のヒーローとなった1970年代後半。 それでもフルサイズの“バイク”は、経済的理由や悪名高い“三ナイ運動”の影響からなかなか[…]
世界最高の熱伝導率を誇るシートとレインウェア並みの防水透湿性を融合 ヤマハの純正アクセサリーをリリースするワイズギア。ʼ25年の秋冬ライディングギアは、バイク用として求められる性能を満たしつつ、温かく[…]
人気記事ランキング(全体)
「特殊ボルト」で困ったこと、ありませんか? 今回は「でかい六角穴のボルト」を特殊工具なしで外してみようというお話。 バイクを整備していると時々変なボルトに出会うことがあります。今回は古い原付オフロード[…]
コンパクトで取り付けが簡単なスマートモニター タナックス(TANAX)の「スマートライドモニター AIO‑5 Play (SRS‑015)」は、本体サイズ78.8(H)×136.2(W)×26.8(D[…]
X-ADVの兄弟車として欧州で販売される「フォルツァ750」 ホンダは欧州でフォルツァ750(FORZA 750)の2026年モデルを発表した。主要諸元に変更はなくカラーバリエーションの一部変更でイリ[…]
過激な初代からフレンドリーな後継モデルへ カワサキのビッグバイクと言えば、優れた資質を備える初期型をベースにして、2代目以降で徐々に動力性能を高めていくのが通例だ。だがマッハシリーズの場合は、初期型が[…]
90年代の魂を注入! アールズギア×TSR「ネオクラシック・レベリオン」 CB1000Fコンセプトを大胆にカスタムした「Neo-Classic Rebellion CB1000F Concept Mo[…]
最新の投稿記事(全体)
セールは全商品が対象! この「秋の大感謝祭」は、2025年10月28日(火)までの期間限定で開催される。対象となる購入先はAKEEYO公式オンラインストア。車載ドライブレコーダー、バイク/自転車用ドラ[…]
現在に続くミドルクラスの基盤は日本メーカーが作った ’70年代の2輪業界における最大のトピックと言ったら、日欧のメーカーが歩調を合わせるかのように、ナナハン以上のビッグバイクを発売したことだろう。もっ[…]
これぞCBだ! そう直感的に思えるライダーの視界 跨った瞬間に「CBだ!」と思えた。視界に入る燃料タンクの大きな面積や両腿の内側に感じる存在感、そして昔で言う“殿様乗り”が似合う大きくアップライトなラ[…]
フリーマーケットやフードコンテンツも楽しめる名物イベント 群馬県を代表するSUBARUの工場脇の公園には、バイクとテントで埋め尽くされている。初めてこのイベントを訪れた人は、その規模感に驚くのでないだ[…]
TRICKSTAR初のTRIUMPHマフラー、登場 SPEED400/SCRAMBLER400X 政府認証スリップオンマフラー 外観は、取り付け角度やサイレンサーの上がり具合まで徹底的に検証[…]
- 1
- 2

























































