簡単ストレッチでツーリングの疲労回復やケガ防止を【日常生活にも効果アリのセルフ身体メンテナンス】

簡単ストレッチでツーリングの疲労回復やケガ防止を【日常生活にも効果アリのセルフ身体メンテナンス】

林道にたどり着くまでの走行時間で、同じ体勢のままでいることで身体が固まってしまっていることは多い。その状態のままでは筋肉が固まる=身体の可動域が落ち、バランス感も悪くなるなど、ちょいコケやケガなどしやすい状態になっているのだ。そこで今回は、普段の生活ではもちろん、いざ林道〜♪ の前でもひとりでできる簡単ストレッチと、その効きが抜群に変わるコツまで紹介するゾ!!


●文/写真:ゴーライド編集部(小泉裕子) ●タイトル写真:関野温 ●講師:倉田圭 ●監修:浅谷健介(日本指圧専門学校/横浜訓盲学院)

【講師:あん摩マッサージ指圧師 倉田圭】あん摩マッサージ指圧師の国家資格を持ち、20年来のカブ主であり軽快なリズムを叩き出すドラマーのケイ先生。カブに始まりカブに終わる、クラッチ操作を知らない漢。バイクもドラムも柔軟な肉と可動域が肝!!

最高のコンディション/ケガ知らずでダート走行を楽しむために!!

林道ツーリングにおける実際のダート走行距離に比べ、林道にたどり着くまでの高速道路や一般道での走行距離のほうが長いことは多い。そんなずっと座りっぱなし/同じ体勢で溜まってしまった疲労/固まった身体のままでは、せっかくの林道走行で思いどおりのパフォーマンスが発揮できず、不完全燃焼感だけでなくケガにつながることも…。

そこで、身体をほぐすことで各部位の可動域も広がり、さらにライダー特有の悩みでもある首まわり/手首まわり/肩や背中/腰痛/尻痛までも軽減できる部位ごとの簡単セルフストレッチを、あん摩マッサージ指圧師の倉田先生に尋ねた。

日常生活や走り終わったあとはもちろん、林道に入る前に身体を伸ばすタイミングだったり、ちょっとした休憩中にでもぜひやってみてほしい。ちんまりポイントを押さえた簡単セルフストレッチをするだけで、スゥーッと身体が軽くなるのを感じられるハズ♪

4つの注意点を守る/ロック効果で柔軟で疲れ知らずの身体を目指す

これから紹介する簡単ストレッチは、パッと見た感じ、ああコレよく身体が凝ったりツラい時にやってるよ〜」というストレッチばかりだと思う。信号待ちで手首を返しているライダーはよく見かけるし、部活などでやっていたストレッチだ、という人もいるだろう。

そう、今回紹介する5つのストレッチは、まさに普通に生きてきた中で”無意識に伸ばそうとした時になんとなくやってしまう系“のリアルに簡単なストレッチがほとんど。だからこそ、注意点の意識とコツを知ることでストレッチ効果がアップしながらも、無理をすることなく、これからも日々の中で長く続けていくことができるだろう。

ストレッチをするにあたり覚えておきたい4つの注意点

まず大事なのは、以下4つの注意点。とくに最初の3つをすべて守らないでストレッチをするなら、しない方がまだまし…というほど重要だ。

  • 反動をつけない:反動をつけると逆に筋肉は緊張してしまい、固くなってしまう
  • 呼吸を止めない:呼吸を止めると筋肉が固くなる。息を吐きながらポーズを決めよう。
  • ポーズを15秒キープ:短いと反動をつけたことと同じになる。筋肉が伸ばされることへの抵抗をやめて伸び出してくるのにかかるのが約15秒。
  • 伸ばす筋肉を意識:伸ばす筋肉を意識することで、ストレッチ効果は約2倍に!!

もし最初の3つの注意点を守らずストレッチをすると、”無呼吸で反動をつけてギュッギュッと筋肉を伸ばし反動をつけているため、ポーズのキープはほぼなされていない状態”となる。これはトリプルで筋肉を逆に固くしてしまっている。よく「●●が痛いから軽くストレッチしてるけど、全然効かないよ」という人の大半は、逆にさらに悪化させている可能性も。

ストレッチをする際は、”反動をつけずにゆっくりと呼吸をしながらポーズを最低15秒はキープしつつ、伸ばしている筋肉が伸びて効いているかを意識する“。それだけでも、今までやってきたストレッチの効果が格段に上がるハズだ。

しっかりストレッチを効かせるコツ:ロック

上記のストレッチの注意点4つを念頭に置いた上で、今回紹介する5つの簡単ストレッチの効果を最大限に引き出す”しっかり効かせるコツ=ロック”について説明する。ストレッチは筋肉を伸ばしほぐすもの。ポイントを押さえていないと、安定しない状態で伸ばそうとして力が逃げてしまったり、逆に変に力をかけすぎて痛めてしまったり、いいと思ってしていた動きが逆効果を生み出すものだったり、とじつは怖いのだ。

そこで、ほぼすべての項目にある”ロックする”。この役割はとても大きく、ロックすることでそこが支点となり、最小限の力で最大限の効果を発揮できるのだ。つまり力がムダに逃げたり、余計な力をかけて痛めることも防げる。

手順としては、まず伸ばしたい筋肉がついている関節の一方を固定する。そこから筋肉を伸ばす動きを加えるだけ。つまり、ロックした手はそのままで、あとは伸ばす方の手/腕/胸などを動かすだけということ。

各項目に、ロックポイント/動かす方向/どこが伸びるかを記したので、ぜひ実践してみてほしい。今までなんとなくやっていた動きやストレッチに、支点(ロック)/力点(動かすほうの手など)/作用点(伸ばしたい筋肉)のしっかりした輪郭を与えるだけで、ちょっとの力で驚くほどピンポイントに伸びていく筋肉の存在とその効果を、これまで以上にハッキリと感じ取れるはずだ。

首に関わる筋肉群:首まわりのコリや目の疲れに効く

ヘルメットの重さ/姿勢/目の疲れなどからくる首のコリは、放っておくと頭痛にまで発展することも。

まず、反対側の手をお尻とシートの間に挟んでロックしよう。このロックがあるないで、伸びと筋肉の感じかたが全然変わるのだ。

頭に軽く手を添え、真横/前/後ろに倒す。ジワっとイタ気持ちいくらいの力加減で。首まわりにある筋肉を全体的に軽くほぐすだけでも、筋肉が緊張することによる血行不良や、神経が刺激されることで生じるコリや痛みを軽減する。線の部分が伸びている。

肩・背中まわりの筋肉:上半身の可動域を広げる効果

三角筋をほぐす

三角筋をほぐすと、肩をあげるのが楽になる♪

ヒジより内側(肩側)を反対の手でひっかけ、三角筋を伸ばす。この時、伸ばす側の腕は完全に脱力する。少しでも力が入っていると効果は半減するので注意。

上腕三頭筋をほぐす

上腕三頭筋をほぐすと、肩や背中まわりまで影響あり♪

伸ばす側の手を後ろにまわし肩甲骨付近に固定(ロックする)。左手で伸ばす動きを加えた時に、この手の位置がズレなければ、しっかりロックできている。

ヒジ関節と肩関節をまたぐ上腕三頭筋は、日常の動きでは伸ばしにくい。伸ばす側の手をロックしたら、胸を少し張りワキの下を伸ばす感覚で伸ばそう。

前腕伸筋群:アクセルワークなどからくる疲労に効く

いわゆる腱鞘炎に一番なりやすいのが、手首を持ち上げる筋肉である前腕伸筋群。ライディングだけでなくPCでも使う筋肉なので、普段からケアしておきたい。

手首を指先がしっかり真下を向くようにロックする。

[右]ストレッチする側の手をヒジの内側を上にして伸ばす。[中]手首をひねようにして、指先が真下を向くように反対の手で押さえ込む(ロックする)。[左]押さえ込んだ状態でストレッチする側のヒジの内側が右画像くらいしっかりと上を向くように回転させる。

お尻の筋肉(大殿筋など):シートによる尻痛や腰まわりに効く

お尻の筋肉をほぐすことで尻痛はだいぶ和らぐ。またお尻の筋肉が柔らかいと、腰まわりの筋や骨を変に引っ張ることもなく、腰にかかる負担も軽減されるので、腰痛軽減&予防にもなる。

仰向けもしくはベンチなど腰を伸ばせる場所で、伸ばす側のヒザを内側に折り、同じ側の手でヒザを押さえ(ロックする)、反対の手で足首をつかむ。

[写真左]この時、ヒザの位置は身体の中心より内側まで入るようにする。その位置でヒザを押さえ(ロックする)。[写真右]足首を上にジワっと寄せることでお尻の筋肉が伸びる。

※ストレッチにかける力加減は”イタ気持ちいくらい”でOK!! 柔軟な筋肉を手に入れよう。


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