鈴鹿8耐は史上初の中止となったが、こちらも史上初の無観客レースとなったルマン24時間レースでは、F.C.C. TSR Honda Franceがその名を歴史に刻むことになった。ルマンにおけるTSRの優勝は、総合タイトルを獲得した2018年以来となる。昨季王者のカワサキは2位、現在ランキングトップにつけるスズキは3位となった。
日本を代表する耐久レースチームとして……F.C.C. TSR Honda France
F.C.C. TSRホンダフランスは日本国籍のチームとして初めて世界耐久選手権のタイトルを獲得したチーム。2017-2018シーズンを締めくくる最終戦・鈴鹿8耐での5位入賞とタイトル獲得は、今も鮮烈な印象を残している。
2018-2019シーズンはトラブルなどから結果はランキング5位だったが、2019-2020シーズンは開幕戦ボルドール24時間レースでのリタイヤからセパン8耐で総合13位、そして今回のルマン24時間レース優勝で再びタイトル争いに名乗りを上げた。
同時にTSRの優勝は、世界選手権におけるホンダCBR1000RR-Rの最初の優勝ということに。ポテンシャルは非常に高いものの、初年度ということでCBR1000RR-Rの戦績は思わしくなかった部分もあるが、ホンダファンには溜飲の下がる思いもあるだろう。
ルマン24時間を制したことで、9月27日に行われるエストリル12時間レース(ポルトガル)には40ポイント差のランキング2位で、チャンピオン獲得に望みを残しながら乗り込むことになる。
ルマン24時間レースで優勝を遂げたF.C.C. TSR Honda Franceは、ジョシュ・フック選手、フレディ・フォーレイ選手、マイク・ディ・メリオ選手のトリオ。
藤井正和さん|F.C.C. TSR Honda Franceチーム総監督
「今回のレースについての思いはさまざまあります。もちろん、今回のル・マンは勝ちたかったレースで、なにより新型CBR1000RR-R FIREBLADE SPのEWC初参戦、初の24時間レース、そして世界初優勝を達成できたことは自負したいと思います。しかし、レースやマシンとは全く異なるコロナ禍、しかもパンデミックという世界的な流行の中で、果たしてレースなんてできるのか?(新型マシンを組み上げてスタートラインに並べ)一体たどり着けるのか? そんなものを乗り越えて自分たちのマシンが組み上げられる喜び、自分たちのマシンでレースができる喜び、チームがこうして集まって一緒になって戦う喜びを、多くの皆さんと分かち合って乗り越えていきたい、そんな思いがとても強く感じられます。皆さん一緒にがんばりましょう」
日本を愛し、鈴鹿を愛する闘将・藤井正和さんはF.C.C. TSR Honda Franceのチーム総監督。
3つの異なるコンストラクターと、3つの異なるタイヤメーカー
2020年のルマン24時間レースの表彰台には、3つの異なるコンストラクターと3つの異なるタイヤメーカーが登壇した。優勝したF.C.C. TSRホンダフランスはブリヂストンを装着したCBR1000RR-R。カワサキ・ニンジャZX-10RRにミシュランタイヤを装着しての初戦となったウェビックSBCカワサキフランス トリックスターが2位。そしてダンロップを履くGSX-R1000Rで参戦するスズキエンデュランスレーシングチーム(通称:SERT=サート)は3位という結果だ。
レース序盤には雨が降り、気まぐれな天候と刻々と変化するコースコンディションとの戦いを強いられたルマン24時間レース。レース終盤には再び雨が降ってきたこともあり、各チームはタイヤ戦略の変更を余儀なくされた。SERTは、ゴールまであと2時間ということろで転倒を喫し、ウェビックSRCカワサキフランス トリックスターへの2周のリードを失い、2位の座を明け渡してしまった。他にも、実力派のYARTヤマハやBMWファクトリーチームが転倒の餌食となり、順位を落とす結果となった。
日本国籍のチームが優勝を飾り、日本のウェビックとトリックスターがサポートするSRCカワサキフランスが2位という結果になったのも、日本のレースファンにはうれしい結果といえるだろう。
2位入賞のディフェンディングチャンピオン、Webike SRC Kawasaki France Trickstarは、ジェレミー・ガルノニ選手、エルワン・ニゴン選手、デビッド・チェカ選手の3ライダー構成。
力強い走りでミスなく走り切り、2位を獲得。日本のWebikeとトリックスターがチームをサポートしている。
3位となったSuzuki Endurance Racing Team(SERT)は、エティエンヌ・マッソン選手、グレッグ・ブラック選手、ザビエル・シメオン選手の3名。
今までに何度も年間チャンピオンとなっている名門SERTは、これまでに127ポイントを獲得し、87ポイントのTSRに40ポイント差をつけてランキングトップ。今シーズン最終戦のエストリルで勝敗を決する。
FIM EWC-TEAMS RANKING
1 Suzuki Endurance Racing Team―――――――――127
2 F.C.C. TSR Honda France ――――――――――――87
3 Yamalube Yamaha EWC Official Team by YART――82
4 BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM――82
5 TEAM SRC KAWASAKI FRANCE ―――――――――80
※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
ホンダ、ヤマハ、カワサキのメーカーチームがファクトリー体制で臨んで来る中、#1 F.C.C.TSR Honda Franceは世界耐久選手権シリーズの連覇をかけて鈴鹿8耐に挑んだ。それまでのランキング[…]
2019年12月14日に決勝が行われたセパン8耐。世界耐久選手権の第2戦であり、セパンインターナショナルサーキットにおける初の同選手権開催となった。しかし、レースはスタート前後から雨模様で、セーフティ[…]
世界チャンピオンによる最新CBR1000RR-Rのインプレッション! 昨秋のミラノショーでアンベールされ、217.6psという化け物じみたハイパワーや最新の電子制御、エアロダイナミクスなど注目すべき点[…]
「初代から、すべてのファイアーブレードに試乗している」 WGP500ccクラスで、フル参戦2年目となる1983年にケニー・ロバーツ氏との死闘を制して世界チャンピオンとなり、1985年には250ccと5[…]
'93年以来、26年ぶりに鈴鹿8耐優勝を遂げたカワサキ。そのクライマックスは、劇的と呼ぶにもあまりに劇的だった。ファイナルラップでカワサキは転倒。赤旗のまま終わった決勝レース。いったんはヤマハの勝利と[…]
最新の記事
- 2025MotoGPヘルメット勢力図は5社がトップを分け合う戦国時代へ突入! 日本の3メーカーに躍進の予感!?
- 【SCOOP!】スズキ「GSX-8」系にネオクラが存在か!? 丸目のGS&クーリーレプリカ復活希望!!
- 「初の100ps超え!! 」全面改革で進化した第二世代のZ:カワサキZ1000J【あの素晴らしい名車をもう一度】
- 3色ラインナップ化! ホンダ「CT125ハンターカブ」歴代カラー大図鑑【2022年モデル】
- 【受注限定】SHOEI「グラムスター」に新色モスグリーン! 5月発売で全5色展開に
- 1
- 2