アジア諸国製のバイク用パーツが台頭している現在だが、修理用キャブレターパーツの製造輸出元として1950年代から世界中のモーターシーンで知られているのが岸田精密工業の「キースター」。完全なるMade in Japanブランドである。そこが手がけるキットパーツのひとつとして、CRスペシャルキャブレター用のガスケットキットを紹介しよう。
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CRスペシャルのオーバーフローを封じる
今もなお旧車乗りに根強い人気を誇るキャブレター「CRスペシャル」。このキャブはセッティング云々以前に、日常のメンテナンスが必要なものが多い。そんな日常メンテ用として販売されているのがキースターの「ガスケットキット」だ。スモールボディ用とラージボディ用が1気筒単位で販売されている。
CRスペシャルは、スムーズボアの中子下に前方後円墳によく似たガスケットが入っている。このパーツがダメージを受けるとオーバーフローの原因になる。こんなキットパーツの販売は、ユーザーにとって嬉しい限りだ。
【キースター CRスペシャルガスケットキット】CRスペシャルと呼ばれるキャブが市販されたのは1981年。カワサキとの共同開発によって知名度を高めた。現在では大型ボディ、小型ボディ用のガスケットセットも販売している。FCR用でもこのような商品があってほしいと願うユーザーは多い。
CRスペシャルガスケットキット[キースター]
スムーズボアを形作る「中子」と呼ばれる部品は、フロートチャンバーの天井からボルトで締め付けられている。その中子とボディの間に入る薄いガスケットが原因で、オーバーフローが止まらなくなる例も多い。
分解前にボルトの締め付け部分やスロットルボディに高浸透防錆潤滑剤をしっかりスプレーした。ここではワイズギアのケミカルを利用。固着部にしっかり吹き付け。ヒーターで温めながら分解作業を進めていこう。
つい先日までは、動いていたような気がしたが、撮影当日にはスロットルバルブが完全に固着していたCRスペシャルΦ26mm。4ミニ改ファンには御用達キャブだ。
スロットルバルブが摺動するボディ周辺をヒーターで温めたらケミカルが流れ込み、スロットルバルブはスムーズに開閉するようになった。やっぱり熱は素晴らしい。
スムーズボアの中子部品の下に組み込まれる薄い紙ガスケット。仁徳天皇陵で知られる前方後円墳のような形状だ。このガスケットがダメになりオーバーフローを発生していたようだ。キットに含まれていて良かった。
ガソリンチューブが刺さる金具には3個のOリングが入る。このOリングも同梱される。
メインジェットを交換することができるフロートチャンバードレン用Oリングはもちろん、フロートチャンバー本体のガスケットも同梱されている。
エアースクリュー部には二次エアーの混入を防ぐエアースクリュー用Oリング。差し込むだけのフロートバルブシート用Oリングもオーバーフローの原因になりやすい。
独特な形状をしたトップカバーガスケットも入っているので安心だ。このガスケットの気密性が低下すると、スロットルレスポンスに影響が出るようだ。
【特殊工具は不要】ベンチュリ径Φ26mmの小型ボディを分解したが、その作業のために特殊な工具は必要ない。ボディにダメージを与えないピックアップツールは使いやすい。
●取材協力:キースター(岸田精密工業) ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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