第50回『マシン・オブ・ザ・イヤー2022』 &『 マシン・オブ・ザ・50イヤーズ』人気投票受付スタート

元GPチャンピオン 原田哲也が選ぶ人生最後のバイクはスーパーカブだった!?〈上がりのバイク論〉

総決算として、バイクライフ最後の1台を選ぶとしたら…。ホンダの新型 ホーク11がコンセプトとして掲げた“上がりのバイク”は、人それぞれ、バイクへの考え方がモロに露出する正解のない概念だろう。…というわけで、2輪業界の様々な識者たちに質問してみた。「アナタにとっての“上がりバイク”を教えて下さい!」本記事では伝説的レーサー・原田哲也さんに”上がりのバイク”を伺った。


●文:ヤングマシン編集部(伊藤康司) ●写真:真弓悟史

原田哲也

【原田哲也 AGE:52】説明不要の’93年 GP250世界王者。現在は「安全」を最優先に、ツーリングにトライアルにとファンライド三昧の日々を満喫している。 [写真タップで拡大]

老いてからも乗り続けられる1台を:ホンダ スーパーカブ

僕の場合、「最後に所有していたいバイク」と、「最後まで乗っていたいバイク」がある。

所有していたいのは、僕が世界グランプリ250ccクラスでチャンピオンになった、’93年のヤマハTZ250Mだ。現役時代のあれこれに基本的には執着がないが、あのマシンはやはり手元に置いておきたい。

自分のグランプリ生活に一片の悔いなし…とまでは言えない。細かいことを思い返せば、「ああすればよかった」「こうすればよかった」と反省することばかりだ。

だが、世界タイトル獲得という目標に向けてレースを続け、自分なりのやり方でその目標を叶えたのは確か。TZ250Mは、自分が人生を懸けてやってきたことの証のような、特別な存在だ。このマシンで世界チャンピオンになれたからこそ、今の自分がいるのだから、やはり思い入れがある。

「TZ250Mを所有したい」という願いはたぶん叶わないが、「上がりバイク」と聞いて真っ先に思い浮かんだ。

「最後まで乗っていたいバイク」は、スーパーカブだ。今、僕は52歳。まだまだ体は動くが、現役時代に比べれば間違いなく老いているし、残念ながらこれから若返ることもない(笑)。老いる一方だ。でも、バイクには生涯にわたって乗り続けたい。

僕には目標とする人がいる。それはSP忠男の鈴木忠男社長──忠さんだ。ノービス時代にお世話になった忠さんは、今も現役バリバリのライダー。サーキット走行会に誘えば喜んで来てくれるし、林道も一緒に走る。

忠さんは77歳。走りのキレ味は相変わらず鋭くて、オフ車やビッグバイクを操る姿は、年齢をまったく感じさせない。自分がその域にまでたどり着けるかは分からないが、忠さんは憧れの存在であり、僕の師匠だ。

でも、「上がりバイク」となると、忠さんよりもっと先、80歳、90歳をイメージする。

「老い」とどのように向き合うかは、人それぞれだと思う。自分の老いを認めずに頑張ってトレーニングして、ビッグバイクに乗り続けることを目標にする人もいるだろう。

僕は、自然派。どんなに頑張っても目も反射神経も筋力も衰えていくのだから、そんな自分を受け入れながら、それでも毎日乗れるバイクを選びたい。ギヤチェンジはしたいから、そうなるとやはりスーパーカブだ。

やがて孫ができて、「おじいちゃん、バイクは危ないからやめてよ」なんて言われる日が来るかもしれない。でもスーパーカブなら、「これならいいか」と許してもらえるんじゃないか、という希望もある(笑)。

バイクには、乗る/いじる/集める/眺めるなど、いろいろな楽しみ方がある。そして人に迷惑さえかけなければ、バイクとはどんな付き合い方をしてもいいと僕は思っている。

僕自身のバイクの楽しみ方はものすごくハッキリしている。僕はとにかくバイクに乗っていたい。本当に気持ちいいし、いつでもどこでも楽しい。

今は、トライアルをやったりしながら「思い通りにならないバイクをどう操るか」と、自分が習熟することに喜びを感じている。でも、もっと年を取ったらそんな欲もなくなって、本当にただ乗っているだけでいい、という境地に達する気がする。それはそれで、いい付き合い方なんじゃないかと思う。僕は、老いを楽しみたい。

ホンダ スーパーカブ110

【HONDA SUPERCUB 110】 [写真タップで拡大]

原田哲也

原田さんが最近、熱心に取り組んでいるのがトライアル。仲間とワイワイガヤガヤと楽しんでいるそう。 [写真タップで拡大]

原田哲也

’93TZ-Mにまたがり、開発ライダーを務めた難波恭司氏と。「チャンピオンを獲れたのは難波さんのおかげ」と原田氏は語る。 [写真タップで拡大]


※本記事は“ヤングマシン”が提供したものであり、著作上の権利および文責は提供元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。

最新の記事

WEBヤングマシン|新車バイクニュース