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サンデーメカニックがリピーターとなって、使用前後の違いがクチコミで広がり、多くのユーザーに注目されているエンジンオイル添加剤「スーパーゾイル」。エンジンオイルの違いが体感性能となって現れる事実は、ベテランライダーなら誰もが経験したことがあるはずだ。特に4サイクル250ccスーパースポーツモデルは常時高回転ユースで楽しむファンが多いので、エンジンオイルの管理はしっかり行いたいものだ。ここでは「走る銀の矢」と称されたホンダ初のスーパースポーツモデル「CB72(ナナニイ)のオイル交換を実践してみよう。
●文/写真:モトメカニック編集部 ●外部リンク:パパコーポレーション
旧車ファンの要望に応え登場したエンジンオイル。100%化学合成とは違った魅力を持つ”鉱物油ベース”
大排気量車には高性能エンジンオイルが必要だが、原付のような小排気量車に高性能オイルは不要…。そんな考えを持つライダーが時々いる。しかし、それは大間違い。エンジン排気量以前に、どんな走り方をしているのか、そちらのほうが重要だろう。
大型車の場合は、排気量にモノを言わせ、低回転アベレージで走り続けることができる。一方、小排気量車の場合は、常時高回転域まで回していないと、交通の流れについていけないことも多い。また、大型車はエンジン回転に大きな変動がなくても走り続けることができるため、想像以上にエンジンオイルは汚れないものだ。
ところが、ギヤチェンジを繰り返しながら、しかも高回転域まで回すことが多い小排気量車の場合、驚くほどエンジンオイルが汚れてしまう。同じバイクでも、郊外で走った1000kmと、市街地ばかりを走った1000kmのオイル汚れを比較すれば、その違いは明確だ。
排気量うんぬんではなく、走り方や使い方によってエンジンオイルはチョイスしたいもの。そう考えれば、4輪の世界でもっとも過酷な走りを強いられているのが、日本の誇り=軽自動車だ。その証拠に、軽自動車のメンテナンスにおいては、各メーカーとも比較的少ない走行距離でのオイル交換を指示している。
今回、メンテナンスの様子を撮影したホンダCB72も、まさにエンジンオイルには気を配りたいモデルである。ホンダ初のスーパースポーツ量産車であり、このモデルは常時高回転キープを強いられる「タイプ1」エンジンを搭載。180度クランクのタイプ1は、トルク型で360度クランクのタイプ2と比べ、明らかに常用高回転ユースを強いられる。
マシンオーナーによれば「オイル交換は鉱物油で」とのことで、旧車オーナーの多くは鉱物油を好むようだ。その理由は、100%化学合成オイルは浸透性が高く、エンジンからオイル滲みを起こしやすい特徴があるからだ。現代のエンジンと比べ密閉性が低い旧車エンジンの場合、致し方ない部分と言えるだろう。また、現代のスーパースポーツモデルのようにレブリミット1万3000rpmオーバー(250cc4気筒時代は2万回転オーバー!)といった回転域とも異なる旧車の世界。鉱物油ベースの高性能エンジンオイルでも十分な信頼性を得られるて安心だ。
そんな要望が多い中で、多くの旧車ファンの期待に応えているのが「セミシンセティックゾイル」だ。金属表面を改質し平滑にする”スーパーゾイル”成分がすでに添加されている鉱物油ベースの半合成油で、高度なオイル生成技術によってオイル粒子を均一化し、高温下でも高い潤滑性能の維持に成功した。
100%化学合成の高性能低粘度オイルを利用したい、利用してみたいという気持ちは旧車オーナーにもあると思うが、オイル滲みやエンジン表面がウエット感になるのは……と考えると、なかなか使いにくいという事情もある。そんな旧車オーナーの期待に応えてくれるのも、セミシンセティックゾイルの特徴だろう。
今回のオイル交換作業詳細
4サイクル車のオイル交換や2サイクルのギヤオイル交換時は、エンジン始動&試運転によって、エンジンを温めた後にオイルを排出するのがベスト。オイル流動性が高まるからだ。
CB72ファンの間では、掃除しにくいことでも知られる遠心式オイルフィルター、ここでは内部も清掃した。クランクエンドカバーの中に遠心式フィルターがある。
センターシャフトを落とさないように指先で押さえつつ、遠心フィルターカバーを固定するサークリップをプライヤーで取り外す。かなり窮屈で、サークリップをつかみにくい。
フタの抜け止めと位置決めを兼ねる段付きピンをシャフトから抜き取る。ひとつ間違えればカバー内側に落としてしまう部品なので、慎重に抜き取った。
何とかフィルターカバーを抜き取ったが、ここまで来るには、すったもんだがあった。初期型CB72は、スペースが狭くメンテナンス性は最悪の部類に入る…。
カバーを抜き取ると、その内側空間が「遠心式オイルフィルター室」となっている。70年代以前のホンダ車は、スーパーカブも含めてこのタイプが多い。
パーツクリーナーを吹き付けると汚れやスラッジがエンジン内へ流れ出てしまうため、ここでは、ウエスにパーツクリーナーを染みこませて汚れを拭き取った。
遠心式オイルフィルターのカバー側の構造。左端ケースカバーのシャフト部に扇形逃げがあり、そこで段付きピンを受ける。カバーの裏側も洗浄した。
鉱物油ベースで作られた半合成油のセミシンセティックゾイル。一気に規定オイル全容量入れてしまうのは絶対NG。最初は8割程度注入してから、エンジン始動後に調整しよう。
可能な限りオイルジョッキへ移してからオイル注入したほうが確実。どんなエンジンでも、注入ミスすればクランクケースを汚してしまう。後悔先に立たずということだ。
ドレンボルトとフィルターカバーを洗浄後に復元しエンジン始動。アイドリングと軽い空ぶかし後にエンジン停止し、オイル量をレベルゲージでしっかり合わせよう。
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