スズキ久々の完全新設計モデルがミラノショーで世界初公開! 並列ツイン+スチールフレームのプラットフォームを共有しながら、ネイキッドのGSX-8S、アドベンチャーのVストローム800DEというジャンルが全く異なる2台を放つ! 本記事では特に、久しぶりとなるスズキの完全新型エンジンと、GSX-8Sの先進的な車体について紹介する。
●文:ヤングマシン編集部(沼尾宏明) ●外部リンク:スズキ
スズキ GSX-8S
世界初のバランサーが武器だ! スズキ GSX-8S〈エンジン/マフラー〉
完全新設計のエンジンは、スズキのビッグバイクでは非常に珍しい並列2気筒。’80年代にはGS400、現行モデルではGSX250RとVストローム250が採用するものの、401cc以上では’83年のGR650、直近では’04年のGS500F(海外モデル)などごく一部のみだ。
GSX‐8Sでは270度クランクを選択し、90度Vツインと同様の鼓動感とトラクションを狙った。この構成のライバルは多いが、8Sは独自の二軸バランサーが強みだ。
この「スズキクロスバランサー」は量産バイク初のメカ。不快な振動を打ち消し、スムーズな回転上昇を実現する。さらにクランク軸に対して90度に配置することで、エンジン前後長の短縮まで可能にした。
スロットルは電子制御のライドバイワイヤ。出力特性は3パターン、トラクションコントロールは3段階+オフから選べる。双方向クイックシフターは標準装備で、ミッションもあらかじめシフターを見越して最適化した設計だ。
最高出力は83ps。92psのホーネットに譲るものの、8Sは唯一の2軸バランサーで疲れにくく、快適な走りに軍配が上がりそうだ。
前述のとおり、近年スズキは大型向けの並列2気筒を市販化してこなかった。だが、’13年にリカージョン、’15年に2軸バランサー付きのXE7と試作の並列2気筒ターボを公開したように実験を重ねてきた。8Sの開発者によると「パラツインに求められる機能を追求した結果、これらの心臓部とよく似た設計になった」と話すが、長年の研究成果が本作に結実しているのは確かだろう。
スズキ GSX-8S エンジン
スズキ GSX-8S スズキクラッチアシストシステム
スズキ GSX-8S エアクリーナーボックス
スズキ GSX-8S マフラー
スズキ GSX-8S 電子制御
ターボなしのリカージョン!?
軽量フレームに充実の脚を融合 スズキ GSX-8S〈シャーシ/足まわり編〉
軽量コンパクトな心臓部だけに、これを抱くフレームもシンプルだ。スチール製のメインフレームはエンジンを上部から懸架するダイヤモンド式。並列2気筒はVツインより横幅があるが、エンジン幅にフレームが収まっており、SV650並みのスリム化に成功しているようだ。
トレリス構造のシートレールはGSX‐8S専用のコンパクト設計。横幅を抑えつつ、デザインとしても機能する一石二鳥のパーツとなる。
足まわりは、KYB製の倒立フォークにニッシン製ラジアルマウントキャリパーで武装。国産600~700cc級ネイキッドでは、ホーネットと並んで豪華な装備だ。前後サスペンションはオン向けの安定した減衰特性とし、スポーツ走行からロングライド、タンデムにまで幅広く対応するという。
なお、メインフレームは兄弟車のVストローム800DEと全くの共通。ヘッドパイプも同じだが、キャスター角やホイールベースなどのディメンジョンは各車専用だ。
開発者は「オンロードで狙いどおりにコーナーをトレースするための剛性と、不整地で適度にしなって疲れにくい強度はさほどかけ離れていない」と話す。手の内で扱えるスポーツ性と乗り心地を両立した、懐の深い走りが楽しめそうだ。
気になる価格や国内導入に関しては未発表だが、こちらも大いに期待できそう。本誌予想ではVストローム800DEより早い’23年春頃に国内発売と予想したい!
スズキ GSX-8S シャーシ
スズキ GSX-8S 足まわり
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