
自分ひとり分の荷物をバイクに積んで、気の向くままに時を過ごせるソロキャンプスタイルは、他の手段では得られない格別な“自由”を堪能できるのだという。では何をどうすればその自由を手に入れられるのか? 本記事ではキャンプに必要な荷物を運ぶ大型シートバッグの選び方について取り上げる。バッグの大きさによって荷物の全量が決まるだけに、そのサイズ選びが重要。初めてなら大きなバッグを選んでおくとよい。
●文:ヤングマシン編集部(谷田貝洋暁) ●写真:武田大祐
【ガイド役:谷田貝洋暁】登山/自転車/カヌーによるキャンプ歴が、バイク歴より随分長いライター。運ぶ荷物が限られる縦走登山からの反動か、バイクキャンプはとにかく大荷物。
初心者はとにかく大きなバッグを買おう!
キャンプ初心者にとってシートバッグ選びは難しい。というのも、ひと通りアイテムが揃っていてその全量が把握できているなら、すべてが入る容量のバッグを選ぶことができる。しかし、キャンプビギナーは荷物が揃いきってなかったり、好みが定まってなかったりする。つまりはまだ自分の荷物の量の把握ができていないのだ。しかもキャンプ道具は、えてして軽量コンパクトなモノは高価で、安いアイテムは収納サイズが大きくかさばる。最初は右も左も分からず安めのアイテムで揃えがちだが、回数を重ねるとさらにモノが増えたり、こだわりが出たりして、いろいろ買い換えたくなるものだ。これからキャンプを始めるなら、まずは安価なアイテムでも色々持っていける容量60L以上のサイズを選んでおくと、“もう荷物が入らない!”なんてことが少なくなるだろう。
左から、クッカー&バーナーなど炊事用品/サンダル/調味料/まな板/ホットサンドメーカー/スキレット/敷物/チェア/焚き火台/テント/シュラフ/エアマット/テーブル/ガスボンベ×2水筒/ペグなど小物/トイレットペーパー/ランタン類/マグカップ/グランドシート
ヘンリービギンズのDH-750Cの場合、メインの荷室が65Lで周囲のポーチが12L。荷物はテント/シュラフ/チェア/テーブルを含め、これだけの荷物が収納可能。ただ荷物にはさらに着替え/レインウエアなどの基本的な装備や食材も必要だから、容量はいくらあっても足りないのだ。
大型シートバッグの選び方
その1:システムタイプか防水タイプか?
キャンプで使う大型のバッグで主流なのは、防水タイプとシステムタイプ。防水性が違うのはもちろんだが、最大の違いはバイクに積んだまま荷物が取り出せるかそうでないか? 防水バッグは密閉性が高い分、荷物を取り出すには一度バイクから下ろす必要がある。一方、システムタイプは積んだまま荷物が出し入れできるよう各社工夫を凝らしている。
その2:愛車に積みやすいか?
「積んだまま荷物を取り出せるならシステムタイプの方がいいじゃん?」と誰もがそう思うだろう。だが、システムタイプはタンデムシートの座面形状やフックの取り付け位置によっては安定させにくい場合もある。たいていは創意と工夫でなんとかなるが、防水タイプの方が車種を選ばずガッチリ固定できる場合が多い。不安なら用品店で愛車とのマッチングを確かめさせてもらおう。
その3:平物/長物で幅が決まる
シートバッグに荷物を詰める(パッキング)ときのセオリーは、”底に平物→端に長物→大物で形を整え→小物を隙間に詰める”。こうするとシートバッグが型崩れしにくく、多くの荷物を入れられる。また、頻繁に出し入れしたり道中使いたいものは、取り出しやすい場所に入れる。ちなみに平物とはテーブル、長物はテントやタープのポールだ。
その4:サブの荷室が結構重要
レインウエア/モバイルバッテリー/お風呂セット/コーヒーセット/ファーストエイドキットなどなど。バイクで走っている最中に取り出したいものが多いなら、ポーチやポケットなどのサブスペースの量量が多いモデルを選ぶと便利。暗くなってから到着した場合にまず取り出したいランタン類なども、すぐ取り出せる場所に収納しておきたい。
おすすめ大型シートバッグ〈システムタイプ〉
ヘンリービギンズ DH-750C キャンプシートバッグシステム コンプリートセット(ポーチ付き)
デイトナの新製品は拡張機能を廃してシンプルさを追求。自社でキャンプアイテムも開発しているだけに、荷物の収まり具合がものすごくいい。サイドのポーチも全部で12Lあり、キャンプ小物がほぼすべて入る印象だ。●サイズ:H350×W550×D350mm(ポーチ除く) ●容量:65L+ポーチ12L ●価格:3万1900円 [デイトナ]
イガヤ キャンプツーリングシートバッグ IGY-SBB-R-0040
50→64Lの可変システムに両サイド開閉機構、ウエアなどの荷物を挟み込める上部のフラップ構造、レインカバー付属などなど。キャンプ用シートバッグとしての基本的な装備を備えながら、税込1万5000円以下を実現したコストパフォーマンスの高い商品。●サイズ:H310×W600→730×D350mm ●容量:50→64L ●価格:1万4080円 [プロト]
サイドファスナーを全開にして折り畳めばコンパクトになるため、収納時に場所をとらない親切設計。
モトフィズ グランドシートバッグ MFK-222
ハードシェルタイプの下層ボックス(30L)で安定した土台を作り、その上にさらに40Lのバッグを載せるという大容量を実現するための新発想システムを採用。車両に固定するストラップのバックルが小型で引き代も多く、車両を選ばず積載しやすいのも特徴だ。●サイズ:上部:H200×W600×D350mm 下部:H190×W600×D350mm ●容量:上部:40L/下部:30L ●価格:5万2800円 [タナックス]
濡れ物と濡らしたくない物など、収納場所を分類できるのもとても便利。もちろん、上部下部ともに単体での使用も可能だ。
【ゴールドウイン ツーリングリアバッグ53 GSM27001】平型が多い大型シートバッグにおいて、前後長を290mmと短めにすることで、タンデムシートの短いスポーツモデルにも積みやすくしている。容量は最大53Lなので今回のシートバッグの中では小ぶりな方だが、こなれたキャンパーにはこのくらいの容量がちょうどいい。●サイズ:H300×W460→620×D290mm ●容量:42→53L ●価格:1万7930円 [ゴールドウイン]
サイドの開口部は大きく荷物が取り出しやすい。
【コミネ ロングジャーニーシートバッグ SA-242】最大容量82Lがとにかくすごい! テントやシュラフはもちろん、チェア/テーブル/焚き火台まで、よっぽど嵩張るアイテムばかりを選ばなければ、たいていの荷物が入るだろう。ただそれだけに最大幅は、バイクによってはハンドル幅より大きい830mmとかな~りワイド。●サイズ:H330×W630→830×D350mm ●容量:59→82L ●価格:1万6390円 [コミネ]
幅20cm/容量23Lもアップ! 振り分けバックやパニアケースと併用するか、アドベンチャーツアラーなど積載面の大きなバイクが適。
【SWモテック プロテールバッグ プロカーゴバッグ BCHTA0030630000】ボディを包み込むような“へ”の字型の形状は”ユニバーサルフィット”と呼ばれ、さらにシートに接する部分には滑りにくい素材を採用することで多くの車種にフィット可能。長物の収納に便利なオプションアイテムのテントバッグ(18L)追加すれば、さらに積載の幅が広がる。●サイズ:H500×W700×D330mm ●容量:50L ●価格:3万800円 [アクティブ]
マシンにフィットする形状は低重心化と荷物のぐらつき防止に効果的。荷物を積んでもスポーツしたいライダーにピッタリ。
【ラフ&ロード コンテナシートバッグ64 RR9038】ラフ&ロードの新機軸・コンテナバッグ40が容量アップして64Lの大容量に! ハイトを低く抑え、サイドハッチに成形パネルを使用することでカタ崩れを防止。重ね積載をしやすくしている。またサイドハッチの内側にはメッシュ付きのマチがあり、小物類の収納に便利。●サイズ:H230×W600→700×D380mm ●容量:55→64L ●価格:2万6400円 [ラフ&ロード] ※写真は拡張した状態
シートバックの上にさらにバックや長物をタンデム積載。その状態でもサイドパネルを開けば荷物にアクセスすることが可能だ。
おすすめ大型シートバッグ〈防水タイプ〉
防水バックの多くが採用するロールアップ式。読んで字のごとく、巻き込んで密閉するタイプのハッチで、気密性は高いが荷物が取り出しにひと手間かかる。
ツアラテック アドベンチャードライバッグ サイズL(49L)
頑丈なパニアケースで有名なドイツのツアラテック社と、防水バッグで有名なオルトリーブ社が共同開発したダッフルタイプのドライバッグ。頑丈ながら重さ1kgと軽量で、赤/青/橙/銀/黒/黄とカラフルな6色展開が特徴的。他に31L/89Lのサイズもある。●サイズ:H320×W610×D340mm ●容量:49L ●価格:1万6093円 [ツアラテックジャパン]
ラフ&ロード AQA ドライコンテナー RR5609
72Lの大容量防水バッグ。取り付けベルトはバイクから荷物を下ろすことなくメインハッチにアクセス可能な工夫が盛り込まれ、フィッティングパーツも豊富。ロールアップ式のため巻き込むことで容量調節が可能だ。3Lのポーチが付属する。●サイズ:H650×W520×D350mm ●容量:72L+ポーチ3L ●価格:1万5400円 [ラフ&ロード]
※本記事は2021年7月に公開されたものを再編集しています。※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事([特集] バイクでキャンプツーリング)
バイクへの積載は創意と工夫。自分流を見つけ出せ! この記事の写真をまとめて見る ※写真タップ(クリック)で拡大 写真1 写真2 写真3 写真4 写真5 写真6 写真7 写真8[…]
シートバッグの場合:パッキングは平物→長物→大物→小物がセオリー 今回は、ヘンリービギンズ(デイトナ)のキャンプシートバッグプロ DH-745を使用。55L→70Lの容量可変機能を持っており、今回は7[…]
焚き火もやらずにナニがキャンプかっ!? 昔は地面で直接火を起こす、いわゆる“直火”の焚き火しかななく、焚き火を楽しむためには直火OKのキャンプ場を探す必要があったが、最近は状況が一変。焚き火台が流行し[…]
作りたい料理によってバーナーの使い勝手が異なる キャンプ用品の中で、バーナーやクッカーほどオーナーの個性が表れるアイテムもないだろう。というのも、バーナーには燃料の種類の違い、また縦型/横型があり、ゴ[…]
チェア:長時間使うものだけに、可能なら購入前に座って吟味を 食事に焚き火…、なんにせよキャンプしている間は座っていることが多い。一番使うアイテムだけに、いかに寛げるか? というところに徹底的にこだわり[…]
人気記事ランキング(全体)
もしものクマ襲撃に備える 強力な熊撃退成分を配合した「フロンティアーズマン マックス ベアスプレー」は、高圧ガスで12mの長距離噴射を実現。バイクツーリングはもとより、サイクリング/トレッキング/キャ[…]
高回転まで伸びるエンジン、フレンドリーな乗車姿勢 日本ではまだ馴染みがないかもしれないが、中国のCFMOTOはヨーロッパやアメリカなど先進国を含め、グローバルな展開を行っている二輪メーカーだ(そのほか[…]
遊び心と楽しさをアップデートした初代125 発売は2018年7月12日。開発コンセプトは、楽しさをスケールアップし、遊び心で自分らしさを演出する“アソビの達人”だった。124ccエンジン搭載となったこ[…]
126~250ccスクーターは16歳から取得可能な“AT限定普通二輪免許”で運転できる 250ccクラス(軽二輪)のスクーターを運転できるのは「AT限定普通二輪免許」もしくは「普通二輪免許」以上だ。 […]
4WDマニアたちのコラボから生まれたファンイベント 「LAND CRUISER FES JAPAN 2025」は、四輪駆動専門誌「レッツゴー4WD」と日本を代表するモータースポーツの聖地「富士スピード[…]
最新の投稿記事(全体)
完熟した性能に刺激をプラス 発売は、2025年3月6日のこと。2017年の登場以来、2020年モデルの3psのパワーアップ、スリッパークラッチの標準装備や、2023年モデルのさらなる1ps向上、ホンダ[…]
ホンダのVFやNRの影もカタチもない1977年の東京モーターショーにYZR1000デビュー! 1977年の第22回東京モーターショーのヤマハ・ブースに、白に赤ストライプのワークスマシンカラーの謎のマシ[…]
GPz900Rを受け継ぐ実用系最速マシン【カワサキGPZ1000RX】 1983年にTT-F1の排気量上限が750ccに引き下げられた結果、リッターバイクはレースの呪縛を解かれて独自に発展し始める。 […]
壮大な旅を追うドキュメンタリー映画:初夏より全国公開 ドキュメンタリー映画『タンデム・ロード』が、2025年初夏よりイオンシネマ系列で全国公開される。 本作は、映画作りで活躍してきた滑川将人とパートナ[…]
リヤアンダーミラー部分にスマートフィット! データシステムより今回リリースされた、タウンエース用の「RCK-113T3」。リヤアンダーミラーを取り外したスペースに、カメラユニットを収めることができる設[…]
- 1
- 2