’21年分は完売!? なんて声も聞こえてくるほどの人気モデル、GB350。新世代のスタンダードネイキッドだ。STDに加えて、よりスポーティなSもラインナップに加わったのだが、気になるのはSTDとSがどう違うのか。そこでこの記事では大人気GB350シリーズのディテールを、丸山浩が比較しながら解説する。
●まとめ:ヤングマシン編集部(田宮徹) ●写真:長谷川徹 ●外部リンク:ホンダ
スタイリング
カラーバリエーション
STDはブルー/ブラック/レッドの3色展開
Sはグレーとブラックの2色
ライディングポジション&車格
STDとSではライディングポジションに大きな差があり、これが走りやイメージにも大きな違いを与える。STDについては、バイクにまたがるというよりは”座る”という感じで、ライダーが積極的に運転操作をするというよりは、バイクなりに走らせるという雰囲気。バイクをスポーツ性のある趣味の乗り物としてではなく、生活の一部とする場合には、むしろこのほうがマッチするだろう。
このSTDからSに乗り替えると、これまで慣れ親しんできたスポーツバイクとしての”普通”を感じられる。ステップはバック&アップされ、しっかりステップワークができるようになる。ハンドルはグリップ位置が低めかつ前になり、その結果としてライダーがステアリング操作をして積極的に操ろうという気持ちが湧いてくる。これは、フロントタイヤが向くままハンドルに手を添えるといったイメージのSTDとは大きな違い。趣味の乗り物としてのスポーツ性が、ライディングポジションで演出されているわけだ。
STDがデビューしたときにも触れたのだが、STD/Sのハードルを高めてしまっている唯一の要素を挙げるなら、それは”車格”。意外と大柄で、足着き性もそれほどよくない。もっと足が着きやすければ、これだけ乗りやすいバイクなら小柄な女性でも楽しくライディングできるはずだし、それによってもっとたくさんのバイク好きを生むきっかけになってくれるはずだ。
ただし、車格があるのは悪いことばかりではない。このバイクのユーザーとなるのは、初心者や女性ばかりではない。例えば、これまで長年バイクに乗ってきたベテランが、いわゆるダウンサイジングでGBに落ち着こうという場合、250ccクラス的なサイズ感では満足できないと思うのだ。ビッグバイクである必要はないけど、それなりの車格は必要。これは若い世代の初心者でもカラダが大きい男性には当てはまる。
ところで、STDとSではタンデムしたときの雰囲気もちょっと違う。STDは生活必需品的なデザインのグラブバーがあるおかげで、後ろの相手が(あるいは逆に前の相手が)誰であれあまり気にならない。言っちゃ悪いが、後ろに男を乗せるなら荷物扱いできる。対してSは、密着しているほうが乗りやすく、男同士よりはやっぱり…なんて考えてしまう。このあたりにも、生活の一部に存在するSTDと、趣味のスポーツバイクとして設計されたSの違いを感じてしまうのだ。
エンジン/足まわり
主要装備&その他ディテール
外装類については、Sは前後フェンダーとサイドカバーをSTDのスチール製から樹脂製に変更しつつ新たにデザインするなど、燃料タンク以外はほぼ専用化されている。FIカバーの処理やフロントフォークブーツの有無(Sのみ標準装備でSTDはオプション設定)など、実車を見比べると次々に相違点が発見される。
灯火類の変更にも、ホンダのこだわりを感じずにはいられない。一般的には、車名に”S”が付く程度の派生モデルならウインカーやテールランプなどは共通化されているものだが、GBは違う。まぁ、STDのテールランプはリヤフェンダーにボルトオンされているから、フェンダーを専用化するならついでに…という流れもわからなくないが、それにしてもずいぶん手が込んでいる。Sに細身のウインカーを採用して、細かいパーツからもスポーツ性を感じられるように仕立てているのは、もはやさすがとしか言いようがない。
シートについても、表皮変更だけだろう…と思いきや、こちらも内部形状から異なる。Sはタンデム側の下部にテールランプが入り込んだデザイン。前後一体型シートのうちリヤ側の違いはわかりやすいが、見比べると前側の幅まで専用化されている。つまり、完全なる別物が使われているのだ。
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